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カプセルからこんにちは!女神様の為にチートで活躍します  作者: rayiーーレイ
第一章 王国脱出編
7/8

第7話 冒険者としてのスタートと不穏な動き

いつもお読み頂きありがとうございます。

ーー翌朝、ふかふかのベッドのお陰か、全身が痛くない日は久々だ。と言ってもレベルが上がったお陰でその痛みもすぐ治るのだが。


懐かしい温もりを感じる。人肌ってこんなに温かかったんだ。


「うわぉっ」


僕ってこんな声出たんだ。と思うくらいに変な声が出てしまった。端で寝てる僕に何で抱きついてるのさ……。僕は悪くない。しかし、寝起きのミアンに言ってすぐ分かってくれるだろうか。そっと抜け出すのが一番だが、あいにくどう絡み合ってるのかわからないくらいに上手く間接を決められている。


急に締め付けが弱くなったチャンスだ、と思ったのだが……。


『おはょう?レティス……、れ、れレティス!?なんでくっついてるのよ!』


端にいた僕は当然、ベッドから突き落とされる。理不尽な暴力にもレベルが役に立つ。痛みは殆どない。だが、言い訳をしたい、僕が悪くない事の証明を……。


「ミアン酷いよ、くっついてきたのはミアンだよ。真ん中に寝てたの覚えてるでしょ?」


ミアンは自分の場所と寝た場所を見比べている。


『そう見たいね。でも、仕方ないでしょ。びっくりしたのよ』


理不尽だが、ここで折れないと良くないと記憶が訴えている。


「びっくりしたなら仕方ないのかな?」


『そうよ、仕方ないのよ』


僕としては、久々の人肌で癒されたのだ。プラマイ0、むしろプラスだ。


少しして、朝食が運ばれてくる。

果物、パンが食べきれない量乗せられている。種類も豊富だ。これは……残ったらこそっり収納に入れておこう。ミアン曰く普通は残す物と言ってたので子供2人のどこに入るのかと驚かれるかも知れない。


「そろそろ、行こうか」


『夕方まで観光よね!楽しみだわ』


「その前にミアンは変装しないとね。ミアンの瞳は綺麗だから目立つよ」


『そ、そうね。綺麗なのよね……』


嬉しそうだ。本当に綺麗なのに、何故呪いと言われるのだろうか。魔物の瞳はこんなに綺麗ではない。


外へ出る前におすすめの観光スポットを聞いて出かける。ミンクスの街の端には人工的に出来た滝があるらしい。魔道具らしいが、ハートを模って流れる滝はカップルに人気らしい。他にもカップル推しのスポットが多いとか。


やたらカップル推しなのには理由があるらしく詳しくは観光ガイドを読んでね。と渡された。軽く読んでみたが、勇者と聖女がイチャイチャしてたベンチがあったようだ……。芸能人がここで出逢って結婚しました!とか放送したら殺到するのと同じだな。次第に屋台やらお店が出来て名所になる。異世界も同じらしい。


「あっ、あのお面はどう?」


『いやよ、あんな鼻の長い変なお面恥ずかしすぎるわ』


天狗に似てるけど、黄色いお面だ。


「じゃあ、こっちは?目だけ隠れるし丁度良いと思うけど」


『うっ、そんなのする人本当にいるのかしら……』


グルグル飴のメガネお面だ。真ん中に小さく穴が空いている。これなら完全に変な人だが、目は見えない。


「いないかもだけど、間違いなく注目はメガネに行くはずだよ」


『変って思ってるわよね、それ』


「……否定出来ない」


『もうっ!』


「あ、今度こそ。ぴったりなのが」


『眼帯ね』


「片目隠せばわからないでしょ?これなら目を怪我した人とかも付けてるし」


『これなら……いいわね』


「すみません、これください!」


『はいよ、銀貨2枚だよ』


お金を渡し眼帯を購入した。黒い眼帯で小さな翡翠が7つ埋め込まれ刺繍で模様が描かれている。


『じゃあ、付けるわよ』


「うん、ミアンなら似合うはずだよ」


『どうかしら?』


「似合うよ、むしろ、普通の眼帯と違って宝石も埋め込まれてるし、刺繍も入ってるからお洒落でしてるのかなって思うくらいだよ」


これは嘘じゃない、眼帯美少女が需要あるかは知らないが……怪我してるかもって思うとより可愛いく守ってあげたくなるような。そんな人もいるだろう。


『ありがとう、大切にするわね』


ミアンの変装も簡単だが完了したので、

「恋ヶ滝」へと向かう。


綺麗な芝生が広がる公園といった感じで、中央にある湖に高さ10mはありそうな大きな女神を象った像が置いてありそこから、水が流れてハートを模して流れている。


『綺麗ね』


「そうだね、光が反射して祝福されてるみたいに見えるよ」


『私達を祝福……そ、そうね。祝福されてるのを感じるわ』


意味は違ったが喜んでくれてるみたいだ。そしてお昼になると、空へと水が打ち上げられ虹が出来る。女神様からのカップル公認の祝福だと言われてるらしい。


ちょうど、お昼の打ち上げの時間だ。水が空へと打ち上げられる。綺麗な虹がーー黒い影に変わる。


『きゃあっ』『魔物だー』


『逃げろ!喰われるぞ』


あちこち大パニックだ。見える範囲で黒い魚?竜?の様な魔物が5匹いる。


『あれは、シーサーペント……Bランクの魔物がなんで。と言うか、せっかくのデート何邪魔してるのよ!』


「ミアンすぐ逃げるよ、Bランクは流石にやばい」


やばいよね?ふと疑問に思う。先日見たオーガとどちらが強いのか。それに……オーガを倒した事でかなりレベルが上がっている。ミアンの手を引っ張りつつ考えていると。


『消し炭の聖女のパーティーが来たぞ!みんなもう大丈夫だ』


『違いますっ!聖なる鐘です!!』


あれは、あの時の……神官か。残りの2人も見た事がある。オーガに気絶させられてた2人だ。消し炭の聖女とか、見た目に反して恐ろしい二つ名だ。


『どうしたの?』


「いや、オーガにやられてたのを見たからさ……大丈夫なのかなって」


『オーガもシーサーペントも同格だけど……。5匹もいるし、オーガに手こずるなら無謀じゃないかしら』


「だよね……でも、みんな離れては居るけど止まってみてるって事は、強いPTなんじゃないの?」


みんな助かった。って顔している。消し炭の聖女何やったんだろう。


『行くわよ、サンダーブラスト!!』


『天使の羽衣』


『パワースラッシュ』


魔法使いらしき女性が、シーサーペントに向かい雷魔法を使った。レアな属性スキルだ。みんなが期待する訳だ。


そして消し炭の聖女と呼ばれる神官が剣士の女性を支援する。連携の取れた良いチームに見える。そして剣士の女性がシーサーペントに斬りかかる。斬った後どう戻るのだろう?とか場違いな事を考えてしまった。


降り注ぐ雷が晴れ、剣士の女性が見えた。彼女がちょうど斬りつけた所だった。しかし、剣が弾かれた様でそのまま宙返りをして足で蹴って後ろへと戻る。


『嘘でしょ、弱点属性の雷魔法で無傷!?』


『私の剣も、聞いてないみたいだわ』


『みんな逃げろー』


先程まで安心しきっていた住民はダメだと分かると、一斉に叫びながら逃げていった。


『レティス私達も逃げるのよね?』


「そのつもりだったんだけど、あの人達こんな状況でもみんなを逃す為に戦うみたいなんだよな」


『あの人達が美人だから、助けてハーレムとか考えてない?』


助けてハーレム……いやいやいやいや。


「考えてないから!」


『間があったけど、そう言う事にしておくわね。それで……どうするつもりなの?』


シーサーペントに火は効きづらいよな。となると、氷結魔法で凍らせてしまうのが一番だけど。レベルアップしてから試してないから通用するか微妙なとこだ。氷結魔法も下位の水魔法と氷魔法ではなく、火炎魔法同様に使えるようになっている。感覚的には中級の氷結魔法まで魔力を最大限使えば使えそうだ。


勿論、そんな博打はしないのだが。


「ミアンは避難してて」


『私も戦うわよ。効かないのは知ってるけど囮にくらいはなれるわ』


「そんな危ない事……」


しなくていい。そう言いたかったがミアンの目が覚悟を持って言ってるように見えた。


聖なる鐘のパーティーも、そろそろ不味そうだ。魔法と剣技の上手いコンビネーション。そして支援魔法によるバリアや回復魔法で何とか凌いではいるが敵は無傷だ。


『もう持たないわよあの人達』


纏めては無理だな……。範囲魔法はコントロール出来る自信がない。


「よし、ミアンは一番左端のシーサーペントの気を引いて!」


囮なんてさせて良いのか不安だったが、これから先冒険者をするなら良い経験になるのかもしれない。


『分かったわ』


走り出し、風魔法で気を引くミアン。長くは持ちそうにない。さっさと退治しなくては。


僕は、ミアンに任せた1体に一番近いシーサーペントから仕留める事にする。


ちょっと貴方達逃げなさい、とか言われてるが気にしない。


まずは試しだ。氷結魔法が通用するのか試す。


ーーアビスフローズンアロー。


氷矢の上位魔法だ。氷矢よりも大きくなった氷の矢の周りを螺旋状に吹雪が吹雪いている。


僕は敵の胸元目掛けて放つ。刺さるまでおよそ3秒。胸元に刺さると全身が一瞬で氷となる。


そして倒れる。ここまで効果があるとは思わなかったが流石氷結魔法だ。下位の魔法とは魔力消費が違う分桁違いに強い。


次はミアンが気を引いてるシーサーペント!と思って見るとミアンが息を切らして今にもシーサーペントのウォーターボールの餌食になりそうだった。


ーーアピスフローズンアロー!


2匹目を凍らせる。聖なる鐘の人達が驚愕して固まっている。


『危なかったわよ、遅い遅い、遅いわよ!はぁ、死ぬかと思いましたわ。あんな凄い魔法使えるならすぐに使いなさいよ』


自分から言ったくせに……。


「ごめん、初めて使ったからさ通用するからわからなかったんだよ」


『あっ、聖なる鐘が固まってますわ』


聖なる鐘の3人はシーサーペントのウォーターボールで吹き飛ばされる。なんで3人共固まってるの!3人には当たってないけど……と言うか当たってたら死んでる。


「飛ばされた、ね。無事だと思うけど気絶してるみたいだ」


『仕方ないわね、私がまた囮になるわよ』


「ごめん、頼んだ」


残り3匹は警戒していないのか、陸に近付きながら僕達に向けて大量のウォーターボールを放ってくる。ーー氷矢で相殺しつつ確実に当たる距離まで近付いていく。


ーーアビスフローズンアロー。


2匹がちょうど重なった時に放つ。フレアアローは貫通していた。きっと上手くいく。


1匹のシーサーペントに当たる、そして凍りつき倒れる。そして後ろにいたシーサーペントも後追うように倒れた。


「よしっ!上手くいった」


『ガッツポーズしてないで早く助けるのよ。きゃっ、当たる、当たっちゃうわ』


囮になっているミアンに夢中なシーサーペントに僕は再び放つ。最後の1匹を凍らせ討伐完了だ。Bランクを無傷か……大分チートの効果を活かせるようになってきたようだ。


でも、何か一方的な戦いは物足りない……。



◆ーーーーー


『ふむっ、シーサーペント達がやられたか。あの街にはあれらを倒せるような、強い冒険者はいなかったと思ったが……。オーガは偶然かと思っていたが、次はシーサーペントまでやられるとはな。闇化は実験中で安定してはいないが1ランクは上がっているはず。Aランクの魔物を5匹を倒すとは……Sランク冒険者は別のエリアの実験相手にかかりきりなはずだが。実験中にいくつか街を混乱させておきたかったのだが……今回はここらで引き上げるとするか。』



◆ーーーーー



「じゃあ、片付いたし宿に戻ろっか」


『えっ、シーサーペント倒したのに戻るの?ここで倒したと言えば英雄扱いよ』


「こんなアルファム領近くで目立てないし、ミアンは注目されたら困るでしょ」


『あっ、そうね。仕方ないのよね……』


「じゃあ、記念に牙と魔石と鱗くらいは取っていこうか」


『そうね!!そうしましょ、って私じゃ剥げないから……』


「僕がやるから、3人が目覚めないか見ておいて。誰か人が来たらすぐに去るよ」


シーサーペントの周りは凍っているので行き来は楽だ。一部溶かして剣を差し込み魔石とる。牙も簡単に取れたが鱗は流石に全部は剥げず。頭付近の鱗だけ何とか剥ぐ事が出来た。


丸ごと入るような収納があれば……と思うが流石に無理そうだ。シーサーペントは10m以上ととても大きいのだ。


「じゃあ、行こっか」


『ええ、疲れたから休みたいですわ』


◆ーーーーー


少しして目が覚めた聖なる鐘の3人。


『うっ、ここは』


『いたたたっ』


『みんな、無事ですか?』


『何とか……それより、シーサーペントは』


『ええ、あの男の子がやったのでしょう。氷の魔法なのでオーガは別かも知れませんが、恐らくその仲間ではないでしょうか』


『レイネは消し炭の聖女だもんな』


『ルミネは、笑いすぎです!見つけたら一言文句絶対言いますから!』


『でもさー、私達2度も死にかけて助けられてるんだよね。命の恩人じゃん?』


『リコは、変な二つ名付けられてないから言えるんです!癒しの魔法しか使えないのに消し炭の聖女と呼ばれる私って……』


『ご、ごめんね?レイネ』



『お、おおぉぉ。消し炭の聖女様のパーティーが討伐したぞ!!凍りついてるって事は今度は、魔女っ子だ。しかし、頭全部剥げさすとは恐ろしい。剥げ氷の魔女の誕生だ!!!』


『おー、剥げ氷の魔女様万歳!!!』


『ありがとう、剥げ氷の魔女様!!』


『あの男の子絶対にビリビリにしてやる。レイネごめん。私も許さない絶対に』


剥げ氷の魔女事、聖なる鐘のリコは怒っている。唯一二つ名のない、剣士のルミネは1人だけ笑っていた。


『『ルミネ!!』』


『ごめん、ごめん。まさか、頭だけ剥げさせてくとはね。私の剣が通らなかったあの鱗を剥ぐとは、何者だろうね。でも頭だけしなくてもね、ぷっ、頭だけって、ね』


この後ルミネは、レイネとリコに無視され続け、泣いて謝り続けたのだった。


◆ーーーーー


聖なる鐘の魔法使いリコに二つ名がついた頃。既にレティスとミアンは宿へと到着していた。まだ、夕方には早く、冒険者証は預けられていないようだ。


「今日はゆっくり休むとして明日どうする?もう1泊は頼んだけど……この街では目立ちたくないし、明日には街を出たいと思ってるんだけど」


『任せるわよ。私はレティスが決めた事に基本的に反対はしない』


基本的に、ね。信頼されてるって事かな?


「分かった、じゃあ明日冒険者ギルドに寄って依頼とか確認してからこの街を出ようか。次の街は何処になるの?」


『そうね、次の街は……鉱山都市ピスタチアかしらね。山の麓にある街ね』


「鍛治とかが有名な感じ?」


『そうよ、知ってるの?』


「ううん、なんとなくイメージだよ。じゃあ次の目的地は鉱山都市ピスタチアだね。後で必要そうな物揃えに行こっか。と言うか服買わなきゃだね、シーサーペントが出たから完全に忘れてたよ」


『そうね。観光どころじゃなくなってしまったものね』


「よし、ゆっくりしたら、街で買い出しね!って事で寝る?」


『え、誘われてる!?っ。でも、まだ、そんな、えっ、いきなり過ぎよ!!?』


ミアンは現在パニクっている。


「ミアン、ベッド1つしかないんだから、一緒に寝るしかないでしょ?」


『えっ、あ、そうね。そ、そ、そう言う事なら早く言いなさいよ。勘違いするでしょ』


「勘違い?」


『馬鹿っ!!』


真っ赤にしてベッドに行ってしまった。少しからかっただけなんだけどな。まだミアンに欲情したりは……きっとしないはず。


『な、な、なんで来るのよ』


「僕も寝たいし」


『そ、そうよね。ごめんなさい』


僕とは真逆の端に寝ているミアン。

そこまで離れなくてもベッド広いんだけどな。

とか、考えてるうちにどうやら寝ていたらしい。時計を見るともう夕方だ。


「ミアン起きて、そろそろ出掛けるよ」


『レティス、ダメ、そんな事したら、むにゃむにゃ……』


一体ミアンの夢の中で僕は何をしているんだろうか。


「おーい、ミアン起きて!」


さっきより強めに体を揺する。


『んぁ、レティス?!』


涎を垂らして寝ぼけている。


「レティスだけど。そろそろ出掛けるよ」


『あっ、何でもないの。お出掛けするのでしたわね。準備してきますわ』


涎には触れないで置いた、僕は気遣いの出来る男子なのだ。足早に去っていくミアン。


僕も準備、って殆ど収納か。そう言えばステータスチェックしてなかったな……。今のうちにするか。



◆ーレティス・アルファームー◆

種族:人族 年齢:10歳

レベル:21→39


生命値:1820→3800

魔力値1840→3820


力:1810→3790 体力:1800→3780

知力:1820→3800 敏捷:1820→3800


◆レアスキル

治癒力増加

剣の極

成長促進

状態異常耐性

火炎魔法

氷結魔法

空間魔法

◆ユニークスキル

能力補正

魔素適合

◆レジェンドスキル

武具創造


◆加護

女神エアリルの加護

女神イデアの加護


◆ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー◆


レベルは18上がったようだ。オーガ1匹とシーサーペント5匹。6匹で18レベルup?成長促進の効果だろうか。それとも黒い魔物は経験値が多かったりして。


能力値はやはり1レベル辺り10しか伸びていない。補正がなければ僕って弱い部類に入るのではないだろうか。


『待たせたわね。難しい顔してどうしたの?』


「いや、僕ってどれくらいの強さなのかなって思ってさ。鑑定石で見たデータを普通は人に話さないよね」


『ええ、パーティーならスキルくらいは話すけど、わざわざ能力までは言わないわね。冒険者ギルドや教会も個人の能力は話さない義務があるから見る機会はないわね。冒険者も最初の登録以外では、職員も見ないから……秘匿されたら知る全てはないのよね』


「貴族でも見れないの?」


『見れないはずよ。鑑定石は毎回、上書きされてくって話だから、最初に冒険者としてやっていけるか、罪を犯していないか、それを見る為に最初だけギルドのスタッフが確認するのよ』


「じゃあ、後で罪を犯した人はわからないの?」


『分かるわよ?鑑定石は罪を犯した人が使うと赤く光るのよ。近くに職員がいるからバレるわね』


上手いこと出来てるんだな。鑑定石は使用した人しか見えない。ただし、使用した人が触れてる状態で他の人が触れば共有する事が出来る。僕をスキル無しと判断した人は、可哀想ととても同情した目をしていたのを思い出す。


「とりあえず、そろそろギルド証届いてるはずだし貰いに行こうか」


受付に行くと、見慣れた顔が。


『やあ、二人共丁度良い時に来たね。紹介するよ、この街の冒険者ギルド受付嬢の……』


『マカリです!何度教えたら覚えて貰えるんですか』


『冗談、冗談。マカリちゃんや、2人の冒険者証登録をしに来て貰った感じやな。本人登録と、犯罪のある無しだけは調べへんとあかんのや、それくらいはええやろ?』


犯罪は犯してないし、何も問題ないな。


「はい、問題ありません」


『では、こちらのカードの窪みに触れてください』


指が丁度入る窪みがあった。指紋認証的なイメージだ。魔力が少し吸われたのが分かる。


『はい、これで登録は終了です。こちらの石に触れてください。これは犯罪歴を調べる魔道具です。犯罪を犯した事のある方が触ると赤く光ます』


触れたが何も変化はない。


『はい、お二人共問題ありません。ではギルドの説明を簡単にしますね。質問があれば言ってください』


◆冒険者ギルドについて。


ギルドはランク制でE.D.C.B.A.Sランクまであり、実績に応じて上がっていくとの事。Sランクになるには、国の推薦と冒険者ギルドのマスター3人の推薦が必要らしい。活躍するなら……いつか必要になるだろう。この国でする事はないだろうけどね。


次に冒険者証についてだ。

冒険者証には、依頼受注管理機能と口座機能、そして身分証の役割があるらしい。口座機能についてはCランクから使えるようで大金が入った際に周りに知られないようにするのと、大金を持ち歩かなくて済むようにする為の二つの目的があるらしい。


勿論カード払いも出来るらしい。プリペイド式のクレジットカードみたいな感じのようだ。便利過ぎるが、カードって使いすぎちゃうんだよな……。ってこういう記憶はあるのに情景は全く思い出せない。ほんと、不思議だよな。


ちなみに冒険者証無くすと金貨5枚再発行にかかるらしい。新人とかだとギルドに返済しながらになる事が多いらしく気をつけてくださいとの事だ。



『そして冒険者証の右上をご覧ください。そちらに書かれているのがランクです。お2人共Eランクですね』


『Bくらいにして欲しかったんやけどな、ここのマスター中々頑固なんや……。2人ならすぐあがるやろし、まあ、ええかっておれたんやけどな』


『無茶は言わないでください。マスターがこれ以上剥げたら……仕事に影響が出ます』


『ははっ、あの人メンタル弱いんよな。少し剥げただけで寝込むとかあかんでほんまに。と言うか剥げ仲間が出来てたんにはわろたわー。剥げ氷の魔女ってユニーク過ぎるわ』


イメージが付かないな。頑固で剥げてて、メンタル弱い?剥げ氷の魔女?仲間?わからない事が多すぎる!


「そう言えばノジカさんと冒険者ギルドの関係って……『ダメやで、そこは謎のが面白いやろ?』」


と遮られてしまった。冒険者証を鑑定石のチェックを無し、家名なしで登録して貰った手前、これ以上の詮索は出来なかった。


◆ーーーーーー

レティス  E


受注依頼数:0

賞罰:無

ーーーーーー◆


僕のカードはこんな感じだ。基本的に登録する際本名が鑑定石でバレる訳だが、鑑定石を飛ばす事で最初から僕はレティスとして冒険者ギルドからは認識される。と言う事だ。


当然レティス・アルファムをギルドで探しても見つからないって事だ。


「気になりますが、やめときます」


『せや、わいの事なんて知ってもええ事ないで。ただの趣味で商人してるだけやからな』


趣味で商人してるだけで、冒険者ギルドに顔が効く訳がない。


「わかりました。今はそう言うことにしておきます。今回はありがとうございます」


『感謝しときますわ』


ミアンは相変わらず、苦手なようだ。


『気にせんでええ。じゃあ、わいはそろそろ。また会ったらよろしゅうな』


手を振り、見送る僕達。嵐のような人とはあの人のような人の事を言うのだろう。こうして僕達は無事に冒険者になる事が出来たのだった。





ミンクスの街での冒険も終わり、冒険者証も無事手に入れついに冒険者としてのスタートをきった、レティス達。


ノジカが何者なのか、黒い魔物を使っていたのは誰なのか。この先もご期待ください。


◆よろしければ評価をお願い致します。

では次回もお楽しみください。

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