409-邪神の覚醒準備
悪魔ファーマーは、邪神信仰軍トップである軍司ワァプラの命によって、邪神復活の為の準備を進めていた。女神アマテウスの聖剣を突き刺され、この地に眠る邪神の自然覚醒を待ち望んでいたが、人間たちが戦力を増強していることや計算外であった邪神を信仰しない魔族である魔王メフィストの軍勢を退ける為、邪神を目覚めさせ最大の力を得る事とした。邪神が目覚める事で魔族たちの基本能力など自然向上、強化されることや邪神自身の強大な力を得ることは、ワァプラたちにとって最大の魅力である。ファーマーによる邪神の強制覚醒はサタナキア同様に人のカラダを苗床として邪神を憑依させカラダ精神をその者から奪う方法がとられる。適正の苗床として用意できる人間がいなければ成立しない方法だ。柊を苗床に婀娜を憑依させようとして失敗に終わったのも同様である。サーベラスは人のカラダを苗床に体内で自身のカラダを生成しているので少々勝手が違うのである。自然覚醒に比べカラダに馴染むまでに多少時間が必要だが、人間たちが女神アマテウス目覚めさせるよりも先に邪神を自分たちが覚醒させる事をワァプラは選んだ。
「ファーマーどうだ? 」
「サタナキアのアニキどうもどうも、まだまだ時間はかかりますけどぉ、下準備はてきたんでぇー 」
サタナキアがファーマーのところにたちより声をかけた。培養液が入った大きな水槽の中に人が浮いている。それを見てサタナキアがファーマーに尋ねる。
「この液体はなんなんだ? 」
「これは邪神様の血から精製した培養液ですワイ。これで人間をどぶ漬けにしてる分、邪神様がこの人間のカラダに移った時の違和感ができるだけ少なくするんでさぁ~ 」
「その分邪神様も目覚めてから本来の力を出すのに時間が短くなるわけか? 」
「うんだぁ~ こちらから強制的に目覚めてぇもらうのにぁそれなりの苗床に移す必要ありますワイ。特に邪神様の力はものすげぇーですからねぇ、普通にやったら苗床が耐えられねぇですわ」
「なるほどな」
サタナキアとファーマーが会話をしているところへワァプラがサーベラスと共にやってきた。
「サタナキア殿もここにいたか」
「ワァプラ殿邪神様の目覚めが待ち遠しいものだな」
「サタナキア殿まぁ焦られるなここまで来れば時間の問題だ。ファーマーが納得いく苗床の人間が見つかったのだ。問題なかろう、なぁファーマー」
「へへへへっ! なかなかの逸材ですわぁ~ この苗床の人間は素直でさぁ」
「素直? 憎悪などではないのか? 」
サタナキアがファーマーに尋ねる。
「苗床にはいろいろ条件があるんでさぁ サタナキアのアニキであれば剣士の肉体と強者になる欲望。婀娜嬢は聖職者や生娘の性への欲求と苦悶。サーベラスの旦那は戦士とズル賢さの人間ってところですかねぇ~ けどもぉ~ 邪神様の求める苗床は違うんでさぁ~ 自分の欲望に忠実で欲望の為なら躊躇いもない。そんな精神の人間でさぁ~ しかもこの人間はぁ青星の民ですワイ」
ファーマーは嬉しげに話す。サーベラスがファーマーに尋ねる。
「大陸北の国で拐った男か? 」
「うんだぁうんだぁ~ この男は転移者でありながら女神の代行者の保護を受けずに、人間の羞恥心も他人からの目も気にせずに、数年でこの世界でも人間の言う成功をしたんでさぁ。それは向上心とか志なんてぇキレイなもんじゃねぇ、この男の強欲がそうさせたんでさぁ~ 邪神様の欲しがるカラダに間違いねぇ~ とワシは思ったんですわぁ」
「魔王と同じってことだな? 」
「へへっ! 青星の人間はよくわからねぇですが苗床としてこっちの人間よりいいんでさぁ~ 魔王も、だからこそ魔王になれたってことでさぁ~ そもそも魔王の元はスライムの亜種でぇ どおーってことねぇヤツがあーなってんでさぁ まぁ結局は人間がスライムを取り込んだですがねぇ スライムの力を増大させあそこまでの力を得られる憎悪の持ち主なんて苗床に充分だでぇ」
「邪神様の精神がこの人間に奪われることはないのか? 」
「ありゃスライムの亜種だから奪われた話しでさぁ 人間の大好きな奇跡とも言えるほどの偶然だでぇ」
ファーマーが熱弁をふるっていると水槽の中の人間がボコボコと泡をふく。
「なんだ? 」
「この中で人間が目覚める訳がねぇでさぁ」
水槽の人間がくわっと目を見開く。
「悪くないカラダだ…… 」
水槽内の人間は自身の腕や手を確認して口を開いた。ワァプラがガタンと膝をつく。
「じゃ邪神様」
「ほう、ワァプラか久しいの貴様がもう目覚めているとは、アマテウスどもの始末はどうなっている? 」
「女神はまだ目覚めておりませんが、眷属どもと人間の戦力強化を奴らはしており、眷属の加護を人間どもに与えているようです」
「そうか、貴様たちも力がほしいか…… 他には以前と違うことはあるか? 」
「青星の民とスライムの亜種が融合し魔王を名乗るメフィストなるものが現れています。邪神様との繋がりのない者たちです」
「ほう…… 我を不要とな…… おもしろいワァプラよその者どもを全滅してこい 」
「はっ! しかし、あやつらは極地へと逃げ込んだので、来るのを待っていたほうが我々の武が良いかと…… 」
邪神となった水槽の人間はワァプラの言葉に軽く笑い返答する。
「何を戯けたことを武が良いのは地の利ではない。強者か否かだ。ワァプラそれにそこにいるのはサタナキアにサーベラスだな貴様たちはそこまで弱いのか? 貴様たちが弱ければ我が力を授けることはできぬだろう」
「いえ、邪神様即刻準備に入り、魔王メフィストどもを全滅させてまいります」
「楽しみにしているぞ」
邪神が人のカラダを介してワァプラたちを導くこととなった。その邪神の苗床となったのは転移者のひとりでこの世界でも自力で成功した柴崎直哉だった。
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