45-見えない敵
咲と花の短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
時系列は191話から回想して話がはじまり、45,46話につながる話になります。
【短編】姉妹のさがしもの
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敵の姿のない所からの攻撃、いわば何もない所から黒い炎や黒い矢のような攻撃が葵とマノーリアに放たれる。葵とマノーリアは敵を見つけられない。出現させた岩に身を寄せているが、いつ攻撃が来るかわからないのは、一気に不安を掻き立てる。
「マニーこんな攻撃するヤツの経験は?」
「初めてね…姿が見えれば解決策もあるだろうけど」
後方でも前衛の状況変化はなんとなく感じたが、デイトによって、詳細が明かされた。
「悪魔が現れたようです。悪魔ドワエですか…神無月さん達が倒す方法に気がつければ倒せない相手でもないですね。まぁすぐに危機が迫る状況ではありませんが…」
「デイト様加勢いたしますか?」
「まだ、時期早々と言ったところでしょうか?できれば、わたしも加護と助力を与えたふたりにはもう少し強くなってほしいので、わたしが出てしまえば意味がありませんので、命の危機が迫るまでは様子を見ましょう」
デイトと環はこの戦いには、まだ加勢する時ではないと判断し固唾を飲みながら戦況を見ることにする。後退した咲が花と合流する。
「花!大丈夫?」
「ありがと、けどお姉ちゃん戻ったら隊長は?」
「うっ…ユキ!隊長の所に行って!隊長1人だから!」
咲がユキに指示をして梔子の元へ向かわせる。ユキが空から、攻撃して梔子の脱出する時間を作る。梔子が風魔法で風の壁を作り足場にして脱出し、ユキの背に乗る。梔子が上空から戦況を見る。
「ありがと!ユキちゃん!咲と花は大丈夫だね。ユキちゃん!葵とマニーのとこに行こう」
梔子が葵とマノーリアに加勢する為上空から降りる。
「マニー!葵!敵はどこ?」
「クー!敵が見えないの!アリスとエールに陽動してもらっているけど、四方八方から攻撃が来るの!」
「複数いるのか?厄介な相手だ!」
「ユキちゃんにも陽動させよう!」
「何か相手を特定させる方法ないかしら?」
「擬態や透明なら、土魔法とか風魔法で姿をあぶり出す?」
「まずは敵の視認だ!思いつくことをやってみよ!」
マノーリアが土魔法で砂の煙幕を作り、梔子が風魔法で緩やかな風を作る。流れに違和感があればそこに敵がいるはずと葵がグラビティコントロールで浮かび上がり敵を視認する。
「そこかー!」
葵が自身にかかる重力を倍にして滑空する。葵が切りかかろうと、紫炎の力をブロードソードに纏わせかまえた瞬間砂煙の向こうにいたのはマノーリアだった。
「えっ!?」
そのマノーリアはニヤリと笑い葵に尋ねる。
「わたしが切れるか?」
動きの止まった葵に黒い矢が四方から突き刺さる
「ぐぁーぐふうっ、ふっ、ふざけてやがる…」
「葵くん!」
「葵!」
マノーリアが岩の壁を作り、負傷した葵を救出する。
「葵くん!大丈夫!」
「あ、だ、大丈夫だけど…力が入らない」
「精神系の攻撃もされているようね」
マノーリアがアリスを呼び光と闇魔法の精神系回復魔法をかける。マノーリアが葵の様子を見て安堵し葵と梔子に声をかける。
「葵くんは少し休んで次はわたしが行くわ!クーはユキとエールとわたしの攻撃の後、敵が視認できたら攻撃してもらえる?」
「わかった!ねぇマニー、葵の様子見ると先に精神系攻撃も封じた方が良いんじゃない?」
「そうね。アリスお願い」
マノーリアと梔子に光魔法の精神系防御魔法のメンタルコアとメンタルプロテクションをかける。マノーリアが土魔法サンドストームを放ち敵を視認すぐに闇魔法のシャドウを顕現させる。マノーリアが薙刀をかまえて敵に迫る。
「紫炎乱舞月光!乱れ咲き!」
「どんなに切ろうが、わたしを切る事はできんよ」
敵が次は葵の姿に化ける。
「これは偽物、偽物、紫炎乱舞花吹雪!」
「だから切れぬと言ってるだろ?」
マノーリアが見えない何かに縛られるように宙吊りになる。
「マニー!」
梔子と支獣達が一気にシャドウのいる場所を攻撃する。
「バカのひとつ覚えか?」
支獣達は黒い炎で火だるまになり、一度姿がポンと消える。支獣は主人が死なない限り少しすれば再度現れるが、この状況で戦力を欠くのは痛い。そしてクーも火だるまになり宙吊りにされる。マノーリアには黒い矢が何本も突き刺さる。
「クー!マニー!」
後衛の花の鋭敏な耳な前衛の状況を察知する。
「お姉ちゃん!隊長達が危険だよ!新手に苦戦してる!どうしよ!」
「助けたくても、こっちもこの数相手にするのがやっと…」
加勢に来た柊が合流する。
「信治さん無事ですね。咲さん花さん戦況は?」
「隊長達がまずいです。柊さんお願いがあります。その人と後ろに下がってもらって良いですか?」
「しかし、あなた達もこの数の敵を相手にしている!」
「奥の手がわたし達にはあるんです。使った事ないんで使えるかは…わかんないですけど…」
「お姉ちゃん!あれを試すの?」
「花、パパを信じてみよ!」
「わかった!柊さんお願いします。その人連れて下がって下さい!」
「わかりました。おふたりもご武運を…」
柊は信治を連れて後方へ下がる。咲と花は腰に下げていた、ダガーを取り出す。その鞘には模様が刻まれていて、ふたりの持ったダガーを合わせるとひとつの模様となる。
「この前、団長とハリーさんに渡されて早速使うとはね…… 」
「パパの事…信じるよ!お姉ちゃん行くよ!」
ふたりは合言葉のように声を合わせて何かを唱える。するとふたりから、高圧のスチームのように青と赤の蒸気が瞬く間に立ち込め霧がかかる。一方前衛では、その霧は前衛まで立ち込める。マノーリアと梔子が捕らわれ、葵が防戦状態でなんとかしのいでいるが、勝機を見出だせない。
すると、そこに男の声で葵に声がかかる。
「葵!ずいぶんと余裕だな!休憩か?」
それは、騎士団団長の白檀だった。宙吊りのマノーリアと梔子を助けて葵の元へと近寄る。
「団長!」
「白檀お兄様!」
「ビャク兄~遅いよ!」
「お前らちゃんと相手見てのか~?あんな棒切れ」
「棒切れ?団長姿が見えるんですか?」
「デイト様の加護持ちさんよ~頼むよ~葵!」
白檀が葵に肩を組、じゃれてくる。
「団長!わかるように説明してくださいよ!」
すると後衛の方から絶叫と悲鳴が聴こえる。それは人の声でなく魔族達の叫びだった。葵達が敵の影に入り後方見ると30メートルはあるような巨大な化け物が現れている。白檀以外の3人はその姿を見て戦意を失う。
「この状況でまたあんな化け物が…」
白檀が手で日差しを作りその化け物を見上げる。
「タヌキオヤジめ!」
後方でもその化け物は見えており、その姿を見てデイトが首を傾げる。
「わたしのデータベースにない悪魔のようです。ですが不思議ですね。悪魔の反応がありませんね。」
「あれは…」
環が驚いて言葉の続きを忘れたように手を口に当てたまま黙る。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
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