42-身の丈にあった武具選び
騎士団演習場の隣には武具庫があり、騎士達が武器・防具を調整したり、新たな武器・防具の発注ができる。支給品であれば無料だが、マノーリアや梔子のように、フルオーダーメイドだと1/3を自己負担することになる。彼女達レベルの騎士はフルオーダーメイド品でないと、武器・防具がもたない為、オーダーメイドをしている。けして支給品が品粗なわけではなく、彼女達が強者なのだ。武具庫に到着しまずは防具から品定めする。梔子がある程度、目ぼしい品を武具庫の管理人に伝え用意してもらう。
「信治の背格好からみるとこの辺かな?防御力に特化した方が良いだろうし、魔装衣の鎧下を着て、胸当てと胴当てもした方が良いよね~グローブと袖と結構な重装備になるな…信治重さ平気?」
「着てみないとわからないよ~」
「じゃあ着てみて!」
信治が着替え終わり出てくる。葵が声をかける。
「重くないか?」
「普通にしてれば問題ないけど動きにくいかな?葵くんみたいな、軽装じゃあダメなの?」
「意外だな信治なら、フルプレートとか選ぶと思ったけど」
「僕だって、フルプレート着たらダメなの位わかるよ!まだ、レベル低いんだから!」
「そっちの意味ね…レベルとかまだ言うのか…」
「葵くんが軽装なのは、葵くんの戦いかたと基本的な防御力があるからよ、信治くんはまずは防具で防御力高めないと!」
「信治さん、マノーリア様のおっしゃる通りですので、梔子様がお勧めされる物まずは使用されるのが良いとわたしも思います。」
「そ、そうだよね。やっぱり、騎士長と斥候隊隊長が直々に選んでくれるんですもんね♪柊さん」
「そうです。普通の兵や騎士ではありえないことなんです。」
信治が柊の誘導で素直に聞くようになり、最終的な防具の装備が決まった。信治の体力の無さを考慮し、胸当てとすね当てを装備する。更にヘルムをかぶる事となったが、マスク型でなくハーフヘルメットの首もとまで隠れるタイプだ。鎧下とグローブや肩肘膝のパットは全て魔装衣製の防具となった。さらにその上から、魔装衣のマントを羽織防御力を高めた。
「まぁ~これだけの装備なら無防備でも高位魔法でも一撃くらいならなんとかなるかもね。」
梔子も納得が言ったようだ。次は武器ねといい武器の棚へ移る。
「信治は葵くんみたいに何か剣術みたいのやって無かったの?」
「僕は大剣使いだったよ!」
葵が信治の発言に呆れて声をかける。
「信治!ゲームはノーカンなっ!」
信治がふて腐れた顔しながら冗談だと先程の発言を無かったことにする。
「足も速いわけでもないよね?」
「うん…」
「弓とか槍も接近された時に対象できないしね」
「クー、信治くんはいずれにしても後衛になるし、直接闘うことは基本無いはずだし、そうなるとそばには、必ず環さんと柊さんがいるし、中衛でわたしもいるから、基本的な武器で良いと思うわよ」
「そうだね。そしたらライトショートソードか短刀かな?信治どっちがいい?」
「やっぱり、オモチャみたいな剣とか刀になるか…」
「基本の装備よ!オモチャとか言わないの!」
「じゃあ、なんで葵くんは最初からあんな剣なんだよ!」
「葵は、あんた達の世界の剣…なんだっけ?剣術やってたから基本ができてたの!」
「葵くん剣道とかやってたの?」
「まぁ~高1までだけどな」
「だから、自分の使いたい武器があるなら、この剣を使いこなせるようになってからにして!ライトなら片手で降れるし、片手で他の武器も使えるしね。」
「わ、わかったよ、あ、柊さんはどんな武器で闘うんですか?」
「わたしは刀かサーベルを得意としています。最近は刀を所持する事がほとんどですが、ライトショートソードなら、梔子様ほどではないですが、お教えする事できますよ」
「じゃあ、この剣で良いか!」
柊が教えられると言った瞬間に、信治の持ったライトショートソードはオモチャでなく最高の武器と認識したようだ。柊が武具が揃ったのでと信治に柴崎のブレスレットを渡す。信治は左手に着けたブレスレット見せながら柊に尋ねる。
「柊さんの魔力の入ったブレスレットならここにありますよ?」
「こちらは、環様の光魔法のブレスレットです。わたしは土魔法資質なので、環様が光魔法の精神系防御と支援魔法と体力向上魔法のブレスレットになります。」
「そ、そうなんだ。ありがとうございます。」
5人は演習場に出て信治に魔法の手解きをする。柊が信治に指示を出す。
「まず、環様のブレスレットの力で精神系防御と支援魔法を全て使用してください。」
信治が言われた通りに魔法を顕現させる。
「これで、一定時間は向上している状態になります」
「凄い!自分でも強くなっているのがわかる!」
「次は土魔法の防御と攻撃魔法を使ってみましょう」
信治は問題なく魔法を出せるようになったが、あくまでも借りた力であることは変わらないが、本人は浮かれている様子に見える。けして強くなった訳ではなく一般の兵士見習いの力に追いついた程度だ。
「調子に乗らなきゃ良いけどなぁ~」
一通り試し打ちを終えて休憩する。魔力も回復させここから基礎体力作りの稽古を始めようとした時に西の空に救難魔法のエマージェンシーの光の柱がそびえる。演習場に魔力のスピーカーでアナウンスが入る。
「使節団斥候隊2名より、街道の結界の亀裂より魔族多数出現!使節団手前5キロ!都まで3キロ地点!至急救援要請との事!」
「使節団の斥候隊ってまさか!」
「咲!花!」
梔子が支獣のユキを呼び自分の部下を救援に向かう。
「マニー!俺たちも向かおう!柊さん!環さんとデイト様に報告お願いします!」
「わかりました!直ぐに報告して我々も向かいます!」
「信治は来るなよ!」
葵とマノーリアは自分達の支獣に乗り梔子を追うのであった。
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冬童話2021投稿用に、連載中のSTRAIN HOLEの世界とキャラクターを使用して短編を書いてみました。
本編を読まなくても、完結するように書いておりますが、時期的なものや状況は本編とリンクさせておりますので、合わせてお読みいただければ、より楽しんでいただけるかもしれません。
【短編】姉妹のさがしもの
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