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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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471-ドS公爵令嬢とお色気お姉さん

 城塞都市の守星調査隊による防衛強化も一段落し、日が沈み始めた夕方には皆で夕食となった。守星調査隊の皆にしかできない能力等による作業は既に終わっている為、明日からは城塞都市の常駐する騎士や兵士と市民たちが中心となって作業を行う為、明日からは緊急事態がない限り、少し休息をとれそうだ。邪神軍の尖兵による進攻後気が張っていた分、数日ぶりに気が休める。葵たちは呼びに来たワークに連れられて、城塞都市の中心に近い店へとやってきた。城塞都市も皇国の街であって、どことなく和を感じる街並みだ。木造建築が多いからか、なんとなくそう感じる程度だ。店に入り一階は、この世界の飲食店に多いテーブルだけが用意された広い広間でしきりがない。少人数であれば、この一階で充分だが、大所帯となれば個室で食事をするのが当然だろう。今回はワークや里菜も同行しているので大所帯だ。葵、マノーリア、梔子、麻衣、信治、咲、花、萌、白檀、環、デイト、カーラス、ナズナ、ベルーフ、チョウノスケ、ワーク、里菜、そしてアイが加わり18人がテーブルを囲むとなれば、異世界であれ日本であれ予約をするのが無難だろう。


「この階ですね~ 」


 ワークが案内したのは3階にある広間だ。部屋の中からは声が聞こえる。既に集まっているようだ。葵たちが中に入ると久々に顔を見るものがそこにはいた。


「あら、皆様お久しぶりね」

挿絵(By みてみん)

 金髪の巻髪に派手なドレスの上からプリンセスアーマーを着用し、腰には信治の造ったウィップソードと召喚銃を下げている。以前よりもプリンセスアーマーの下のドレスが露出度が高いようでナマ足が露となっており、令嬢感は薄れているが、ラストスタンド王国公爵令嬢のジンジャー・スパイシーがそこにはいた。葵がジンジャーに声をかける。


「ジンジャー! えーと もういいのか? 」


 カーンが死んだ後公爵令嬢として、またカーンの主として王国へと帰国していたジンジャーだったが、戻って来たようだ。葵もどう声をかけて良いか少しだけ躊躇した。確かに先ほどワークが呼びに来た時に、みんなで食事をと言っていたが、ここにいる皆でと葵も解釈していたが、ワークはジンジャーを含めての全員を意味していたようだ。ジンジャーは口角を上げて葵に返答する。


「葵さんお気になさらず! カーンはしっかりと弔って参りましたわ! 後はこの星から魔族を殲滅するのみですわ! 」


 ジンジャーは強い意志を目に宿しそう返答した。


「そっか! じゃまたよろしくな! 」

「ところで葵さんはひとつよろしいですか? 」

「どうした? あらたまって…… 」


 葵が尋ね返すとジンジャーが葵の耳元で扇子で口を隠して囁く。


「ところで葵さん。あなたの功績は十分なほどですし、王国ではある程度の地位であれば複数人娶る殿方もおりますし、マノーリアさんだけというのもいかがなものかしら? 」

「は? 」

「ですからね。カーンがいなくなって淋しいわたくしとも戯れるのはどうかと…… 」

「ジンジャー…… オレはカーンみたいな性癖はないぞ……」


 そのあたりはジンジャーは変わっていないようだ。むしろジンジャーの性癖を知っている葵には素直になっているとも言える。


「ジンジャーさん! みんなの前で! 」


 マノーリアがジンジャーと葵に割って入るが、ジンジャーは何か吹っ切れたのかマノーリアを生暖かい眼差しで見て微笑む。


「わたくしは3人でも良くてよ! マノーリアさん」

「ジンジャーさん! 」


 マノーリアがジンジャーを制止する。如月アオイの時には感じなかった嫉妬心がジンジャーに対しては感じるようだ。確かに今のジンジャーには気品とは真逆の色気が漂い、男はしっぽ振りかねない危機感はある。


「あら~ 楽しそうな話しねぇ~♪ お姉さんも混ぜて~♪ 」

「アイさん」


 葵とジンジャーとマノーリアのところにアイが混ざってきた。ジンジャーがアイに尋ねる。


「お初にお目にかかる方ですね。わたくしラストスタンド王国スパイシー公爵令嬢のジンジャー・スパイシーと申しますわ」

「あら~♪ ご丁寧にあたしはアイって言うのよろしくぅ~♪ 公爵令嬢って聞いてたからお堅いお嬢様かと思っていたけどぉ~ 気が合いそうね♪ 」


 ドS公爵令嬢とお色気たっぷりお姉さんが火花を散らすかと思いきや、何かしらをお互い感じ取ったのか、はたまたアイが妖術でも使ったのか、ジンジャーの目が恋をした乙女のようになっている。


「…… アイお姉様とお呼びしてよろしいですか? アイお姉様…… 」

「あら~♪ ジンジャーちゃんはまだかわいいわねぇ~♪ あちらでいろいろ聞かせてぇ~♪ 」

「アイさん妖術ですか? 」


 葵がアイの耳元で尋ねる。


「葵ちゃん何言ってるのぉ~ そんなわけないじゃない~♪ ちょっと気が合うだけよぉ♪ ねぇ~ジンジャーちゃん♪ 」

「はい、アイお姉様」


 アイとジンジャーが手をつなぎはじめる。今夜にでも百合な関係になりそうな雰囲気だ。葵はこの異世界に転移した時に、このふたりと最初に出会っていたら、今頃R18な毎日を過ごしていたかもしれないと想像する。ここ最近忙しいせいで、マノーリアともご無沙汰だ。


「あら~♪ 葵ちゃんがオスの顔になってるわね♪ まざりたい? 」

「アイさんまで! 」

「マニーちゃんジョーダンよ♪ かわいいんだから♪ 」

「からかわないでください! 」

「葵ちゃんのお相手はマニーちゃんに任せるわ♪ 」

「アイさん! 」


 アイはヒラヒラと手を振ってジンジャーを席に連れて行く。環がコホンと咳払いをして口を開く。アイとジンジャーの露骨なやり取りは環の頬も赤く染めている。


「み、みなさんお疲れ様です。ジンジャーさんも合流されて守星調査隊の全員が集まることができました。邪神軍本隊の上陸はまもなくと思われます。つかの間の休息になりますが、鋭気を養い決戦に備えましょう! 」


 ジンジャーが戻り、現在の守星調査隊の全員が集まり、楽しい夕食となった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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