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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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425-歯に衣着せぬ物言いが心地いい心境

「魔王メフィストはこの城を放棄し敗走した。残党を全てを殺せ!! 」

「邪神様を崇めぬものなど存在させるな! 」


 邪神軍の士官的存在の上位魔族が鼓舞する言葉に血をたぎらせ殺戮に熱狂する。魔王メフィストに捨てられても尚魔王軍側の魔族もそれが使命とばかりに、その場から離脱するものはいなかった。


「陛下の後退を援護する! 肉壁となれ! 」

「できるだけ多くの邪神軍を道連れにしろ! 」


 魔族は死に対する恐怖がない為、戦略的撤退が下されない限り、末端の魔族は撤退でなく死を選ぶ。


「我々の目的は魔王メフィスト率いる全てを葬ること、ここの指揮はアドレスと婀娜嬢に任せる。」

「御意! 」

「承知いたしましたわぁ~ ワァプラ様ぁ」


 アドレスと婀娜が別の魔艇へと移動し、ワァプラが更に続ける。


「サタナキア殿とサーベラス。メフィストを追うぞ!」

「承知した。ワァプラ殿が先陣きられるとは血が騒ぎますな! 」


 サタナキアが口角をあげてワァプラに返答をする。サタナキアの表情は楽しげだ。ワァプラも口角をあげて返答する。


「そもそも邪神様のご命令だからな、魔王を名乗るバカを始末しなければ邪神様の怒りをかってしまうからな」

「違いない! ハッハッー! 」


 サタナキアが声をあげて笑う。ワァプラたちを乗せた2隻の魔艇も魔王メフィストの追撃に向かう事となった。


 葵たちマノーリア救出の為に、WBHで上空から魔王メフィストの船を追っていたがまだ補足できていなかった。WBHの艦長である萌がぼやく。


「こっちの方が足が早いのにまだ追いつかないの? 前より速度が出てるのかな? 」

「メフィストにしてもシルクハットにしても力が増していたから可能性は高いよね。わたしたちも手伝うからさ 」

 

 梔子が萌に返答する。共にメフィストたちの船を探している咲と花も萌に梔子に同意とコクコクと頷いて見せ、萌がふたりに声をかける。


「咲ちゃんと花ちゃんもよろしくね」

「斥候のわたしたちはなれてますから」

「お姉ちゃんの言うとおりなれてるので」


 咲と花は萌に快く返答する。


「頼りになるね~ ふたりとも~ 麻衣さん戻って来たら麻衣さんにもお願いするからね」


 萌が咲と花に穏やかな表情で感謝を伝えると

「そういえば麻衣ちゃんは? 」

「葵くんのところに行ったよ」

「そっか…… 葵のことは今は麻衣ちゃんに任せるのが一番かもね…… なんとなく似た者同士だよねふたりとも性格も全然似てないのにね~ 」

「それわかる~ なんだろうね。負けず嫌いというかなんというか? 」


 梔子と萌が葵と麻衣の事で同感していると咲がそこに加わる。


「麻衣さんは元の世界で有名人だったですもんねだからなのかカリスマ性みたいのは感じますよね。葵さんにもなんとなく頼りたくところってありません? 」

「確かに…… いつもテキトーにあしらわれているのに葵くんが前にいると安心できるというかね」


 咲の言葉に萌が軽口を言いつつも納得している。梔子がいつもより低く真面目な声音で口を開いた。


「マニーのことみんな心配だけど、葵にも気持ちを切り替えてもらわないとね」


 その頃麻衣が葵の様子を見に部屋に行ったが部屋にはおらず、信治とベルーフが使っていた作業場から音がするのでドアを開いた。


「ここにいたんだ。こんな時に整理? 」

「こんな時だからだよ。カラダを動かしていた方が少しは気がまぎれるからな」

「そうね」


 麻衣が部屋の中央の作業台に目を向けると真新しい大盾があることに気がつく、大盾と言ってもカーンが使用していた盾に見慣れている麻衣からすると細身でシンプルな盾だ。


「この盾は? 」


 部屋を整理していた葵が盾に目を向ける。


「信治とベルーフが別れる前にカーンの盾で使えるパーツと新しい素材で作り替えたって置いていった。タンク職でなくてもモノクルかバイザー使えば使用できるって」

「でも、今のメンバーで装備するとしたら葵かあたしか萌あたりかしら? 萌だって基本はこの船から出て戦わないから使う機会はなさそうね」

「そうなるなオレか麻衣のどちらかだろうな」


 デイトは大剣で梔子は二刀流、咲と花はマジックアローやロングレンジマジックライフルとショートソードを使い分けるので、大盾を装備するのは皆防御力は上がっても攻撃力や機動力が下がり無駄になるので、片手剣のブロードソードを装備する葵かスキルや魔法メインの麻衣が装備するのが一番相性がいいだろう。葵が大盾に近より指をなぞるように触れる。


「武器は形を変えても作り直せるけどオレたちは死んだら終わりだからな…… 」

「そうね。バカな真似するのはこれっきりにしてよね」

「オレはカーンほど正義感を持ち合わせているわけではないからな……… 」

「正義の形なんて人それぞれよ」

「だな…… 」

「けど、マニーを救いだすまでは、その盾は葵が装備しなさい。またその時になって冷静さを失わないように、もし、マニーを救えてもそれであなたや他のみんなが犠牲になれば一番傷つくのはマニーなのはわかっているんでしょ? 」

「ああ…… 」

「ならいいわ話はおしまい。せっかくこの部屋に来たならわたしもバイク磨こうかしら」


 麻衣がそのまま奥のドアから格納庫へと向かう。葵自身も理解はしている。マニーの救出に犠牲者を出すような真似はできないと、しかし、葵の逸る気持ちが焦りや不安にさせる。しかし、麻衣の歯に衣着きぬきせぬ物言いが今の葵には心地よかった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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