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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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477-愚者の末路

「彼らの保護はこちらでよろしいですか? 皇女様」

「わたしたちは冒険者の事は詳しくありませんが、アイさんどうしたらよろしいですか? 」


 アインに尋ねられた環も何が正しいかわからないため、冒険者であるアイに助けを求める。


「アインのところでもかまわないんだけどぉ~ この子たちはわたしのところで引き取るわ~ だってアインのところだってこれから決戦の主戦場に参加でしょ? あなたのところ2パーティだったわよね? 」

「そうですね。だからサブと同行させるか、彼らのメンタルケアが必要なら組合に一時的に保護してもらうことになりますね。組合であれば一定の教育と後方支援の業務はあるでしょうから」

「それならやっぱりうちかしらねぇ アインのところサブって言ってもBランクよね? 」

「はい、基本的にはパーティを分けてませんので、経験が少ないメンバーでサブとして活動して経験を積ませてるので」

「それじゃ~ レンゲちゃんとデイジちゃんが同行するの大変よ~ うちのパーティもそろそろこの街に到着するから、そちらに入れるわよ~ うちは明確にパーティを分けているし、そもそも教育の為のパーティだからぁ それに、もしふたりが冒険者やめたければ、やりたいことみつけるまでは、他の仕事も斡旋あっせんできるしね~ 」

「しかし、オレたちも組合からの依頼で来ているので…… せめて彼らのめんどうくらいはしたいのですが…… 」


 アインは頭をかきながら苦笑を浮かべる。今回の騒動でウイングスが何もできていない。


「あら~ ホント成長したわね~ 」


 アイがアインを笑いながら腕を絡める。アインもアイにはタジタジである。白檀といいアインといい、アイといったい過去に何があったのか気になるところだ。


「いや~ 後輩を正しい環境で育てるのがオレたちのせめてもの償いかと…… 」


 そういってアインは視線で咲と花に向ける。アイがふっと笑いアインに絡めた腕をほどきアインにあらためて声をかける。


「ホント成長したわね。それならうちのパーティが来るまで彼らの保護と組合の報告をお願いするわ。それとうちと提携しないかしら? 」

「提携? 」

「そう、うちはさっきも言ったけど教育主体のパーティだから、それでも上位でBランクパーティなのよね。まぁわたしが加わることで、Aランクの仕事をする時あるけどね。だから、必要に応じてうちの子たちを同行させてもらったり、共同で依頼受けたりとかね」

「もちろん。みんなも良いよな? 」


 アインはアイの提案に即答するが一応メンバーにも顔を向けると皆も快諾する。


「それじゃ詳しく話しましょ! 環ちゃんちょっとお仕事の話ししてくるわね~♪ レンゲちゃんとデイジちゃんも来なさい♪ 」

「わかりました。おふたりをお願いいたします」

「まかせといて~♪ 」


 アイはウイングスとレンゲとデイジを引き連れてどこかへ行ってしまった。


「やっぱアイさんて凄い人なんだな…… 」


 葵があらためてアイの凄さを実感する。いつものアイからはその全く感じられない。ジンジャーはアイにおいていかれて、しおらしい令嬢のような表情を浮かべている。今夜は百合的な何かが起きることはなさそうだ。


 ―――――――――――――――――

 同時刻:ロスビナス皇国城塞都市シルドビナス

 宿屋の一室


 レンゲとデイジを奪われたセンダンは腹の底から怒りが沸いていた。飲んでいた酒も不味くなりそうそうに宿に戻ってきた。新たな金蔓かねづるを探さなければと考えると腹がたってしかたがないが、相手が守星調査隊なのが気に入らない、報復のしようもなくすれば返り討ちとされるのはセンダンにだってわかる。今までのように人を騙したりすることもやりづらくなる。何もかもが守星調査隊の連中がでしゃばってきたおかげで、さんざんな目にあったと怒りが増すだけだ。ふと我に返り下を見ると艶かしくカラダをくねらせ、ベットによつんばいとなり悶えている女の声が耳に入ってきた。


「せ、センダンっ! きょ! ぁ~ すごい ぁ~! 」


 センダンは腰を揺らしながら、女の背中を見ながら物思いにふける。この女との情事にも飽きている。特に特別な情などないのだ。手短で簡単に口説き落とせると思ったので半年ほど前にパーティに加え、冒険者としては専属の回復役として同行させたり、美人局つつもたせのようなことをさせたり、バカな冒険者を騙す撒き餌のように使っていた。先ほどアイのような上玉の女を見たせいかまったく気乗りはしなかったが、いざ行為となれば自分のカラダは飽きていると言っても、しっかりと反応しているのだ。


「ぁ~ん いい~! もっと! もっと~! 」


 センダンは、女の喘ぎ声がいつもよりも艶かしく感じるが、演技でやっている可能性が高く、この女はそういう女だと思っている。おそらく先ほどアイを抱きたいとこの女の前で言ったことで、この女の対抗心にでも火がついたのだろが、アイは、逆立ちしてもかなわない相手だ。センダンは腰を揺らすの一度やめると、女が気づいたのかカラダを回し仰向けになり、センダンの首に両手を回し引き寄せ耳元で囁く。


「今日のセンダンいいずっと責められたいけどぉ 疲れたぁ? わたしが上になるわねぇ 」


 センダンは、女の言うとおりに体位を変え、ベットに横たわる。女は演技とは言え、いつもよりも快楽を感じ、興奮しているように見える。センダンも興奮を覚えはじめ、女は上になりセンダンの胸あたりをスッーと指でなぞりながら、腰を揺らしはじめる。


「あっ! あん! あっ! あっ! いい! 」


 センダンは下から見上げる女のカラダに違和感を感じる。いつもよりも胸大きさや腰のくびれに艶かしさを感じるが、行為事態が今までで感じたことのないような快楽さえ感じる。この快楽を味わえるなら今日はポーションを使ってでも何度も情事にしけこみたいと思うほどだ。


「お、うっ! ど、どうしたんだ? 今日は…… 」

「ぁ~ん なーに? 」


 思わずセンダンは、今までに感じたことのない快楽をあたえている自分の上で揺れる女の胸を両手で鷲掴みにして声をかけると、女は味わうように快楽を堪能した表情をしている。センダンから見ても演技とも思えない表情で、女はセンダンに声をかけられ、乱れた長い髪をかき分けて右肩にながして、伏せていた目を開き艶かしい笑みを浮かべてセンダンを見下ろす。


「おい…… 」


 センダンは女の顔を見て目を見開き凍りつく、自分の上にまたがって腰を揺らす女の瞳がいつもと違う色をしている。それは、魔族の証とも言え白目は黒く濁り瞳孔は裂けて怪しく光っている。センダンは決定的な物が視界に入る。女の背にはコウモリのような翼が生えているのが見えた。この女は間違いなくサキュバスにカラダを奪われたのだが、先ほどまで女は快楽に溺れているように見えていたが、いきなり苦しみはじめたと思ったら、カラダが一瞬で燃え、灰のように散っていった。一瞬の出来事でセンダンが声を出す間もなく、女は姿を消した。センダンがベット脇のテーブルに置いてある小瓶を恨めしそうに見て声が漏れる。


「眷属神の毒かよ! 」


 女は酒場でカーラスの説明を聞く前に聖水を飲んだことで灰となって消えた。女は既にカラダにサキュバスが憑依されていて、実体化することで、聖水が毒となったのだとセンダンも理解した。怒りを感じていた守星調査隊とともにいる神に命を救われるとは、どこまで嫌みな奴らだと思いながら、ベットで呆然としていると、今まででにない左胸に圧迫感を感じる。


「はっ…… 」


 息ができない強い衝撃、遠退く意識の中で自分のカラダが膨張していくのが見えた気がした。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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