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悪魔にへと変貌

 私達が歩いている途中、辺りは妙な光景に包まれていました。


「大和さん、ここの皆さん何か様子が変じゃないですか?皆さんの目を見て下さい」


そこに映っていたのは、虚ろな目をした人間だった。


「何言ってんだ、お前だって俺について行く前はあんな目をしてたんだぞ」


 え……私があんな目に?

私が驚いたような顔をしていると大和さんは虚ろな目に対しての原因について語り始めた。


「お前、ここに来る前変な事は無かったか? 記憶が一部飛んでるとか」


記憶が飛ぶ…そういえば…。


「私が死んだ理由……それと! 両親の顔とか覚えてないんですよね…」

「やっぱりな、お前もそうだったか」

「やっぱり!?」


 大和さんの発言に疑問が浮かんだのでオウム返しのように聞いてみると、大和さんは衝撃の一言を返してきた。


「これは悪魔で俺の予想だが、俺もお前も生前の記憶やら両親、具体的にまとめると心残りになる厄介な記憶は全部消えてるらしいんだ」

「記憶が消えてる……?」


私は驚きながらぼーっとしていたが、大和さんは話を止めずに続けた。


「心配するな、この世界について今最も詳しいのが、その大天使カミネスなんだ、と言ってる間についちまったようだな…」


そこにあったのは、数十メートルある鉄の扉と、私達を出迎えるために待ってくれてたような、三メートル程ある長身の天使の姿だった。


「お待ちしていましたよお二方、ささ、私について来てくださいませ」


 その長身の彼女がそう言うと、その天使は扉めがけて歩くと何故か突然姿を消した。


「や…大和さん?今のは一体…」

「何言ってやがる、俺達も一度はあの扉をくぐって冥界外に出れたんだろうが」


 そういえばあの時私の体は突然オーラに包まれて、天国から冥界へと、ワープするように消えたんでしたっけ…。

少し記憶の一部が戻ったような気がした、納得したところで私達はその扉目がけて、駆け抜けてゆきました。


「ほ…本当だ凄い…」


 私達はカミネスさんの部屋に向かってる途中雑談をしていました。


「そういえば、次の五輪ピックはいつどこでやるんだ?」

「え?五輪ピックですか?えっと…四年後で、日本で開催するとか…」


 その言葉を聞いた瞬間大和さんの目が輝いていました。

へえー大和さんってスポーツ観戦が好きだったんだ、今の世界の事は何も知らないと思ってましたが、案外意外な面もあるようですね。

ご機嫌そうに歩いている大和さんが少し微笑ましいです。


「お二方、ここがカミネス様のお部屋です、どうぞごゆっくり」


そこに着いたのはまたも、大きい鉄でできた扉でした。

私達はもう一度その扉めがけて、走り抜けた後、そこに見えたのは数十メートルの長身、大天使カミネスさんと思われる方が大きなイスに座ってたのです。


「二人ともよく来てくれました、私はカミネス、天国を管理してる者でもあります、どうかよろしく」


 その声は、大きい体格からはとても考えられない、耳に透き通るような綺麗な声です。

そして私達は先ほど話した記憶が消された事を大天使カミネス様に全て話しました。


「あなた達が考えてる事は当たっています、死んだ時の記憶、両親の記憶や悲しみや憎しみに繋がる記憶は争いが起きないために私が消したのです」

「やっぱりそうか…通りで、全員嫌な思い出が何一つ残って無いせいであんな虚ろな目になってんだな、頭の中お花畑で一杯なんだろ?」


大和さんがほっとしたような顔で聞いていると私は気になる事をカミネスさんに聞きました。


「カミネスさんは、天国を操れるほどの能力があるなら悪魔と天使の争いも止める事も出来るんじゃないですか?」

少し失礼な質問でしたが、これで理由を聞けるなら惜しみなく聞こうと思います。


「そうですね、やろうと思えば出来るでしょう」

「やろうと思えば……ですか?」


私はその言葉に違和感を感じ、思わず聞き返しました。


「はるか昔の事です、あなた方が住んでる地球や、ここ天国や地獄、全てを作ったのは他の誰でもない、神でした。神は好奇心で人間という生物や、私達という生物を作り、その生活を観察するのが全ての始まりだったと言われてます、ですのでを作った理由は、能力を持たない私の性格を持った人間という生き物がどういう生き方をするだろうと毎日のように楽しみ見ていました。人間が死んだら防衛してもらうために作られたのが私達、天使と悪魔でした。ですが神は死を感じた後、あるルールを天使と悪魔に授けていったのです、天使には人間を守るためなら何をしてもよいという運命が与えられ、悪魔には自由を与えられました。本当ならば、私一人でなんとかなるものの、むやみに悪魔を殺すのは違反なので出来ないという訳なのです…」


大天使カミネスが今までの過去話していると、途中大和さんはカミネスさんの目を凝視し、威嚇するような目で言いました。


「今は神はいないんだろ? だったら…」

「駄目なんですよ」


大和さんの言葉に被せるように言いました。


「私達は天使、神には人間を守るためだけに作られたような生物、そのような者が神の掟を破るなんて事は何があっても許されないことなのです……」

「待って下さい!カミネスさん!」


私が大声でカミネスさんを呼びかけると、カミネスさんの視線は私の方に向けられました。


「こ……困るんですよ! 私まだ素敵な王子様のような人にも会ってないですし、まだやってない事だってたくさんあるんですよ!」


言いたい事はいいました、後は天使さんの返答を待つだけです。


「素敵な王子様(笑)ですか、確かに素敵な夢です(笑)」

「ちょ…今馬鹿にしましたねっ!!!」


少しカミネスさんがほほ笑んだところ、カミネスさんは袖の中から銃のようなものを出してきました。


「私が彼ら《悪魔》を止めるのは不可能な話ですが、あなた達なら任せても良いでしょう、これを受け取ってください」


そういって私達二人に授けられたものは、銃…いや、水鉄砲のような形をしたものでした。


「それは天界の空気を圧縮して作られた、銃です、天界の空気には、浄化成分が含んでおり、悪魔の姿も浄化する能力もあるのです、もちろんながら地獄の者は悪魔から元の姿に戻ったり、悪い心を打ち消す銃のようなものです」

「もらえるならありがたくもらっておくぞ」


大和さんはそういいながら、この場から去って行きました。

すると、カミネスさんは小さな声で何かを呟きました。


「どうかお気をつけて…」


私は一回おじぎをカミネスさんに向かい一礼した後、大和さんについていきました。


「さて、俺はそろそろ行ってくる、外の世界は何があるか分からないからな、せっかくだから俺の浄化銃も持っといてくれ」


大和さんはそういい、私に銃を預け、行きに来た方向の逆を走っていきました。


「大和さん頑張って下さいね!!!」


私はそう叫び、大和さんはそれを聞きつつも振り返ろうとせずに走りながら去ってゆきました。



 一日が経ちました、どうやら私は自宅に帰って寝てたそうです。 

今は朝の五時、いつもより早く起きました。

すると、家から凄い勢いでチャイムの音が何回も鳴らされていました。

どうやら私はこれに起こされたようです。


「もぉー!私の眠りを無理やり起こすのは誰ですか!」


そういいながら自宅の扉をあけると、そこに立っていたのは天使さんの姿でした。


「大変です!千利休大和さんが…」


天使さんが、慌ててるのを察し、私は物凄い勢いで大和さんがいる場所、天界門の外側の冥界外へとやって来ました。



冥界外は驚きの姿が見えました。


「や、大和…さん?」


そこにいたのは縄などで縛られている、大和さんの姿でした。


「て、天使さん…これは一体?」

「………」


私がその質問をしても天使さんは何も答えてくれません。

すると、大和さんは凄く大きな声で私に向かって驚きの言葉を放っていたのです。


「殺す…!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!!!!!!!!!」

「ッ!や、大和さん…?」


すると、天使さんは顔を下に向け、申し訳のなさそうな声で呟きました。

「どうやら千利休さんは、悪魔に噛まれてしまったようです…」


か、噛まれた…?

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