422-マノーリアとの別れ
こんにちは橘 弥鷺です。
おかげさまでSTRAIN HOLE連載2周年を向かえることができました。
多くの皆様にお読みいただいてブックマークをつけていただいて、感想やレビューいただいて励みになっております。
STRAIN HOLE終盤に入ってきております。(まだ終わらないですが)最後までお付き合いいただければ幸いです。
これからもよろしくお願いいたします。
「くそっ! 煙が邪魔だ! 」
葵は風魔法を使い周りの煙を払う。
「エール! マニーかアリスを探せ! 」
「ワン! 」
葵は支獣のエールと共に爆発で飛び散る瓦礫を交わしながら胸壁があった場所へと向かう、胸壁と周辺の砦は瓦礫と化しており、その攻撃の威力を物語っている。普通の騎士や兵士であれば即死していてもおかしくないが、マノーリアも一級の騎士であり、女神と眷属からの助力を授かる選ばれし騎士である。葵たちが交わせたようにマノーリアも交わせていると葵は疑わなかった。葵は胸壁のあった場所を見つけフライトバイクで降りる。
「階段が残ったのか? 」
胸壁の内側の階段周辺が残骸として残ったようで階段を覗くと螺旋状に下に降りられる。
「エール行くぞ! 」
「ワン! 」
葵はブロードソードを鞘から抜いて階段を降りていく。エールも戦闘形態だが体を小さくして葵を追い抜いて下へと飛んでいく。階段を降りると3方向へと回廊が現れた。おそらく左右は砦を行き来する回廊となると正面の回廊が城へと続く回廊と葵は判断し直進する。魔王軍の魔族も邪神軍との戦いに出払っているのか、回廊にはまったく魔族が現れない。200メートルほど進むと広い階段が現れる。
「この上が城か? 」
迷いようのない直進の回廊に階段、まるで葵を誘うかのような回廊。葵は迷うことなくその階段を上がると、広い部屋に出た。城の一階なのか左には大きな扉が見え魔族行き来するのが見えた。右を見ると上へ続く階段が見える。葵は身を隠し魔族の様子を伺っていると階段側から声をかけられる。
「あいつらに気づかれると面倒だ…… 」
「神無月葵殿お待ちしておりましたよ」
「シルクハット! 」
葵はシルクハットへと攻撃を仕掛けるが、シルクハットはステッキで葵のブロードソードを受け流す。
「少し頭に血が上っているようですね。少々冷静になられてはいかがですかな? 」
「冷静でいられるか! 」
シルクハットの言うとおり、葵はいつもの冷静な葵ではなくなっている。
「今のあなたにわたしは倒せませんが、残念ながら今回はあなたを殺すために招いたわけではありませんからね~ 」
「黙れ! マニーはどこだ! 」
「そう焦らなくてもお会いできますよ。陛下もそれをお望みですからね」
シルクハットは、葵の猛攻を軽くあしらい、まるで葵を誘うように階段の上段まで上がった。扉の前には化け猫メイドたちが並んで立っている。
「来賓をお連れした。さぁ神無月殿中へとどうぞ」
シルクハットは葵をさらりと交わし葵を開いた扉の中へとはね飛ばした。
「くそっ! なんのつもりだ!!」
扉の中は玉座の間と言わんばかりの広間で奥には雛壇になった所に黒々とした椅子がひとつおかれている。
「神無月! 久しぶりだな! 」
「メフィスト! 」
雛壇の脇にはバルコニーがあったようでそこからメフィストが現れる。葵は改めてブロードソードをかまえメフィストを直視する。魔王メフィストが高笑いをして葵を見下すような笑みを携え口を開いた。
「お前のその顔が見れてオレは嬉しいよサイコーだ!
けどここからはお前の悲痛な姿を見せてもらうさ 」
「何、わけのわからない事を言っている? マニーはどこだ! 」
「まだまだ余裕だな」
「メフィスト! 」
葵は、そのまま突進して剣技の連撃を放つが、見えない防壁に弾かれメフィストに届かない。メフィストが薄ら笑い葵に改めて声をかける。
「さぁ式を始めようか、来賓静かにしていただけるかな」
すると葵の入ってきた扉が開き、そこには黒と紫のドレスに身を包んだマノーリアが立っている。マノーリアの少し後ろには化け猫メイドが2匹立っている。
「マニー! 」
声をかけられたマノーリアが、葵の存在に気がつき顔をあげる。マノーリアは涙を流しながら無理やり笑顔を作り葵に返答する。
「あ、葵くん…… わたしは大丈夫だよ…… 心配しないで…… 」
「マニー! どうしたんだよ? 」
「…… うん…… 」
マノーリアは、葵の問に言葉が出ないようで、ただ頷くだけで葵の前を歩いていく、葵がマノーリアに手を伸ばすがマノーリア周辺にも結界をかけられているのか、見えない防壁によって、葵はマノーリアにも手が届かない。そしてマノーリアは雛壇に上がりメフィストの隣へと立つ、メフィストが強引にマノーリアを抱き寄せて唇を奪う。マノーリアはとっさにメフィストの胸を突き飛ばす。メフィストは高笑いをして口を開く。
「そのくらいの気の強さがちょうどいい、時間は充分あるし、いざとなれば薬でも呪いでもかけてでもオレの物にしてやる」
「最低ね。それでカラダは奪えてもこころまでは許すことはないわ! 」
「せいぜい足掻くと良いさ! 」
マノーリアはメフィストを睨み付けて反論するがメフィストは余裕の表情でマノーリアをもてあそぶ。
「シルクハット式を始めろ! この式さえすればお前は鎖に繋がれたも同然だからな」
シルクハットも雛壇に上がりステッキで魔方陣を画く、何をしているのかは葵には意味はわからないが、この儀式のようなことが成されてしまうと不味いことだけは直感的にわかった。
「やめろー!! 」
葵は渾身の力で剣技を何度も何度も繰り返し放つが結界を破壊することができない。それだけメフィストやシルクハットの力が以前よりも強くなっている証拠だ。葵が肩で息をするようになり、気持ちが折れそうになり膝ついた頃、城の壁が破壊され砂ぼこりが室内に立ち込めた。
「葵ひとりで突っ込みすぎだ! 」
「団長…… 」
「マニーが心配なのは葵だけじゃないんだよ! 」
白檀と梔子が葵の両脇に立ち葵をふたりで引き上げる。葵の正面にはデイトとカーラスがたちふたりが剣技の連撃を放ち白檀が葵に声をかける。
「葵まだ休ませねーぞ! ほら行くぞ! 」
白檀は大太刀をかまえて白檀も攻撃に加わる。梔子もほぼ同時に突進する。さすがに魔王の防壁も眷属神と代行者の代わる代わるの攻撃に砕け散った。デイトとカーラスがそのままシルクハットへと攻撃を仕掛ける。メフィストとマノーリアの間に化け猫メイドが立ちはだかり、白檀と梔子が対応する。
「招かざる客人…… ここまで加勢されるとは…… 建て直しが必要ですね」
シルクハットも眷属神ふたりを相手にするのは荷が重いらしい。デイトがカーラスへと声をかける。
「ヤツの左手のロザリオだ! 」
「承知! 」
デイトが大剣を振りかぶりシルクハットはステッキで防ぐが、カーラスが上空から刀で器用に左手のロザリオをひっかけ引きちぎる。
「チッ!! それがなければここにとどまる理由はもはやなし! 」
シルクハットが珍しく苛立った顔を見せて後方へ下がり、デイトとカーラスから距離とったのを見てメフィストが声をかける。
「シルクハットどうするんだ? 」
「無駄な戦いは好みません。 陛下退却を! 」
「わかった」
メフィストがシルクハットに同意して頷くとメフィストは手をかざして大量のスカルナイトやアンデッドウォーリアを顕現させる。一気にメフィストたちと葵たちの間に魔族が入り乱れる。葵が跳躍しメフィストへとブロードソードを突き刺そうとする。
「マニーを返せ! 」
「チョー焦ってんな」
メフィストが剣で葵のブロードソードを凪払う、その威力は以前の比ではなかった。葵はそのまま投げ出され魔族たちに囲まれる。
「葵くん!」
「マニー! 」
マノーリアも葵に届くことのない手を伸ばす。葵もスカルナイトやアンデッドウォーリアを斬り倒しながらマノーリアに声をかける。
「悲恋だね~ ハッハッハッー 」
メフィストが高笑いをしながら玉座の椅子に座ると地震のように城が揺れる。次の瞬間城の一部が分離して船となる。メフィストたちもまた船を3隻完成させていた。シルクハットが声をあげる。
「一斉射撃始め!! 」
魔王軍の船が一斉に自身城と砦を破壊する。爆発と爆煙に包まれる。
「マニー!!!!! 」
魔王軍の船はマノーリアを連れて離脱し葵の叫びは無情にも爆音に書き消されるのであった。
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