466-分身
「あなた方は青星も緑星関係なく、生まれる仕組みは同じです。霊魂がもっとも適した器であるカラダに宿るのです。そして双子も同様なのですが、本来双子は霊魂の容量が大きいためにふたつの器へと入るために霊魂が別れるのです。この双子の元となる大きな容量の霊魂を原霊魂と言います」
デイトの説明によれば、人のカラダをコップに例えるのであれば、双子の霊魂の容量が大きいためにカラダがふたつ必要となり、霊魂が別れてふたつのカラダに宿るのだそうだ。美少女姿の葵が素に戻りデイトの話に聞き尋ねる。
「じゃ オレは本来双子で生まれるはずがひとりで生まれてきたってことですか? 」
「考えられるとしか言えません。なぜ、原霊魂が分裂しなかったのか、原霊魂のまま宿れたのかといろいろ矛盾もあります」
「単純に容量が合わなければあふれるとかこぼれる? イメージですかね? 」
「本来はそうですね。あり得るとすれば濃度が濃かったということになるでしょうか」
「濃度…… 」
デイトの話は理解できるのだが、霊魂の容量や濃度と言われてもそういうものと理解するしかない。マノーリアが少し曇った表情で不安そうにデイトに尋ねる。
「原霊魂のままだとよくないとか、葵くん事態に何か悪影響はありますか? 」
「わかりません。 霊魂とは我々にとっても自然にあるもので、我々も素材という認識です。それは女神も同じことで、我々が作るのは器であるあなた方のカラダですから、わたしももし葵さんがそうだとしても、前列がないとしかいえないのです。あり得るとすれば人格が変わることなどは想定できますが、それも推測に過ぎません」
「まぁ今のところは問題ないから大丈夫だよマニー」
「葵くん…… 」
葵は、不安そうなマノーリアの肩に優しく手を乗せ笑って見せた。理屈はわからないがそういうものと理解するしかないのだが、葵はなんとなく腹落ちしていた。今までの周囲をみても葵は異性の友達も多かった。自分が男性として魅力的だと思うほどうぬぼれてはいない、比較的女性が無防備に距離をつめる感覚はもしかすると原霊魂のもうひとりの女の自分がそうさせているのかもとも思えた。それに、彼女や妹たちの買い物につきあうことも、めんどうと思わずむしろ楽しい感覚ですらあった。この女装にしても麻衣にメイクをしてもらい、女性物の服を着る時に少し楽しい気分ですらあって、どうせなら女性物の下着すら身につけようかと思ったのは、絶対に口にはできない葵だけの秘め事でもあり、自分の性癖とも思ったが、デイトの言う原霊魂が本当であれば、葵にも納得できる事がいくつかあるのだ。とは言え、葵は精神は男であることは変わらないので、女装している葵を女性として見ている騎士たちの目を受けいることはない。葵がアイに声をかける。
「アイさんこれで納得できたの? 」
「そうね♪ 白檀や環ちゃんの様子を見るかぎりだと~ 城塞都市の騎士たちの熱狂ぶりもわかる気がするわねぇ~♪ 」
アイがケラケラと笑い葵の正面にたつ。
「妖術でその姿の葵ちゃんの分身をつくれば葵ちゃんの精神衛生上いいかしらね♪ まぁ数時間しか持たないけど環ちゃんの魔法でナズナちゃんの幻術みたいに延長させれば使えるんじゃないかなぁ♪ 」
「それできるならお願いします」
アイの妖術でどうにかなるなら葵も願ったりだ。即答でアイに提案に了承する。
「それじゃかけるわよ♪ 」
「いつでもいいよ! 」
アイが葵に手をかざし妖術をかけるが、アイが首をかしげる。その様子を見ていたマノーリアが声をかける。
「アイさんどうかされたんですか? 」
「おかしいわね~ もうかかって葵ちゃんの分身が横に現れていいはずなのにぃ~ え?! 」
アイが葵に妖術をかけるのを続けながらマノーリアへ返答した瞬間、アイが目を見開き驚きの表情を見せる。
「アイさん! 」
「アイさん大丈夫なの? 」
皆がアイに声をかけるがアイは返答ができないようで身悶えするようにカラダをくねらせている。
「ダメ! なにこれ!? こんなのはじめて! いゃぁ ぁ~ 」
アイが肩で息をしはじめ膝から落ちる。マノーリアと花がすぐに近づきアイの容態を確認する。マノーリアがナズナに声をかける。
「ナズナちゃんポーションを! 」
「はい! 」
「マニー、アイさん大丈夫なのか?」
目の前にいた葵がマノーリアに声をかけマノーリアはコクりと頷いているので大事には至らなかったようだ。ヒールとポーションをアイにあたえ回復し、アイもひとりで立てるまで回復している。一通り診断を終えたマノーリアが口を開いた。
「魔力や精気それに体力も急激に減らされたみたい…… 」
「ビックリよ~ 葵ちゃんあたしみんなの前でいっちゃうところだったじゃない! 」
「オレに言われてもなぁ~ なんだったの? 」
「あたしもわからないわぁ~ 妖術かけて全部持っていかれそうになったのはじめてなんだからぁ~ 」
皆が不思議な現象に疑問を感じているとデイトが皆に声をかける。
「その答えが出たようです」
葵の後ろに淡い光の粒が集まり形になっていき人のからだを思わせる形となっていく。
「なんなんだ? 」
すると女装している葵とそっくりの少女が現れる。
「アイさんの妖術が成功したってこと? 」
「違うわね~ 」
少女は目をゆっくりと開くそして回りを見渡し口を開く。
「あれ? 何で? まぁいいか 如月アオイです! よろしく♪ 」
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