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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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465-原霊魂

「アイさんなんでオレがそんなことしなきゃ行けねぇーんだよ! 」

「しかたないじゃな~い この隊は男少ないしぃ ベルーフちゃんドワーフだし、信治ちゃんはまだお子ちゃまじゃない? 白檀しかいないじゃない! あたしはそれ見てないからわからないの! 別に本当に葵ちゃんとなんかしろなんて言ってないでしょ~ 」

「当たり前だ! 」


 白檀がアイに抗議するように声をあげているが、アイは手をユラユラとさせて聞いてない。白檀はアイに頭が上がらないようだ。アイが騎士団にいた頃から当然知っている間柄だろうし、年齢的にもアイが先輩であるのは間違いないのだが、白檀のこの姿も珍しい。


「白檀さんアイさんの言うとおりにしてください。わたしも何故、葵さんに嫉妬するのか知りたいです」


 環が白檀に観念しろと言っているが環も自分が葵に嫉妬しているのを認めたようだ。


「た、環がいいなら…… 」

「団長~ あいかわらずチョロいですよね~ 」

挿絵(By みてみん)

 女装した葵が白檀の後ろからひょっこり現れて白檀を覗き込む。


「い、嫌がってたわりに…… ず、ずいぶん乗り気だな」

「まぁ 団長からかうのは楽しいですからね~ 」

「う、うるせぇ~ 」


 傍目から見ると美少女が白檀にじゃれているようにしか見えない、今の白檀はマノーリアや他の美少女には見せない態度だ。白檀の腕に絡んで葵がカラカラと笑いながらからかう。


「なんでわたしにはそんなに冷たいんですかぁ~ 」

「あ、葵さんふざけすぎです! そこまでしなくても! 」


 環が片方の白檀の腕を掴んで葵から白檀を引き離そうとする。それを見たアイがポカーンと口を空けてからクスクスと笑いながら口を開いた。


「あらぁ~♪ 本当に白檀は葵ちゃんに恋しそうねぇ~ それに環ちゃんも本気で嫉妬してるしぃ~ 不思議ね♪ 」

「でしょう! 」

「なんなんでしょう? 」

「複雑よね? 葵ってわかっているのに本当に女の子にしか見えないんだもの、いくらナズナが幻術かけているとは言ってもね~ 」

「わたしの幻術でこうなるとは思えませんよ」


 梔子やマノーリアも不思議そうに葵たちのやり取りを見ているが、メイクをした麻衣や幻術をかけたナズナですら不思議に思っている。環がその4人を見て恥ずかしそうにしているが、何か思ったのか梔子とマノーリアに尋ねる。


「クーちゃんとマニーちゃんは想像してみてください! ハリーさんや男の葵さんにこの少女の葵さんが慣れ慣れしく迫る姿をわたしと同じ気持ちになるはずです」


 環がいつもの冷静な雰囲気は顔を隠し、ふたりも同じ気分になると言っている。麻衣とナズナは意中の相手が周囲に知られる程の相手がいないと環も思ったのであろう。言われた梔子とマノーリアが想像をしてみると梔子の様子が次第に変わる。


「ゼーッタイダメ! ハリーは忙しいし、女の子とイチャイチャする時間なんてないんだから! 」

「あら~♪ 」


 梔子が想像だけで嫉妬する姿を見て思わずアイが笑いながら声を漏らす。次にマノーリアの様子を皆が伺う。


「特にわたしは何も感じないです。仲がいいなぁ~ くらいですね」

「あらぁ~? 一番マニーちゃんが取り乱すと思ったけどぉ~? 」


 アイが笑いながらそういうと麻衣や梔子もウンウンと頷き、麻衣が声を漏らす。


「マニーの余裕は何? 長年連れ添った夫婦みたいじゃない」


 麻衣の言葉にマノーリアが顔を赤くしてパタパタと手を胸元で小さく振って麻衣に返答する。


「麻衣さんそういうことじゃなくて、何て言うか、麻衣さんと葵くんが仲良くしているときの方が、わたしはドキドキするというか、嫉妬とかじゃなくて、羨ましいというかいいなぁ~ というか……… 」


 この態度はいつものマノーリアだ。麻衣と葵がじゃれている方が嫉妬心に火がつくようだ。


「やっぱり葵本人だからってことかしら? 」

「というよりは、アヤメさんやユリさんと一緒にいる葵くんって感じかな? 」

「葵の妹ちゃんたちよね? 」

「そう、だからイメージしても仲のいい兄妹みたいな感覚しか思わないかな? 」


 白檀と環だけでなく梔子も想像だけで嫉妬する感覚はやはりナズナの幻術の影響によるものでなく何かしら他の原因が考えられるようだ。アイがデイトとカーラスに尋ねる。


「デイト様とカーラス様はどう思われますか? 」


 デイトとカーラスも考え込んでいるがカーラスが口を開く。


「アマテウス様であればわかるでしょうが、我々が産み出した民なら霊魂のなんらかの原因がわかるんですが、アマテウス様に創られた皆さんは我々眷属神には……… 」

「カーラスまて、そうか霊魂が原霊魂のまま…… あり得るのか?…… 」


 デイトが何か思いついたように呟く、マノーリアがデイトに声をかける。


「デイト様? 何かわかったんですか? 」

「可能性のひとつですが葵さんは原霊魂のまま生まれたと思われます」

「原霊魂? 」

「盲点でしたね。葵さんは双子の血族でしたね」


 デイトの言う原霊魂とは何か葵の新たな素性が判明するかもしれない。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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