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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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496-戦闘前に

 葵たちはマノーリアのいるWBHデッキ下の主砲が格納されている船首に来ていた。マノーリアに咲と花に加え信治が哨戒任務にあたっている。ブリッジよりも眼下が確認しやすいこの場所で3班に分け交代して哨戒任務をしている。


「マニー霧に動きがあったって? 」


 葵が声をかけるとマノーリアが使っていた備え付けの望遠鏡のような魔法具の場所を葵に譲り、葵は望遠鏡を覗き込むとマノーリアが説明をはじめる。


「元々黒い霧があったところは土の色が青黒くなっているところだったのだけど、ゆっくりと霧が引きはじめているわ」


 マノーリアが言うとおりくっきりと土の色が変色しており、元々広がっていた霧に覆われていた場所がわかる。


「地形も変わっているな、霧がかかったところはえぐられて谷と同じ低さになっているようだな」


 となりの望遠鏡を咲が譲り白檀も覗き込み白檀が声を漏らした。マノーリアが白檀に尋ねる。


「白檀お兄様、霧が晴れれば魔族の進攻開始すると見て良いでしょうか? 」

「ああ、少なくとも警戒しても損はない。完全に霧が晴れれば魔族たちが何をしたのかわかるだろうが、それを待っていても仕方がないだろう。環、全軍に戦闘体制指示を司令部に通達した方が良いだろう」


 白檀は望遠鏡を覗き込みながら更にとなりで望遠鏡を覗き込んでいた環に声をかける。


「そうですね。既に全軍がここに前進している以上、情報は早い方が良いでしょう。わたしはブリッジに戻ります」

「ああ、頼む」


 白檀は一度顔を上げて環に視線をあわせて手をあげる。環はにこりと笑みを返しブリッジへと向かっていった。


「けど、この霧晴れているというよりも、空に上がってきているけど…… 団長どう思います? 」


 葵が白檀に声をかける。白檀は改めて望遠鏡を覗き込みながら葵に返答する。


「やな感じだよな…… まぁあれも邪神の力って考えて良いんじゃないか? 今までの魔族との戦い方が参考にならないのは不快だな」


 白檀はそう言いつつも表情は冷静そのものだ。内心はまでは葵も読み取れないが、白檀ほどの強者が怖じ気づくことも現段階でないだろうし、その根拠が慢心でないことは葵にもわかる。この世界で指折り名の上がる強者で、神の力を授かった者だからこそ冷静でいられ、今の状況で最大限その力持って魔族からこの星を守る為にできることを少ない情報から探っているのだ。もし、自分がかなわない相手であれば、それは、この星の破滅を意味すると言っても過言ではない強者だからこそ、感じる心情と責任なのだ。葵は白檀ほどの思いはないだろうと思うが、それでも白檀に同感できる程度の思いはある。


「そうですね」


 葵は軽く同意して頷く。白檀は皆に声をかけブリッジに戻ることにした。班分けして休憩をしていたアイやジンジャーたちもブリッジへと来ていた。全員が集まり環が声をかける。


「司令部には報告し全軍へと時期に通達がされるでしょう」

「各方面軍の隊列確認できました。霧からおそらく直線距離で30キロ辺りまで到着しています。拡大映像を映しますね」


 萌がブリッジの魔法具のスクリーンに上空からの映像を映し出す。黒い霧に目掛けて南北と西から黒い点が密集し、帯のように移動する集団が確認できる。WBHの現在の高度では拡大しても映像はこれが限界であるが、それが守星連盟軍であることは皆も理解できた。


「我々も降下し最前線へと向かいます。萌さんお願いしますね」

「りょーかい! 降下開始! 」


 麻衣がふと環に声をかける。


「ところで今から魔族との戦いになるにしても、アマテウス様の力は借りられないの? 」

「アマテウス様からの声はありませんからね。アマテウス様なしでの戦いを念頭に作戦決定していますが、アマテウスの目覚めを期待したいのは、わたしも同感です」


 環がそう言いながらデイトに視線を向ける。


「まだ目覚めるには早いと言うことなのでしょうが、どれくらいかかるのか、伺っても良いかもしれませんね。アマテウス様が目覚めるまではなんとしてでも死守せねばなりませんから」

「では、時空時計の準備を」


 環はそう言って自室へ時空時計をとりに戻る。白檀が葵たちに声をかける。


「葵とクーと麻衣は少しでも休んでおけよ。戻ってきてまともに休憩と食事もとってないだろう? 魔族に動きがあればどのみち叩き起こすからよ」

「ありがたいですけど、たいした時間出ていたわけでもないですし、戦ってもないから大丈夫ですよ。それに今からアマテウス様呼ぶならその後でもいいですよ」

「後で腹減ったとか言うなよ! はじまっちまえば携帯食しか食えねーからな」

「まぁその時はその時ですね」


 白檀が葵にじゃれるように葵の肩に手を回しなが言うと、葵が肩をすくめて大丈夫だと言わんばかりに笑って見せた。葵が先ほど少し見せた魔族に対する心情を白檀も気にしていたのかもしれない。葵もそれを察して白檀に大丈夫だと態度で見せた。葵と白檀が軽口を言い合っていると、環が戻ってきて声をかける。


「お待たせしました。萌さん照明を」

「りょーかい。WBHは警戒体制のままオートクルーズにしますね」

「ええ、そうしてください。萌さんも含めてここにいる全員でアマテウス様の状況をお聞きしましょう」


 萌がブリッジの照明を落とし、環が時空時計をセットする。デイトがいつも通りに葵やマノーリアにも指示を出す。魔族軍との戦いの前にアマテウスに会うこととなった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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