表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

454/589

453-百目千里眼のヴィネアス

「よくぞ参られたヴィネアス殿」

「眠りから覚めて間もないが邪神様の力で以前の力以上のようだ。ヘルガイドでこの後はどうする? 」

「やつらを足止めさせて後続の人間どももまとめて始末し、ウァプラ様が邪神様と上陸するのを待ち女神を討ち滅ぼす算段です」


 ヘルガイドのランタンの能力でホールで呼び寄せたのは、ライオンを獣人にしたような悪魔でヴィネアスと言う名のようだ。ライオンの獣人ということもあり、邪神軍を率いる軍師ウァプラに似ているが、ウァプラはライオンのような顔立ちにくちばしと羽を背にはやしており、一方ヴィネアスはライオンを獣人にしたそのものの姿で、見分けがつかないことはない。


「邪神様どころかウァプラ様の手をわずらわすこともなかろう。ヘルガイドよ、今戦っている相手はサタナキア様やサーベラスが手をこまねいていたというのは本当か? 」

「ええ、分隊しているが間違いなくやつらです。手加減無用です。デイト・ア・ボットのみならず、女神や女神の眷属どもの力を得た人間どもが小賢しく抗い、何度もサタナキア様やサーベラス様が倒しきる事ができずにいるしぶとい者たちです。ご用心を…… 」


 ヴィネアスはヘルガイドの言葉に嘲笑を浮かべて返答する。


「序列をあげる好機ということか、サタナキア様もサーベラスも近接での戦闘を得意するからな、わたしがやつらを始末し、武を上げさせてもらおう」


 ヴィネアスはそういって手に持ったライフルのような形状の杖をかまえると、ヴィネアスの魔族の特徴である瞳が赤黒く光る。


「百目千里眼」


 ヴィネアスのかまえた杖先周囲の空間が歪み、数百メートル先の谷底に墜落したWBH周辺に魔弾の雨が降り注ぐ。


「影に隠れたか…… 2匹は戦闘不能にはなったようだな」


 ヴィネアスはそういって一度杖を下ろす。ヴィネアスは百目千里眼と自称する能力で、時空を越えて遠方の的を倒す技を得意とするようだ。百目千里眼のヴィネアス魔族のスナイパーと言ったところだろう。一方防戦となった葵たちは、墜落したWBHを中心にヴィネアスの魔弾を回避しつつ接近する魔族を倒す状況となり形勢逆転し苦戦を強いられている。


「ナンブ! レミントン! 」

「すぐに救助を! 」


 ベレッタの部下であるナンブとレミントンが重魔装鎧に直撃を受けて大破している。


「雨のような数の魔弾を撃ちながら的確に重魔装鎧の動力源を狙っているのか? 」


 ベレッタがナンブとレミントンを救助し大破した重魔装鎧の破損状況から相手の狙撃能力を推測する。皆がWBHの影に隠れ身を守りながら冷静になるよう心がけ、そのあたりは歴戦をくぐり抜けた守星調査隊の皆は言うまでもなく理解している。今回初めて同行したアイも手練れだけに冷静だ。葵が萌やナンブとレミントンが攻撃されたことに口を開く。


「後衛ばかりを狙っているのは遠距離攻撃を避けるためか? 」

「おそらくこの魔族の軍勢の後方にこの魔弾を撃っている魔族がいるわね。デイト様どんな魔族かわかりますか? 」


 マノーリアが葵に返答し、デイトへと問いかける。デイトはしばし思考しながら、近寄る魔族を数体斬り倒してから返答する。


「過去にもいた上位魔族ですね。百目千里眼という能力を持ったヴィネアスという魔族でしょう。先ほどから無数のホールを作り出し魔弾を撃ち込みをしてくるのがヴィネアスの攻撃です。遠距離攻撃を得意とするスナイパータイプの魔族です。接近戦に持ち込めば勝機はあります」

「この状況で接近戦かよ~ 」


 葵がデイトの言葉に空を見上げて魔弾の雨にうんざりだと言わんばかりの声を漏らす。麻衣がその葵を叱咤するように声をかける。


「葵! やる気のない声を出さないで! 結界をつくるからその間に前進しなさい! これ以上好きにやらせないわよ! 」


 麻衣が歌いはじめWBHを中心に結界を作り出し、麻衣がある程度結界つくるとWBHの甲板へ移動する。魔族の軍勢は麻衣の結界に弾かれるように後退していく、それを見たデイトが麻衣に声をかける。


「麻衣さん身を隠してください! 」

「えっ?! 」


 次の瞬間結界内に魔弾が撃ち込まれ麻衣が直撃を受ける。


「麻衣! 」

「麻衣さん! 」

「遅かった…… か…… 」


 ヴィネアスは後方で満足げに嘲笑する。


「ちっ外したか、常時展開の結界など我百目千里眼の前で意味などないわ」


 麻衣瞬時に防御魔法も展開していたようで即死には至らなかった。麻衣が倒れているところに葵が駆けつけすぐに救助し身を隠す。


「麻衣大丈夫か! 麻衣! ヒール! 」

「ごめん か、過信してたのはあたしだったみたいね」

「しゃべらなくていい! ヒール! 」


 葵は魔弾の攻撃が止まった瞬間を見計らい皆の元へと麻衣を抱いて移動する。


「葵くん麻衣さんは? 」

「大丈夫ヒールで回復はさせてある。今は気を失ってるけど大丈夫」

「よかった」


 マノーリアと梔子が安堵の表情を浮かべる。デイトも葵のところへ歩みより、皆に声をかける。


「ヴィネアスは結界の魔力の流れを読み取り隙間を狙って攻撃ができるようです。防ぐには完全結界で籠城するか、その都度に防御で防ぐしかありません」


 ヴィネアス常時展開する魔法や結界は、ヴィネアスは読み取る能力がある為、結界を展開したとしても結界領域内を自由に動くことができない。物理的な遮蔽物に身を隠すか、瞬間的な防御で攻撃をしのぐしかない。デイトの眷属も次々とヴィネアスの魔弾によって倒され、特に防御力の低いはにわ騎士は数体しか残っておらず、徐々に戦力を削られている。


「けっこうヤバい感じか…… 」


 葵は形勢逆転の窮地に追いやられ策はないかと思考巡らせる事しかできなかった。



お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

いいね、ブックマーク、評価、感想、レビュー何かひとつでもちょうだいいただければ、励みとなりますのでよろしくお願いいたします。

ぜひ、下の☆印にて評価してただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ