46-強さの責任と自覚
咲と花の短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
時系列は191話から回想して話がはじまり、45,46話につながる話になります。
【短編】姉妹のさがしもの
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その姿は、鋭い角がある黒ヤギの頭の鋭い眼光は、右目が青く光り、左目は赤く光る。睨まれれば嫌な汗を背中に感じ体が恐怖で動けなくなる。漆黒の闇のような色をし、山のような大きな体で襲いかかる。右手には斧を左手に鉈を握り、振りかざすだけで突風のような風が抜けていく、その度に魔族の数引きが絶叫をあげながら絶命していく。後方からその巨大な化け物を見て呆然としていた環が我に返ったように独り言を呟く。
「ユ、ユーオズさん…そ、そんなわけは…」
デイトが環の独り言に反応し尋ねる。
「環さんあの悪魔をご存知のようですね。」
「はい、3年前に同じ悪魔を見ておりますが、あれは悪魔ではなく、先程の花さんと姉の咲さんのお父様の能力で生んだ幻影のはずです。」
「環さんの推測で間違いないと思いますよ。あの悪魔から、花さんの生命反応ともうひとりこちらが、お姉さんのものと思われる生命反応があります。何かしらの方法で、その力を使っているのでしょう」
前衛でも巨大悪魔の出現で状況が一変する。白檀が葵達に指示を出す。
「あの化け物のおかげで獣人達が逃げてくるからな!全部やるぞ!それと、あの棒切れは放っておけ、大したヤツじゃない。」
「えっ?団長大丈夫なんですか?」
「まぁ~葵が倒した方が良いよな~経験の為にも…」
白檀は頭をかきながら、めんどうくさそうに火魔法を顕現させる。一帯を囲いまるで檻のようにする。
「ファイアーウォール!ファイアーサークル!これでいいだろ、よーし行くぞ~」
巨大な化け物が斧と鉈を振り回し歩いてくる。先程まで殺意のみで生きているような獣人達がまるで子供のように走って逃げてくる。白檀、葵、マノーリア、梔子は横並びになり、4人の支獣は上空に舞い上がり援護の万全の体制で待ち構える。
「ダブルエッジ!かまいたち!」
「紫炎乱舞花吹雪!五月雨!」
「クイックレイア!ディスピア!」
梔子、マノーリア、葵は剣技の連続で獣人達をさばいていく。白檀がひとり前に出てその手に持った大太刀を抜き剣技を放つ。残党の獣人を殲滅する。
「ファイアストーム!」
炎を纏った大太刀で切り刻む、獣人達は切られた部分が燃え火だるまになる。白檀の剣技を初めて見た葵は絶句する。
「これが加護の力…全然違う」
巨大な化け物が葵達のそばまでやって来た。どんな理由かわからないが敵視はしていないようだ。白檀が頭をかきながら答え合わせをする。
「あの化け物は咲と花だよ!」
「咲と花?」
「白檀お兄様どういう事ですか?」
「帝国にいた時にあいつらのオヤジの形見を渡したんだ。おそらくそれに仕掛けがあったんだろ?本人達に聞けば良いんじゃないか?」
巨大な化け物は霧散し霧の中から、咲と花が現れる。
「隊長~!」
「咲!花!」
梔子と咲、花が抱き合い互いに無事を確かめる。
「さっきの化け物があなた達ってどういう事?」
「やっぱり、団長は気づいちゃいました?」
「あれを見るのは2度目だからな」
咲と花は持っているダガーを見せる。
「これに、さっきのモンスターを呼び出す仕掛けを父がしてくれていて」
「初めて使ったんですが上手くいって良かったです!」
「どこも痛くない!」
「隊長~子供じゃないんで大丈夫です!」
「そう言えばあたし!団長から見習いの終わりって騎士になりました!」
「おめでと!」
マノーリアが3人が喜んでいる所に口を挟む
「咲ちゃん、花ちゃん喜んでいるところごめんね。ふたりの耳としっぽどうしたの?」
咲と花が互いに見合う。
「あー!耳としっぽがー!!」
「あたしのうさみみー!!」
ふたりの猫耳と兎耳が狸の耳としっぽになっている。
「やっぱり、気づいていなかった…」
白檀がふたりに声をかける。
「その耳としっぽになるとやっぱり親子だ!タヌキオヤジにそっくりだ!」
「あのタヌキオヤジ~!」
「狸耳もかわいいわよ!」
すると咲と花の持ったダガーから何か声が聞こえる。
「咲~花~またね~♪」
「これはいらないよね?」
「あたしもそう思う」
白檀が腹を抱えて笑う
「おやっさんらしいわ!」
葵が白檀に尋ねる。
「団長、例の棒切れはどうしますか?」
「あ、忘れてた、あれはドワエって悪魔でな精神系攻撃を得意として人の不安や恐怖それと憶測やまぁそういう弱い気持ちや確信のない精神を突いてくる。強い信念って言っても、人間なら誰だって弱い気持ちは持ち合わせているからな!ちょうどいい咲、花おやっさんの口癖葵に教えてやれ」
「団長~口癖じゃなくて!思いというか信念みたいにかっこよく言って下さいよ!葵さんこの言葉ですよ」
咲と花は自分達のダガーの鞘を見せる。合わせると文書が書かれている。
"正義は押し付けるのでなく、自身の中にあるもの、見えてるもの、聞こえる事が真実ではない、その後ろに隠れている真実の善悪を見抜くこと、強いことを威張るのではなく、強くあることの責任と自覚を持つこと"
白檀が葵に言葉をかける。
「葵、お前は神の力を手にしたんだ。過信は危険だか、神から借りた力を信じその力を得た責任と自覚をするのも必要だ!そうする事でその力は今以上に発揮する。咲と花が父親を信じて自分達の力以上の事をやって見せた!お前は既にその力を持っている。あんな棒切れに苦戦してる場合じゃないんだよ!」
白檀が葵の肩をポンと叩き敵の真実を見抜けという。葵モノクルスコープを再度左目に装着し剣をかまえる。白檀が付け足しっと言って葵に助言する。
「環に支獣作ってもらったなら支獣の力を使え、支獣は自身の精神や信念を形にしたものだ。雑念や感情に影響されない。お前の支獣の目を使って相手を見てみろ」
葵は言われるままエールと同期し、エール越しに悪魔ドワエがいるであろう白檀が作った火の檻を見る。そこにいるのは、白檀の言うとおり棒切れというか枯れた枝が立っている。だから火の檻なのかと納得する。
「確かに棒切れだ…」
「まだ、懲りずに立ち向かうのか?」
ドワエの声は聞くだけで不快に感じる。声にも精神汚染の何かを放っているかのようだ。
「偉そうにするつもりはないが、俺を信じて力を貸してくれた人たちの期待は裏切りたくないよな!」
葵はエールに飛び乗り、グラビティコントロールを自身とエールにかけて地を蹴り水平移動でドワエに突進する。クラッシュロックでドワエの枝の攻撃を回避し、ロックウォールで黒炎と矢を遮る。モノクルスコープがドワエの急所を示す。葵はブロードソードを構えそこに突き刺す。
「これで終わりだー!ディスピア!」
ドワエは刺された箇所から砂のように散っていく。
「葵!お見事!まぁ楽な相手だろ?」
「団長に教えてもらわなかったら、やられていたかもですね。咲、花また助けてもらったな!ありがと」
「お礼なんて良いんです!わたしたちも騎士です!いつまでも助けてもらっていたら父に笑われます。」
「お姉ちゃんタヌキオヤジじゃないの?」
「花~今真面目な話してるの~」
「咲ちゃんと花ちゃんもすごかったわ!」
「ありがとございます!マニーさん!」
「帰ろうぜ!腹減った!」
「団長使節団は良いんですか?」
「良いんだよ副団長と文官に任せりゃ」
マノーリアが変わってませんね~と頭を押さえている。
環達と合流しロスビナスシティへと帰るのであった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
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