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【祝! 完結】STRAIN HOLE ~よくあるフツーの異世界でフツーに騎士になりました。だってフツーでもそこそこ楽しめますよね? ~  作者: 橘 弥鷺


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33-支獣

 毛並みはクセのあるブラウンに淡く紫がかった毛色をしている。ロングヘアの女性のように垂れた耳をして、まつ毛が上を向き愛くるしい、その姿は、犬のアメリカンコッカースパニエルに近いが、ぬいぐるみサイズなので、デフォルメされている。昔のアニメで似たヒロインわんこがいた気がするが、その背中には白い翼があり、その翼をパタパタとして、葵の回りを飛んでいる。マノーリアの支獣のアリスと梔子の支獣ユキが、ポンと現れ葵の支獣と戯れる。


「この子かわいいわね!葵くん名前どうするの?」


 マノーリアの問いに葵は腕を組考える。


「そうだなぁ…レ…違うな…何が良いかな?…」


 葵が両手を支獣に向けておいでをすると、パタパタとよって来て葵に抱き抱える。


「羽がはえてるし…ウイング…フェザー…ハネ…エール…エールにしよう!お前の名前はエールだ!よろしくな!」

「ワァン!」

「エールよろしくね!」


 マノーリアが手を広げるとエールは葵の手の中からパタパタとマノーリアの胸の中へ飛んでいき小さなしっぽをプルプルと振るわせている。マノーリアの横にいた梔子もエールを撫でる。


「エールちゃんかわいいね~葵とは大違い!」

「クー!俺にかわいいキャラをさせたいのか?」

「特にそういうの求めてません!葵から生まれたとは思えないかわいさだからさぁ~」

「まあまあ、葵くんエールの力を為した方が良いんじゃない?」

「確かにこの見た目から戦えるのか微妙だよね」


 葵とマノーリアと梔子の3人は環達と別れ騎士団の演習場に向かう。葵がマノーリアに尋ねる。


「支獣にはどうやって指示をだすの?」

「特に指示ってほどの事はないわ、自分がふたりいると思えば良いと思うわよ、葵くんができないことをエールが葵くんの思考で行動するから、エールを意識すると同期するわ、慣れればそこまで難しくないわよ!」


 マノーリアが葵に説明していると梔子が声をかける。


「マニー!説明もいいけど、実戦あるのみよ~!葵!久々に本気の稽古しようよ!葵が加護得てから実戦形式の稽古してないでしょ!」

「確かに」

「じゃあ、手加減なしでいくよー!」


 梔子が風魔法を顕現させ、葵に向けて放つ、支獣のユキも巨大化し追随して攻撃を仕掛ける。


「アブね!」


 葵が風魔法をかわすと、エールが巨大化しユキの攻撃を防ぐ。


「エール怒るとけっこう怖い顔をするな~まぁそれは良いとして、エールと連携も考えないとな~エールも加護の力も使えるのかな?ちょっとやってみるか」


 エールがユキを追い空へ舞い上がる。エールがクラッシュロックをユキに向けて放つ


「エールも加護の力が使えるな」

「葵!ずいぶん余裕じゃない?」


 梔子が背後から、剣技のシャープラッシュで葵を攻撃する。梔子の両手に持った剣が無数に打ち込まれる。


「魔力入りかよ!ホントに手加減なしかよっ!」


 葵はブロードソードと左手のガントレットでかわす。


「ダブルエッジ!加護持ちの葵に手なんか抜けないでしょ!疾風斬!」


 梔子は無数の攻撃の中に更に剣技を重ねて攻撃の幅を広げている。梔子は加護得ていないが、明らかに強くなっている。ユキがエールを回避して葵に攻撃を仕掛ける。


「空中戦じゃあ、ユキに軍配が上がるか?」


 葵の姿が霧散する。葵は闇魔法のデコイで回避する。


「葵~!どこ行った~!」


 身を隠す魔法は葵にはない事は梔子も知っている。身を隠す遮蔽物のない演習場で身を隠すとしたらひとつしかない。


「エールにしがみついてるでしょ!」

「バレたか!でも充分だ!」


 ユキがエールに突進するが、葵はエールから離れて、梔子に攻撃を仕掛ける。


「ランドスライド!」

「ウィンドウウォール!くっ!まだまだー!かまいたち!ダブルエッジ!」


 梔子は風魔法で防御をして、ワンテンポ送らせた後に剣技を当てて防御し、最後に攻撃に転じる。


「ちっ!!やっぱさすがだよクー!」

「戦い方でまだまだ葵に負けるわけに行かないからね!」

「そこまでー!ふたりとも!もう良いでしょ!」


 マノーリアが若干呆れた感じでふたりに声をかける。


「もう少しやりたかったな~」

「そうだよ!マニー止めるの早くない?」

「目的はエールの戦力を知ることでしょ?」

「そりゃそうなんだけど…」

「なら、もう充分に戦えるから、後はアリスやユキと連携させるとか、葵くんが戦術を学ぶことで充分よ!」


 マノーリアの支獣のアリスも巨大化し3匹が戦闘時の姿でじゃれている。


「支獣は支獣同士でコミュニケーションとるから大丈夫よ!」

「相性悪いとかあるの?」

「基本的にはないわよ、主人同士が敵対しない限りね」


 3人が支獣が戯れているのを見ていると、後ろから声がかかる。声の主は環の側使えの柊だった。


「環様より、午後からの転移者の方達との交流に同行するように命じられました。」


 マノーリアが小首をかしげ柊の言葉に少々疑問を感じ、返答する。


「柊さん、そうなんだすね。我々だけでも大丈夫だと思ったんですが…」

「恐らく、環様は長月さんの様子が気になっているんだと思います。神無月さんが先程おっしゃっていた事を考えると、場合によっては長月さんは長期的に保護する必要もあるかも知れませんので…」


 葵がふたりの会話に口を挟む。


「会ってみないとなんとも言えないので、俺が役に立つかはわからないですけど、一応俺からもその彼には話してみますよ」


 こうして、葵は柴崎以外の転移者と会うこととなる。

お読みいただきありがとうございます。

引き続き次話をお読みいただければ幸いです。

よろしければ、評価とご感想をちょうだいいただければ励みとなりますので、よろしくお願いいたします。


短編のサイドストーリーを書いてみました。24話までをマノーリアが日記に葵との出会いを振り返りながら回想するお話しです。よろしければ合わせてお読みいただけると幸いです。


【短編】STRAIN HOLE Side Story -encounter-M-

https://ncode.syosetu.com/n9894gq/

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