44-無謀な加勢
2体の支獣が先陣をきる。一体は陸からもう一体は空から攻撃する。その後に斥候隊の前衛を勤めるツインキャットの二つ名を持つ梔子と咲が一子乱れぬ連携で次から次と魔族を切り刻む
「隊長!更に強くなってません?」
「まだまだ、後ろのふたりに比べたら全然よ!」
「マニーさんと葵さんからなんか紫色のメラメラが出てます。加護の力だけじゃないんですか?」
「今の葵なら、この程度相手なら加護の力使わないでも倒せるかもよ」
「クーそれはオーバーだ!俺は出し惜しみしないで加護の力使いまくるぞ!」
「闘っている間に話せるだけ余裕があるって事ですよね?一体何があったんですか?」
前衛は葵達が加勢し問題なく魔族を倒していく、後衛で援護する花の後ろから声をかけられる。
「花さんご無事で何よりです」
「えー!こ、皇女様!柊さん?とお二人ははじめまして…あたしの耳でも音が聞こえなかった…背後に来たんですか…」
「花さん、お二人はデイト様と信治さんよ、後、今気がつけなかったのは仕方ないから気にしないでね」
「は、はい?」
花がいきなり現れた、環、デイト、柊、信治に驚いている。当然だろう、デイトの速度で来たので気づきようがない。デイトが戦況を見て口を開く。
「問題はなさそうですね。必要ならわたしも参戦しようかと思いましたが…その必要はないようです。」
「ええ、少々様子を見ましょう。念のため皇女として、祝福をしておきましょう」
環が少し大きめの金剛杵のような法具を両手で持ち胸元あたりにかまえる。金剛杵と大きく違うのは両方の爪の部分に水晶のような玉が浮いているように輝いている。その輝きはひとつは金色の輝きで、もうひとつが黒く輝きを放つ、環が祈りのようなもの呟き金剛杵を頭上あげると戦闘中の皆に光の輝きが雪のように降り注ぐ。
「皇女様ありがとうございます!あたしも前出ます!」
「花さん、この子をお貸しします。アリスは前衛の援護に向かいなさい。」
環がそう言うと環の支獣が花の側へとよる。環の支獣はユニコーンのような一角の馬の容姿をしているが金色に近い毛色をしている。環が支獣を撫でながら指示を出す。
「ロータス、花さんは弓の名手で全体の戦況を把握できる耳を待っているの、手助けしてあげて」
「皇女様ありがとうございます。ロータスよろしくね!」
花はロータスにまたがり前衛の援護へ向かう。ロータスは空へ駆け上がり、上空から花の弓技が魔族達を狙う。前衛へアリスが向かったことにより、後方に環達が到着した事が前衛にも伝わる。
「環さんとデイト様いるなら、怖いもの無しだな!たたみかけるぞ!」
葵が柴崎のモノクルスコープを左目に装着して、敵の急所を攻撃に転じる。グラビティコントロールで動き鈍くさせてディスピアの必中で獣人達も絶命していく。マノーリアも紫炎の剣技を放ち周辺の敵を一掃する。
「咲!あたし達も負けてられないわよ!」
「葵さんもマニーさんも圧倒的じゃないですか!」
梔子と咲もまるで分身したような連携で敵に攻撃防御とさせる暇を与えず攻撃していく、梔子も尋常でない力を短期間で得ているがそのバディをこなせる咲も使節団の旅の間も鍛錬を怠っていない証拠だ。そんな圧勝ムードの中だが、誰も気を許していない状況だったが、ひとりだけ勘違いしている者がいた。
「ゴブリンとかオークなんてザコキャラじゃん!今の僕なら!」
信治が環達から離れて橋のところまで来ていたのだ。信治は覚えたての魔法を手負いのゴブリンに放ち一体倒せたことにより、さらに前衛付近まで来てしまった。それに気づいた花が上空から皆に知らせる。
「みんな!信治さんって人がそっちにいった!ひとりで大丈夫?」
「なんで?信治がいるの!」
「柊さんは一緒じゃないの?」
「信治!下がれ!お前死ぬぞ!」
一方後方でも信治がいない事が判明していた。
「申し訳ありません。環様!まさか信治さんがこの状況で前衛に行ってしまうとは…」
「仕方ありませんね。信治さんにも祝福をかけておきます」
「必要であれば、わたしが救出いたしますが、ここまで状況が理解できないなら、一度恐怖心を感じた方がよいかもしれません。彼には、わたしの祝福もかけておきます。ある意味では、神無月さん達の良い訓練にもなるでしょう」
「ありがとうございます。環様、デイト様、わたしも前衛に加勢して参ります。」
「わかりました。無理はしないように!」
柊が前衛に加勢に向かった。デイトが首を傾げる。
「どうされましたか?デイト様」
「彼女の能力であれば長月さんがいなくなる事を気がつかないようなミスをするでしょうか?」
「誰にでもミスはございますでしょ?」
「彼女の能力であれば限りなく確率の低いミスですね」
信治は環とデイトの祝福によりかなりの防御力を有する状態になったが前衛の皆が知るよしもなく、前衛は信治を護衛しながらの闘い方へと変更している。とはいえ、葵達が劣勢になることはなかった。それだけの戦力差がある。しかし、さらに信治の行為が皆を追いつめる事になる。
「僕だって!この程度の奴ら!サンドストーム!」
信治の顕現させた土魔法の砂嵐により、花の火魔法の壁が消される。魔族の動線を集約していた火の壁がなくなり、葵とマノーリアが梔子、咲と入れ替わり最前衛におり、縦に長く陣形をとっていた横合いから、火の耐性がなかったリザードマンが前に出て信治に迫る。さらに近くにいたウェアウルフが梔子と咲の行く手を拒み分断される。信治のところへ空から花とロータスそしてユキが護衛に入る。近接戦を苦手とする花には荷が重く、事の発端の信治は恐怖からその場に経垂れ込む。梔子は咲へ指示を出す。
「咲!あなたの脚力なら、さらに後ろの敵を越えていけるよね?」
「可能ですが背中が無防備になります」
「あたしが援護するからってこと!咲、花のところ行って助けてあげなさい!あたしは前のふたりに合流するから!これは命令よ!」
「わ、わかりました」
咲は梔子の援護で花達の元へと後退した。状況が一変した直後、嫌なことは続く、葵とマノーリアへ敵のいないところからの攻撃が来る。葵は岩の壁をとっさに作りマノーリアを抱き抱えるようにして岩影に隠れる。
「どういうこと?」
「マニー何かいる!」
この状況に新手の攻撃が葵とマノーリアに迫る。
お読みいただきありがとうございます。
引き続き次話をお読みいただければ幸いです。
よろしければ、評価とご感想をちょうだいいただければ励みとなりますので、よろしくお願いいたします。
冬童話2021投稿用に、連載中のSTRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
【短編】姉妹のさがしもの
https://ncode.syosetu.com/n0703gs/




