399-極地に立つ魔王
「何もないな…… 本当に…… 」
「陛下の城を築くには都合が良いかと…… 極地ですのでこの星を創造した際にできた陸地なので、アマテウスの産み出した生物はいないでしょう」
「邪神の奴らはどうなんだ? 」
「あちらは最初にこの星に侵略をかけた時にできた島を拠点としているのでここに来る理由もないので、来るとすれば我々を始末することが目的でしょう」
「そうかであればすぐに城を築け! 防衛は怠るなよ」
「御意! 仰せのままに」
魔王メフィストたちは大陸から南へ遠く離れた極地へと到着した。位置で言えば地球であれは南極大陸に当たるのだが、緑星の極地は雪や氷床に覆われておらず、草木もない乾燥した砂漠と荒れた大地に、年間通し夕闇のような薄暗い空に太陽は空の低い場所を1日の数時間わずかに姿を見せまた長い夜となる。メフィストはシルクハットへ尋ねる。
「シルクハット他に聞きたいことがある」
「陛下なんなりと」
「貴様たちは不要だがオレの食糧はどうなる? 」
「陛下用に当面の食糧は調達済みでございます。その後品種改良とこの地でも栽培可能な環境を整えれば問題なく」
「なるほど、で、今後はどうする? 邪神信仰の奴らを倒すのか? それとも人間か? 」
「まずは力を蓄え時が来たら進軍する。そうですな三月ほどいただければと思います。現状ですと邪神が目覚める前に邪神軍を討つこと有効と思います」
魔王メフィストは荒野を見ながら軽くため息をつく、シルクハットはそれを見てメフィストに尋ねる。
「陛下いかがなさいましたか? 」
「いや、3ヶ月も何もしないというのもつまらんな」
「力を蓄える為ですが…… 陛下には剣術や戦術の腕を上げていただきたくぞんじます。ただ、飽きぬよう数名のサキュバスとオノケリスを側に着けますが…… 」
魔王メフィストはシルクハットの言葉にうーんと考え混みながら何か言葉を濁すようにシルクハットに返答する。
「に、人間の女がたまにはな…… 」
「陛下……? 」
「いや、人間の女が良いと言うことではないぞ! 人間の女をもてあそび、絶望と快楽の狭間に身を置かせてそれを楽しむのも一興かと思ってな」
シルクハットがメフィストをじっと見てハッと気がつくように目を見開きメフィストに声をかける。
「陛下の側近でありながらこのようなことに気がつかずに申し訳ありません。陛下は半人半魔であることを考えると、生殖器が存在することを失念しておりました。世継ぎを欲する本能も存在することでしょう。どのような人間の女をご用意いたしましょう。これもまた性別的に女なら良いわけでもないでしょう」
「そ、そうだな…… うーん あれだ先日の戦闘時に俺にチャチャを入れた女騎士みたいなヤツがいいな。薙刀持った紫がかった赤髪の女だ! 別に好みとかじゃないからな! それなりの力を持った騎士だ! ああいうのを我妃にしたら人間どもを苦しめられるだろうしな! 」
シルクハットがメフィストを見ながら少し呆けている。
「ど、どうした? シルクハット」
「し、失礼しました陛下! あの者はおそらくアマテウスの力と眷属の力を得ている者と思われますが…… いや陛下のおっしゃるとおりですな…… 面白い余興かと…… では、世継ぎを産ませる者として、あの女騎士のような容姿の人間の女も数名用意し側室を準備させていただきます」
「…… わかった…… 」
「では、御前失礼致します」
シルクハットは配下に指示を出す為にメフィストの前から姿を消した。メフィストはシルクハットが消えたのを確認して言葉を荒野に落とすように小さく口を開く。
「そう言うことでもないどけどな…… 」
メフィストはマノーリアが自分を倒す為でなく救おうとしていた。それは自分と同じ日本人の葵もそうだった。しかし、葵は勇者気取りのようで気に入らなかった。マノーリアには惹かれる思いがありながら今の体がそれを安易に許すことはなかった。半魔となったからなのかそれとも…… メフィストは頭を振って下らない思考をかき消すように声を上げる。
「今のオレが耳を貸す女…… 人間などいるものか!! 全てをオレの前にひれ伏させるんだ! 」
メフィストの人間として感覚が徐々に薄れていく事をメフィスト自身感じていたが自分でもどうにもならないと確信していくのだった。
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