02
目が覚めるとそのは廃協会だった。天井に空いた穴から光が差し込み幻想的な風景を作り上げていた。
正直、この場所でもダラけることができそうだが、理想の快適空間のために、取り敢えずはダラけるのをやめよう。自制心ファイト!
適当にフラつき、鏡を見つけた。そこに映っていたのは白銀色の髪をした紅い目の中性的な子供だった。いや、確かめてみたら無性だった。
顔を適当に引っ張ってみたが、誠に残念ながらコレが今のオレらしい。いや、この顔でオレはないな。うん、コレを機に一人称変えるか……。
服装は髪とは正反対の漆黒で、大きな鎌を握っていた。
「ステータス」
取り敢えず、ラノベ的お約束な言葉をつぶやいてみた。
「わぁ、本当に出たよぉ」
半透明な板状のものが目の前に現れた。日本語ではない不思議と読める字を目で追う。
名前 ネフィ
種族 死神
称号 《転生者》
スキル 《葬送》《鎌術》《痛覚無効》《状態異常無効》《不死》
持ち物 《冥府の鎌》《次元の鍵》
取り敢えずチートだということはわかったぞ。それ以外はよくわかんない。
適当にタップしてみると説明が出てきた。初心者に優しい仕様だね。
《葬送》
魂を冥界へ送ることのできる死神固有のスキル。
《死神》
現世を彷徨う魂を冥界へ送る役目を持つ種族。白銀色の髪と紅い目が特徴。
ナルホド。僕はその辺を彷徨う魂を冥界へ送ればいいんだな。
ちょうどチュートリアルみたく、数人の魂が彷徨っていた。
僕は一気に距離を詰めて鎌を振るった。種族としての本能が僕にそうさせた。
この鎌で魂を刈り取ることで冥界へ魂を送ることができる。取り敢えず、周りにいる魂を全部鎌で刈った。
ステータスを確認するとさっきまではなかった項目が追加されていた。
《貢献ポイント》と書かれた場所をタップする。すると、72と表示された。どうやら、さっきの奴らを送ったのがポイントととして還元されたようだ。24体ほど送ったから一体につき3ポイントなのだろう。
ぶっちゃけ少ない。少ないが理想の快適空間のためだ、頑張って稼ごう。僕は決心した。
そして、《次元の鍵》をタップすると、カスタマイズというものが出てきた。どうやらここに書いてあるものは実行可能なようだ。
現状のポイントでは本当に何もできない。けど、神さまの力だけあってかなりの自由度だ。
例えばテレビを設置することができる。もちろん時空を司る神のヴェルのお陰で地球の日本の番組も観れる。
空間を拡張することや、部屋を増やすことも可能なようだ。
ゲームや漫画、小説なども取り寄せることもできる。ただ、滅茶苦茶ポイントが必要だが……。
僕はため息を吐き出して、ペンダントのように首にぶら下がっていた《次元の鍵》を手に持った。そして、ヴェルがやったのと同じように開く。
この世界に来る前に見たのと同じ空間が現れた。そして、中に入る。と、同時にベットにダイブした。
「めっちゃいい」
お日様の匂いがするフカフカのお布団。程よく反発するマットレス。控えめに言って最高!
ベット以外のモノも手当たり次第使ってみる。
クッション。触り心地がよくちょうどいい大きさ、枕に使ったらよく寝れそうだ。
ソファ。フカフカの究極、人を駄目にする感じのヤツ。あのなんとも言えないフィト感。
床。ヒンヤリ。
「ロリ巨乳神さま、ありがとう。素晴らしいものをくれて。人生で初めて神さまを信じていいと思えたよ」
再びベットでゴロンとしながらつぶやいた。無神論者が神さまを信じたくなるレベルでこの空間は素晴らしい。
ポイントを貯めればこの場所をより素晴らしいものにできる。うん、コレはホントに頑張るしかない。
「でも、明日からでいいよね。今はこの素晴らしさを全身で体感したい………」
1分もたたないうちに寝ました。
読んでくださりありがとうございます。