436-邪神の覚醒
魔王メフィストが率いる魔王軍を壊滅させた。ワァプラたちも拠点とする邪神の大地へと帰還していた。
「人間どもが剣を回収しただと? 」
「あの忌々しい剣がなくなった事は良いことではないのか? 」
「わざわざ回収するとなると人間どもも何かしらの算段をしているのだろう」
帰還したワァプラの元へ配下の魔族から報告があったが、特に大きな交戦に発展せず聖剣を回収するとすぐに立ち去ったとの報告だった。魔族にとってみれば女神が大地に突き刺した聖剣など、近寄る気にすらならないのだが、極地からこちらに立ち寄り回収するならば聖剣に何かしらの目的あるのは間違いない。サタナキアが楽観的にワァプラ訪ねたが、ワァプラは顎をかきながら何か思考するように返答する。そこへサーベラスがにじみ現れ、ワァプラがサーベラスに声をかける。
「どうしたサーベラス? 」
「ファーマーによると邪神様の目覚めが近いとの事です」
「わかった。では、玉座の準備を急がせよ! 」
「御意! 」
サーベラスはワァプラの指示に頭を下げにじみ消える。サタナキアが胸を高まるかのように声音をいつもより高い声をあげる。
「待ちに待った邪神様の目覚めの時か! 」
「サタナキア殿、いよいよ我々の攻勢の時が来た。兵たちの準備も急がせ人間どもの大陸への侵略を開始するぞ」
「おお! わ、ワァプラ殿! 武者震いが止まらぬ、止まりませんぞ! 」
「まぁ サタナキア殿気を急ぐな! まずは邪神様を出迎えが先だな」
「では、玉座へ」
ワァプラとサタナキアは玉座の間へと向かう、いつ目覚めるかわからない邪神の為にあつらえられた開かず間である。ワァプラとサタナキアが玉座の間へと入るとサーベラス他配下がすでに玉座の雛壇の前に整列している。ワァプラとサタナキアが、その中央へと並ぶとファーマーが雛壇へと駆け上がり、何か作業を始め準備ができたのかワァプラへと声をかける。
「ワァプラの旦那~ 邪神様をこちらに呼びますんで~ 」
「わかった」
ワァプラは一言返答し頷いてファーマーへとすぐに作業に取りかからせる。すると玉座の奥の壁にかかるカーテンが開けられ壁が露となり、その壁が無作為に亀裂が入り黒い光を放ち球体が現れる。柴崎直哉のカラダが球体の中で浮いている。ファーマーが脇に控えていたサキュバスをふたり呼び寄せ球体の脇に立たせ、ファーマーは雛壇から降りる。
「いよいよでぇ~ 邪神様ぁ~ お目覚めくだせぇ~ 」
柴崎の瞳がゆっくりと開き眼下の様子を伺うように見渡し不適な笑いを顔に貼りつけた後黒い糸のような光が球体の脇に立っていたサキュバスふたりに絡みはじめる。サキュバスは苦しみもがきながらも、その表情には快楽と、その苦しみを更に要求するようなあえぎ声を発する。それを見ていたサキュバスの女王婀娜とカースメイカは身悶えるようにカラダを揺らし手は胸と股へと滑らせていく、女性型の魔族には快楽的な作用が働いているようだ。そして拘束されたサキュバスが昇天とともにその姿を消し去ると球体の中の柴崎が球体に手をかざして球体を破壊し、一歩前に歩み目の前にいる配下たちへと声をかける。
「ワァプラよ 久しぶりだな。そちらはサタナキアだな 人間どもを殺しに参るぞ! 」
「はっ! 」
ワァプラがこうべを垂れたまま邪神へと声をかける。
「ありがたきお言葉、尚、過去に女神が突き刺した聖剣が人間どもが回収したことにより、以前のお姿も回収可能です」
「うん? そうか、しかしこちらのカラダの方が相性が良いようだ。しかし、使えるのなら取り込んでおくか…… 」
邪神がそういって黒い光の糸が、外へとスルスル伸びていく、邪神は改めてワァプラたちを見て口を開く。
「ワァプラよ 兵たちを集めよ直ちに人間どもを駆逐する」
「御意! サーベラス! 婀娜嬢! カースメイカ! アドレス! セイレーン! 配下の者を直ちに集めよ! ファーマーは更に兵の収穫を急げ! 」
「はっ! 」
ワァプラの指示にサーベラスたちが玉座の間を後にして各部隊の魔族たちを集める。ファーマーは魔族の大量生産をする為、歌い踊りながら種まきをはじめる。
「じゃし~んさま~がおめざめでぇ~ にんげんどもを根絶やしにぃ~ おっ? おー 」
ファーマーが種を撒いているとゴゴーっと地鳴りがして地揺れが起きる立っているのもやっとの揺れだ。ファーマーは尻餅をついて周りの様子を見る。
「おったまげたぁ~ もんだでぇ~ これが邪神様のちからけぇ~ 」
先ほどの揺れは邪神が聖剣によって眠らされたカラダを融合したことによって発生したものだった。
「ワァプラ、サタナキアよ、アマテウスが目覚める前にこの星の命を全て奪う! 厄介者が現れる前に人間どもの心を挫くのだ! 」
「はっ! 」
とうとう邪神が完全な状態で覚醒した。柴崎のカラダを得たことによって、過去の邪神よりも力をました。新たな守星大戦がはじまろうとしていた。
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