414-仲間を殺める覚悟
「ヒール! ヒール! ヒール! 」
「マニー! 助かった。クーと麻衣は? 」
「大丈夫! ふたりともヒールで回復したわ! 」
葵たちはジンジャーとカーンの猛攻に気を失って墜落しかけたところをマノーリアが3人にヒールをかけ回復させ救った。
「みなさんジンジャーさんとカーンさんを救うことはあきらめてください。ふたりは明らかに魔族の力にとりつかれ強者となっています。手を抜けばあなたたちが危険です」
「デイト様? 」
デイトが念話によって葵たちを諭すように語るが、そのデイトの姿はないと葵が目を空におよがすと上空の雲間から黒い石板が顕現する。その石板の上をデイトが滑るように駆け抜け、大剣をかまえてカーンに斬りつける。
「メテオシャワー! 」
カーンは大盾をかまえるが無数の隕石がカーンを目掛けてガンガンとおしきられ地面にまで押し込まれる。
「デイト様そんな事出きるんですか? 」
「まぁ数枚程度でしたらね。わたしから距離が離れれば効力がきれるので陸地上空で行うと二次災害が起きかねませんので、その点極地で地の被害を心配することはありませんからね」
葵の問にデイトは降下しながら極地の大地へと降り立つ、カーンは両足がめり込む程のデイトの剣技でしのいだようだが、肩で息をしている様子を見るとけして余裕があるわけではないようだ。デイトが改めて皆に念話で声をかける。
「後方で萌さんが主砲準備をしています。一気に片づけます。元仲間といえ救う事ができない以上わたしたちの手で葬る他ありません。ジンジャーさんに攻撃を集中すれば必ずカーンさんはジンジャーさんを護る行動に出ます。その時に萌さんの攻撃を指示し、最後に我々が剣技を放ちます」
「デイト様本当にふたりを救えないのでしょうか? 」
マノーリアが最後にもう一度デイトに確認する。
「非常に厳しいと言わざるおえませんね。その場合この中の誰かを犠牲になることも想定し、結果、誰も助けられずに終わる結末もあり得るのです。マノーリアさんもそれは理解しているはずですよ」
「はい…… 」
神に言われるまでもなく、マノーリアは騎士団の騎士長になれるだけの実力者である。しかし、治療師でもあるマノーリアにとっては救える方法があるならばと再度確認したのだろう。デイトが単調に言葉を続ける。
「残念ですがみなさんを犠牲にする可能性があるリスクをわたしは選択しません」
梔子もマノーリアの肩を抱き声をかける。
「ジンジャーもカーンも覚悟していたはずだよ。わたしはそう思う、もしわたしならそんな事で悩んでほしくないもの」
マノーリアも自身が魔族に取り込まれたなら誰かを傷つける前に死を選ぶ。マノーリアも決心がついたのか薙刀を強く握り瞳に光が戻る。それを見たデイトが改めて皆に声をかける。
「では、作戦通りにジンジャーさんを優先して攻撃をしてください」
「了解! 」
全員が武器をかまえて改めてジンジャーとカーンへと攻撃をしかける。デイトが葵に声をかける。
「葵さんカーンさんの大盾が萌さんの攻撃でも破壊できない場合、あなたの聖剣が最上位の攻撃力となります。わたしの攻撃の後、続けざまに攻撃をしてください」
「了解! 」
カーンの大盾はベルーフと信治によってカスタムされた上に竜大陸で得た鉱石のコーティングも施されて更に強化されたこの世界で最も強固の盾である。葵と梔子とデイトがジンジャーへと接近し、マノーリアがカーンに陽動をかける。麻衣が後方から遠距離攻撃をしかける。案の定カーンは魔族化し言語も失うほどに精神汚染されても尚、ジンジャーを護ろうとジンジャーの同一線上へと入り、葵たちの行く手を阻んでいる。デイトが大剣でカーンへと猛攻をしかける。カーンもさすがに眷属神の攻撃にはカウンター攻撃を浴びせる事ができないようで防御に徹している。それでも梔子とマノーリアがジンジャーへと近づけないように、マイクロミサイルやビットを駆使してジンジャーを護り続けている。デイトと葵が代わる代わる猛攻しかけてカーンが我慢しきれずに後方に下がりジンジャーとの距離を縮めた瞬間にデイトと葵がロックウォールで石壁をコの字上に顕現する。デイトが皆に声をかける。
「退避! 萌さんお願いいたします! 」
すると数秒空からWBHの主砲と見られる。直線的なビーム兵器のような圧縮された魔力の光がカーンとジンジャーを直撃し、大きな爆発と爆風が周囲を包んでいく。
「葵さん行きます! 」
「了解! 」
デイトが大剣をかまえてカーンたちの安否確認以前に攻撃に入り葵もデイトを追い後に続くのであった。
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