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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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501-前衛再構築

 デイトの負傷により、マノーリアを共に下がらせたことにより、攻撃力の低下は否めない。しかし、まだ始まったばかりの戦闘で無理をして最悪な状況となるのは避けたい。白檀は前線を少し下がらせ、魔艇との距離を取る選択をした。葵やベルーフが谷に幾重にも間口の空いた岩壁を等間隔作りだし、魔族の進攻を限定的にし、魔艇による攻撃を防御するためのものだ。


「デイト様が言うとおり、さっきのは、何度も撃てるものでもないみたいですね。ちらほら上位魔族が現れてるし…… 」


 葵は、前方で戦う梔子やアイとベルーフとナズナに目を向けたまま隣に立つ白檀に声をかける。


「だな…… しかし、いまだにサーベラスやサタナキアが出て来ない事を考えると…… まだ撃てるんだろうな」

「さっきのは、下位の魔族は喜んで巻き添えになってたように見えましたね? 」


 デイトが壁を作る前に見えた進攻してきた魔族たちは、魔艇からの声に反応し、歓喜していたように思えた。人間を襲う喜びよりも、一瞬で消えてしまう事にまったく躊躇や恐れなどないようだった。


「オレたち人間とは成り立ちが違うからな、理解しようとしても理解できないやつらだ」


 白檀が吐き捨てるように言って顔をしかめる。すると後方から声がかかる。


「白檀団長仰せのとおり加勢に来ましたわ」


 白檀と葵が振り向くと、ナズナの支獣であるティアに咲とジンジャーが乗って駆けてきた。それを見て白檀が声をかける。


「咲まで来たのか? オレはジンジャーだけでマニーに伝えたが? 」

「独断専行させてもらいました! ヴァリアブルをまだ使わないなら、デイト様とマニーさんが下がった今、わたしが後方にいる意味がないです。ましてやジンジャーさんが上がるのであれば、わたしもですわたし前衛ですからね」

「咲…… お前、言うようになったな…… 」


 白檀が苦笑しながら咲に返答する。咲は誇らしげに胸を張り続ける。


「後退した分花とは合流しやすいですし、わたしの本職は斥候隊のツインキャットの片割れですよ♪ 相棒ひとり前衛においておきませんもの! 」

「わかったよ! クーと合流しろ! ジンジャーはアイとだ! 」

「了解です! 」


 ジンジャーが楽しげに顔をほころばせて返答する。


「招致いたしましたわ♪ アイお姉様と共に闘えるなんてこれ以上にない幸せですわ♪ 」


 咲とジンジャーが剣を抜き前衛の梔子とアイのもとへと走り出した。白檀は苦笑したまま葵に声をかける。


「ジンジャーは今さらだけど…… 新たな扉を開いたのか? 」

「さぁ~ 実際のところはわかりませんけどね。けど…… アイさんはどっちでも大丈夫そうですもんね」


 白檀がまた苦笑し頭をかく、葵は半眼で白檀に尋ねる。


「前から気になってたんですけど…… アイさんと過去になんかありました? 」

「はっ! な、なに言ってんだよ~ 」


 白檀は明らかにうろたえた。葵は楽しげに返答する。


「まぁ~ 男だから仕方ないですよねぇ アイさんが騎士団にいた頃かなぁ? そう言えばウィングスのアインもアイさんにタジタジでしたしねぇ」

「葵確信犯的に言うなよ! 何もないって! 」


 白檀は、間違いなくアイと何かあったと、葵は心の中で断定する。アイの色気は葵だって翻弄され、間違いを起こしかねない。アイがマノーリアと知り合いでなければ、葵もマノーリアを裏切る行為をしていたかもしれないし、今はアイが葵に対して自重してくれているから何もないだけだ。つくづく、男はしかたのない生き物だと思う。そもそも白檀は環がいるから忘れがちだが女好きでスケベだ。邪神となってしまった柴崎とも仲がいい。葵は含んだ笑みを顔に貼りつけ白檀を覗き込む。


「若気のいたりってヤツですかねぇ~ 」

「環には言うなよ! 」

「大丈夫ですよ♪ この闘い終わったら団長のおごりってことで」

「わ、わかったよ! ほら行くぞ! 」


 葵は何も言っていないが、白檀の発言は自白したに等しい。詳しくは酒のつまみに聞くとしようと葵はほくそ笑み、ブロードソードを抜く。


「まずはコイツらを狩るとしますか! ナズナ! 下がれ! 」


 葵はベルーフとナズナのもとに走りナズナに声をかける。ナズナは葵の声に反応し後方に飛び、空いたスペースに葵が滑るように入り込み剣技を放ち数体の魔族が倒れる。葵は振り向きナズナに声をかける。


「ジンジャーと咲が来てくれた。ティアも一緒だ。ティアに指示を頼む。マニーが下がったからナズナが回復の要になるから頼むな! 」

「はい! けど、葵お兄ちゃんだけじゃ」

「安心しなよボクもいるからさ! 」


 ベルーフが目の前にいる自分よりも倍はある魔族をハンマーで上段から振りかぶり絶命させて口を開いた。


「それに今はクーたちの方に加勢した団長も必要であればこちらに来てくれるしな、だから、ナズナは戦いながら必要な時は距離をとって回復役に回ってくれ」


 葵は他の間口で戦っている梔子たちに視線を向ける。


「わかりました。でも、今は皆さん回復の必要ないよね」

「そうだな、クーたちの方はティアに回復させれば大丈夫だし、今は戦力が一時的に下がったけど、カーラス様が合流できるからな」

「うん」


 カーラスは海上での陽動の後、空中神殿で各国の飛竜隊を同乗させている為、一度城塞都市シルドビナスで補給をしている。補給後にこちらの前線へと合流する計画だ。ナズナは葵に頷き返しやる気に満ちた顔で、2本のバトルアックスをかまえる。葵とであった頃はこんな自信があるような顔を見せることはなかったが、ナズナも大きく成長した事を葵も実の兄のように誇らしく思えた。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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