表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神代怪異譚  作者: ライヒ
1/3

1話 出逢い


雨が止んだ直後、私はいつの間にか公園に独りで立っていた。


物音ひとつせず、不穏な空気を感じ取る。


両親に兄や弟、友達などを探して辺りを見回すが、人の気配が全くない。


不安ばかりが募っていく。


心細さに泣きそうになり、ぎゅっと目を瞑ったその時。


「ねえ。」


正面から声がした。


そっと目を開けると小さな女の子が立っている。


いつから居たのだろうか?


首を傾げて少女を見る。


自分と同じくらいの歳だとは思うけれど、顔は影になっていて見ることが出来ない。


「あなたはだあれ?」


私は震える声で尋ねる。


「私は貴方。貴方は私。」


「……?」


「ねえ。私に貴方の名前を頂戴。私の存在を縛って繋ぎ止める為に。」


「わたしのなまえ?」


少女の言う事はほとんど理解出来ないけれど、どうやら私の名前が欲しいらしい。


「そう。貴方の名前。そうしたら、貴方と友達になってあげる。」


「おともだちになってくれるの?じゃあいいよ!えーとね、わたしのなまえはかみしろみれい!」


「ふふっ。神代美玲(かみしろみれい)、ね。ありがとう。」


私は、誰もいない公園に独りで居たくなかった。


寂しかった。


だから深く考えずに頷いてしまった。


その途端、不気味な風がざわざわと吹いて来ると共に周囲の騒音が戻って来る。


そして少女は跡形もなく消えてしまっていた。


今のは何だったのだろうと首を傾げていると。


『無事に戻れたみたいね。良かった。』


と声が聞こえた。


びっくりしてキョロキョロするも、周囲の人は誰も私を見ていない。


『下よ、下。貴方の足元。』


声に従って足元を見ると、水溜まりに映った自分の顔がにっこり笑っていた。


「え?」


『さっきお友達になったでしょう、美玲ちゃん。』


「あ、なまえあげたこ?」


『そうよ。でもそうね、同じ名前だと呼びにくいわね。それなら私の事は…美玖(みく)って読んでちょうだいな。』


「みくちゃん?」


『そう。私とお話したい時は、美玲ちゃんが映るものに話しかけてね、鏡とか水溜まりとか。あと、声に出さなくてもお話出来るからやってみて。』


(わかった!これでいいの?)


『そうよ。他の人には私は見えないから、私の事は二人だけの秘密ね。約束よ?』


(うん!ひみつまもる!やくそくする!)


『じゃあそろそろお家に帰りましょうか。』


「はーい!あっ…」


つい大きな声で返事をしてしまい、周りで遊んでいた子供の母親達にチラッと見られたけれど、子供だからと特に気にはされなかったようだ。


公園を出て十字路に差し掛かった瞬間、電柱の陰に小さい男の子がぼーっと立っているのが見えた。


ちょっと気になって近寄ってみると、男の子が顔をあげた。


その顔は――血塗れだった。


それを認識した瞬間、私の意識は暗転した。

最近ホラーにハマったので、書き始めてしまいました。まだ訳分からん!なんじゃこりゃ!って感じだと思いますが、よろしくお願い致します。


次回は美玲による兄弟語り(ショートver.)をお送りしたいと思います。



ちなみに、美玖って言う名前にも一応意味があったりするんですよと思わせ振りな事だけ……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ