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01

真っ白な広い部屋にオレが一人だけがぽつんと立っている。机や椅子、ベットもないただの何も無い空間。オレは夢だなぁと思い。何も起こりそうにない白い空間の夢で睡眠を取り始めた。

夢ならなんだってできる。空を飛んだり、魔法を使ったり、夢の中で夢を見たり。


「起きろ!バカァー!」


妨害が入った。でも気にしない。その程度のつたない罵倒でこのオレが起きると思うな!

それにしてもこの空間は素晴らしい!埃一つない部屋の床は気持ちいい!一度やってみたかったんだよ。でも、厳しい親が床で寝るなんて行為を許してはくれなかった。

はぁ〜、ヒンヤリして気持ちいい。床の冷たさが本当に素晴らしい。現実でもやりたい。現代人はこの素晴らしさに気付くべきだ。


「起きなさい!」

「痛い……。……………」

「寝るな!」


引きちぎれるのではと思うほど耳を引っ張られた。。それでも、頑張って寝ようとしたが再度引っ張られた。正直滅茶苦茶痛い。

オレは嫌々、マジで嫌々起き上がり迷惑な騒音暴力さんを見上げた。

そして、気がついた。騒音暴力さんは桃色髪のロリ巨乳で背中に純白の翼を持つ属性盛り盛りのそれはそれは痛々しい見た目でした。


「SAN値下がってるのかな?」

「人を腫れ物扱いするな!」

「いや、痛いのはこの夢を見ているオレの頭だよ…」


軽く自己嫌悪に陥るレベルで目の前のロリ巨乳さんはひどい。


「一つ訂正しておくと、ここは夢ではありません」

「そういう設定?」

「違うわ!」


ノリの良い突っ込みをするロリ巨乳さんを不憫そうな瞳で見つめた。それが彼女によっぽど気に食わなかったらしい。オレには関係ないけど。

再度床に寝っ転がる。はぁ〜一生こうしていたい。学校行きもせずダラダラグダグタしたい。大人になっても働きたくない。


「寝るな!!」


頭を蹴られた。サッカーボールを蹴るみたいに勢いよく。オレの頭部はボールではありません。

これ以上蹴られたり、耳を引っ張られたりするのは嫌なので適当に返事をした。


「起きてます」


床に転がったまま、目をつぶって。


「それは起きない奴のセリフ!」


ごもっとも。

オレはのっそりと起き上がり、眉間に皺を寄せた。鏡を見なくとも自分が嫌そうな顔をしていることがわかる。


「それで、オレの睡眠の邪魔してまで何がしたいんですか?」

「頼みがあるのよ」

「めんどくさい」

「聞け!」


だんだんと声にドスが効いてきた。仕方なくオレは居住まいを正して聞く体制に入った。真面目に聞くとは言ってない。


「君は死んだんだよ。事故にあってね」

「ほうほう」

「それで、私たちは君を異世界に転生させようと思っていてね」

「ナルホドナルホド」

「その転生先で君に頼みたいことがあるの」

「それでそれで」


適当に頷いているとロリ巨乳さんが今までで一番ドスの効いた声を出した。


「ねぇ、適当に頷いていない?」

「そうかもしれないねぇ」

「いい加減にしろや!」

「それでなんだって?」


ふざけると収拾がつかないような気がしてまじめに聞くモードに入った。


「君には異世界に転生してもらって、その先でやってもらいたいことがあるの!」

「断る」

「なんでよ!」


オレは深々とため息をついた。やれやれそんなこともわからないのか…。


「そういう面倒ごとは主人公の仕事でしょ?」

「でしょ?って知るか!そんなもん!」

「だから、他当たって」

「断るならせめて最後まで聞いてからにして!お願いだから!」


懇願された。完璧なる土下座だった。

そういえばと思った。


「貴方はなんて名前?」


オレが問いかけるとロリ巨乳さんは勢いよく立ち上がった。


「そういえば名乗ってなかったわね。誰かさんがマイペースすぎるせいでタイミングを逃したんだわ」

「ちなみにオレは鬼響(きひびき)(よる)です」

「知ってるわ。私はヴェルよ。時空を司る神の一柱」

「設定盛りすぎでは?」

「うるさい」


頭を軽く叩かれた。この暴力ロリ巨乳さんが神さまだとはとても思えないのだが。


「話の続きをするわよ。といっても話すことはもう無いけどね」

「どういうこと」

「話せないの。君が承諾するまでは」

「じゃいいや。断るよ」

「断られたら困るのよ」

「知りませんよ」

「そこをなんとか!」


神さまだというのにプライドもなく土下座をした。ほんと、何がしたいんだこの人は。いや、オレに面倒ごとを押し付けたいのは知っている。


「そもそも、面倒くさがりなオレに頼みごとをするにはそれ相応の報酬が必要ですよ」

「知ってるわよ。だから、ここからは取引といこうじゃないか!」


とてもノリのいい神さまだなぁ。あと、どうでもいいけどパンツ見えるから急に動くのはやめたほうがいいと思う。口にする気は無い。


「君はグダグタダラダラするのが好きなんでしょ?」

「モチロン!三度の飯より好きです!」

「なら、これはどう?」


そう言ってヴェルが取り出したのは綺麗な金色の鍵だった。


「これは次元の鍵って魔法アイテムでね。こうやって回せば特定の空間に繋がるの」


開かれた扉の先には見ただけでめっちゃいい感じだとわかるのベットがある部屋だった。寛ぐには最適な空間だと本能が告げている。正直メチャほしい!


「頼みを聞いてくれるならコレをあげてもいいんだよ?」

「もう一声!」

「コレは自分で好きなようにカスタマイズすることができてるの」

「それはどうしたらカスタマイズできるの?」

「転生先で頼みごとをこなしたらポイントが貰えるの」

「ナルホド、そのポイントを使って好きなように改造するのか…」

「その通りよ」


つまり、理想の快適空間を作成することが可能だと。素晴らしいではないか。


「その取引を受ける。転生してオレは理想の快適空間を見事作り上げてみせる!」

「目的を完全に履き違えているけど、取引成立ね」


そう言ってヴェルはオレに鍵を渡した。そして、オレは光に包まれた。


「頼んだわよ」


最後にヴェルの声が聞こえた気がした。

読んでくださりありがとうございます。

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