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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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469-指揮官の役目

 ロスビナス皇国第2都市である城塞都市シルドビナス海岸に面し、隣国オーシャンガーディアン海洋国との国境に築かれた都市である。城塞都市としても物流の要所としても要となる都市であり、ロスビナス皇国の防衛、経済の一躍を担う国内第二の大都市である。皇国の騎士団団長が白檀であり、次席となる副団長は2名おり、ひとりは白檀の側近として事務肩を担う副団長と、この第二都市シルドビナス常駐騎士団のトップとして指揮をとる副団長である。皇国騎士団は結成以来その配置を継続しており、副団長が常駐するだけの要所である都市であるのだ。シルドビナスに常駐する副団長は実力、人間性共に有能である者が歴任してきており、騎士団の中でも5本の指に名が上がる程の実力者であるが、現状ではマノーリアや梔子だけでなく、葵たち転移者の頭角で影が薄くなっているが、白檀が守星調査隊として留守にすることが多い今は、副団長たちの仕事量は増え、その気苦労は同情と労いの言葉をかけても足りないほどだ。


「本当に副団長の気苦労を考えると頭の下がる思いです。わたしの思いつきでご負担をおかけして申し訳ありません」

「こ、皇女頭をおあげください」

「そうだ。環が気にすることじゃない! 騎士団としても決定させたことだ! 」

「白檀さんはもう少し、両副団長の気苦労を労っても良いと思いますよ」

「オレも充分労ってるぞ! それにこいつはそんな事で音を上げるたまじゃねーよ!なぁ」

「まぁ~ びゃく…… いえ、団長は団長ですから…… ハハハ」


 副団長は苦笑しながら環と白檀に愛想笑いを浮かべる。副団長は白檀と同年代で白檀の事を昔から知っているようだ。副団長が話を切り替えるように改めて口を開いた。


「しかし、マノーリアや梔子たちには助かりました。転移者の霜月さんには助かりました。うちの若い奴らや兵士達から神無月特務騎士に嘆願してくれと言われた時は…… さすがに…… 」

「調査とはいえ前回迷惑をかけたからな! 」


 守星調査隊がこの都市に向かう事が決定し通達が来た時に一部の騎士や兵士から、葵に如月アオイとして挨拶してもらえないかとの要望があったそうだ。葵だけでなく守星調査隊の皆もアオイと会話したことにより、葵に女装させる気にならなかった。そこで、到着と共に、麻衣が慰労の為にと一肌脱ぎ、ゲリラライブを行いマノーリアや梔子もそれに参加し盛り上げた。騎士や兵士に元々人気のあったマノーリアや梔子に加え、女神力を授かった歌姫の歌は騎士や兵士たちのみならず、シルドビナスの市民をも魅了した。


「麻衣さんが副団長や市長が許可いただけるなら公式にやりたいと言ってましたよ。わたしもみなさんに祝福の儀式行いたいので調整していただけるとありがたいですね」

「ありがたいお話です。是非お願いします。この街は邪神復活以降ずっとピリピリした雰囲気に包まれておりまして、緊張の糸がはりっぱなしで、市長や旅団長とも決戦前に糸がキレるのではないかと相談していたところだったので…… 」

「では、ちょうどいいですね。無論、邪神軍本隊上陸となれば、シルドビナスはもっとも危険な都市です。それは変わりませんので、ですから、みなさんに少しでも前向きにとらえていただければと思います。それに今、デイト様とカーラス様がこの都市の防衛補強の為に結界と眷属をご用意いただいております」


 副団長もこの街の防衛任務にあたり気が張っていたようで、守星調査隊が来てくれたことで少し安堵したようだ。話し始めた頃よりも顔の表情が柔らかくなっている。


「まさかデイト様が少女の姿をしているとは今でも信じられません」

「最初は混乱を避けるために霊峰神殿の巫と名乗っていたからな…… オレたちからすればでっかい山の神様だからしかたないだろ」


 白檀が副団長の言葉に同意する。環がコクりと頷きながら口を開く。


「そうですね。ロックオーダーのドワーフのみなさんも最初は気づかれなかったですからね。王とベルーフさんくらいでしょうか? 」


 環が微笑みながらロックオーダーでの出来事を思い出すように話し、副団長がその話しに納得するように口を開く。


「確かにドワーフはデイト様の信仰すると聞きますし、その姿が女神の姿とか…… 」


 ドワーフはロスビナス皇国とラストスタンド王国の外交都市以外に山を降りることがないため、副団長も聞いた話しや書物で得た知識なのかおぼろげに話す。環が副団長の言葉を肯定的に相づちを打つ。


「そうですね。ロックオーダーの王都にあった石像はデイト様の今のお姿そのものでしたよ」

「なるほど、それでも気がつかないものなのですね」

「神が目覚めるってのはなかなかな、安堵する一方で邪神の復活も意味するからな」

「そうですね」


 副団長が白檀の言葉に相づちを打つがその表情はまた緊張したように強ばっている。白檀がふっと笑い副団長の肩をバシッと叩く。


「いっ! なにするんだ白檀! 」

「環がいるからってかしこまる必要ねーよ! 」

「しかしだな! 」

「いいんだよ! この街はお前に託すからな! なーに神様たちだけじゃなく、今は代行者や加護を得たヤツらもいる。特に葵なんかはまだまだ強くなるはずだ! 必ず邪神を倒す! それだけだ」

「わかったよ! 任せておけ! 」

「よーし、まぁ休める時には休めよ! オレたちもこの街にいる間は休息させてもらう」


 邪神復活と邪神軍の進攻によって気が張っていたのは、守星調査隊だけではない。むしろ、一般の騎士や兵士たちの方が不安であるだろう。決戦の前に気持ちが折れることなく指揮高揚も環や白檀たちの仕事である。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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