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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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419-極点結界

「これが極点…… 」


 思わず葵は上空からその姿を見て自然現象とは思えない人工的な物を感じる。全長数kmはあるであろう大きな円が大樹の年輪のように幾重えにも重なり、何もない平地の極地に描かれている。デイトも窓際に来て極点を確認し口を開く。


「間違いありませんね。極点です。こちらに結界をはりましょう。完全結界であればそう簡単には魔族たちに破壊されないでしょう」


 完全結界となると魔族どころか何人たりとも出入りが不可能となるが、そもそも誰もいない陸地であるがゆえに出入りする必要はない。デイトが萌に声をかける。


「極点の直上へと向かい、高度を下げてください」

「了解! 」

「では、皆さんにもお手伝いいただきます。船首へと向かいましょう」


 萌とジンジャーをブリッジに残し、葵たちはデイトと共にWBHの船首へと向かう。デッキに出るとここが上空であることが再認識できる。航行中の飛行艇のデッキに普通の人間なら出れるわけがないのだが、葵たちは加護や助力、代行者としての力を授かっている。強風の中を歩く程度の感覚でデッキを歩き船首へと向かう。梔子に関しては大気創成の神であるカーラスの代行者となったことで、自分の周辺の空気をコントロールしているので平然と歩いている。船首に着くとデイトが改めて眼下の極点を確認する。WBHも完全に停止し上空に待機しているので極点上空に着いたようだ。


「では、始めましょう」


 デイトの言葉で完全結界の作成にはいる。葵や梔子はあまり結界をつくる作業は不慣れだができないわけではない、麻衣やマノーリアに比べて慣れていないという程度だ。今回はデイトに力を分けてデイトが全員の力を凝縮してつくるようだ。デイトの手から淡い光が極点に向かい降りそそがれる。極点上空にドーム状の結界が生成される。


「これで極点の破壊はそう簡単にはできなくなりました」

「なんか呆気ないわね」

「元々ハードミッションだった訳じゃないからな、移動に時間がかかるってだけだったからな」


 デイトの言葉に麻衣が肩をすくめて軽口を叩く、それに葵が返答するが、その葵の表情にも物足りなさがあるような表情をしている。それを見てマノーリアが呆れながら葵に声をかける。


「葵くんは重傷を負ったのだから物足りない顔をしないの! 」

「結果新しい任務もアマテウス様から聞けたしな、ささっと団長たちと合流して聖剣回収しに行こう! 」


 葵がわざとらしく拳を握り話を反らすように口を開いた。麻衣も呆れながら葵に声をかける。


「どこの爽やか勇者~ 葵は少し自重しなさいよ! 心配する側の身にもなりなさい! 」

「麻衣も心配してたのか? 」

「えっ?! 」


 葵が素の顔で麻衣に返答すると麻衣の顔が真っ赤になりプイッとむくれて葵に返答する。


「な、仲間なんだから当たり前でしょ! 葵のクセに生意気よ! みんな心配してるんだから! あなたの事だけじゃなくて、後衛はみんなの事が見える分心配がつきないの! 」

「ありがとな! 麻衣」

「どーいたしまして! 」

「それじゃ魔王城に合流しますか? 団長たちがある程度終わらしてくれていると楽ですけどね。計画ではこのまま手薄の後方陣地へと強襲をかけるだったよね~ 」


 葵が麻衣とのじゃれあいを終わらすと改めて皆に声をかける。デイトが皆に声をかける。


「カーラスたちに何かあったようですね。戦場は膠着状態こうちゃくのようです」


 デイトがカーラスと同調したようで何かを感じ取ったようだ。マノーリアがデイトに尋ねる。


「何かあったんですか? 」

「そこまでは…… 邪神軍との戦闘は継続しているようですね。カーラスたちと魔王軍の間で何かあったようです。合流を急ぎましょう萌さんお願いいたします」

「了解です。WBH発進! 」


 WBHが急加速し空へと上昇していく、カーラスたちに何かしらのイレギュラーが起きて遊撃を中止しているようだ。そもそも今回葵たちの極点に結界を施す事が目的なので、危険を侵してまでの遊撃をする必要はないのだが、デイトが感じたカーラス感覚は安堵できる物ではないようだ。最大戦速で向かっても数日かかる位置にいる事を考えるとこれ以上状況が悪化することがないことを今は祈ることしかできなかった。

お読みいただきありがとうございます。

次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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