第8話「出会い」
さて、馬車を探すとするか。この国では移動方法が基本的には馬車とか龍車、とからしい。(あ、でも龍車っていってもその龍はトカゲみたいな感じで完全な龍ではないっぽいんだけど)取り敢えず、プラットフォーム的なとこについたので、ここで切符を買うらしい。つか切符制度あるの凄いな。実はね、俺、車酔いするんだけど、ま、いっか。じゃあ切符を券売機で買って…なんてのはないから受付で買った。そしてそれを馬車の運転手さんに見せるといいっぽい。
発見発見。よし、頼むとするか。若者だな。未来を担う?でも俺よりは若者じゃないからな。二十代半ばかな。
「これ、お願いします」
そして、切符を渡す。
「はい、では何処まで?」
え、何処までって…これどこまでも行けるのか、国の中なら。
「えと、何処までなら行けるんですか?」
「一応この国の中なら、どこへでも。近くには学校があったり、訓練所もあるので、そこまで行きますか?」
……あぁ、さっき、武具屋でも言ってたけど学校がこの世界にもあるんだね。まあでも、確実的に中学はないだろうな。だって俺中学生の年齢なのに冒険者なれてるんだからな。
「はい。では、近くの村?人間が住んでいて、楽しい村にお願いします」
「じゃ私の故郷のカイチ村に行ってみてはいかがでしょうか。あ、後ろの席に座ってお待ちください!!地図も入れてありますので!!」
20分が経過。北門であった都市地域から離れ、外には充分な田園地帯が広がっている。スピードもゆっくりになったので学校について聞こうと思う。
「あの、すいません。えーと…運転手さん。」
「あ、ソウマと申します。上の名はタカシタです。歳は27です。なんでしょうか?ソウ様。」
え、これが名前か。やっぱ日本だろ、ここ。表記してみると…?高下相馬的な感じかな。馬使いな感じ。あとお客様には様付けるんだね。全然年上なんだけど。やばいよ。敬語使ってて良かった。
「ソウマさん、あの…先程仰っていた学校についてなんですが、学校は通う/通わないがあるんですか?通うなら何歳までですか?」
「何故そんな事を?貴方様は冒険者様なのでもう学校を卒業してる身では?」
え……あ、普通は卒業してるのか。まぁ、いいや。俺は戸惑ったがとにかく聞きたいので押しに押す。
「あ~。えっと、とにかく!聞きたいんですよ!」
そういうと、ソウマさんは了承してくれたように感じた。
「まぁいいんですけど、学校は義務というではなく、したい人が受ける感じですね。受けなくても仕事は出来ますし。私の場合は昔から学校を行かないで仕事を習っていましたので。何歳まで…といいますと、入学→卒業までの時間は7年間ですね。殆どの人は6歳から入学します。大人になるのは14。という感じになっています。」
なるほど。理解しました。だから俺もなれたのですね。
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到着ぅ〜。えっと…
「ソウ=ブレス様。長時間、お疲れ様でした。今後も、馬車ー運鉄ーをご使用ください。」
「ありがとうごさいました、ソウマさん!!」
そして、馬車を降り、ソウマさんとは別れた。
えっと…地図で見ると北側に位置する村、カイチ村に到着しました。田舎な感じですね、建物の造りは。人口は2000人位の小さな村らしい。そもそもこの国の人口が100万人(だと聞いた)から、想像もつかない。
村にも宿屋とか市場があったり商業施設も複数(少ないが)存在する。マップを見た限りではだけど。武道場にでも寄ってみるか。
「ねぇねぇ、冒険者の人でしょ。なにしてんの?」
えーと…誰?女子な感じの、俺と同じぐらいの年齢なのかな、なに支店のって言われてもなー。
「つか、何歳だ、君」
単純に聞きたくなった。
「私?私はね、13。先月学校を卒業したんだよ。で、何しんての?」
不審者として思われる可能性があるな。誤魔化すかな。
「いや、別に何してたっていいじゃん!?暇だから寄っただけだよ!?」
動揺して変な風になってしまった。
「ふーん。ならさ、私も連れてってよ。パーティに入れてさ。装備もしてくるから!」
な、何!?ななな何を言っているのこの子は!知らない人にはついて行っちゃ駄目だって学校では教わらなかったの!?
「え…どうして?」
そう聞くと、
「私、冒険者に憧れてるの。だから連れていってよ」
と答えたが、俺には卒業したからできるとしても、連れてくのはな、と思った。
「ごめんな、俺にはそういう判断出来ねぇんだ。俺も君と同じ位の年齢だから」
そう断ったが、
「はー?じゃあ家来て。家来てママとパパ説得して!」
「いやそれして俺に何のメリットが……?」
「あ…あるし!私がパーテイメンバーになるから!ねぇ、それでいいでしょ?」
いやお前が強かろうが知らないけど。まぁ、強いなら戦力になるかなあ……。よし。
「わかったよ、じゃあ取り敢えず家に行くか。」
この子勢いのある言動に見事押された。こういうの弱いんだよな、俺。
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鍵がかかってないのかよ。普通に開けたし。鍵穴がそもそもないのか。泥棒がいないのかな?もう午後5時になった。ベルを呼ばなきゃ行けない時間に近付いて日も暮れ始めた。
「ただいま!!」
「お邪魔します」
2人の声が重なった。びっくりしてるだろう、家の人は。
「え…どちら様?貴方は。」
まず出てきたのは大人しそうな好青年。体格もしっかりしていてイケメン。
「あ…えっとね、ユウキ、この人は…えっとね…?」
と、目配せをしてきたので、理解し、名を言う。
「初めまして。ソウ=ブレスと言います。冒険者です。」
掴みはOK。
「え…ちょっとパパ、ママ!シズクが男の人連れてきた!」
あれ、全然良くなかった。
「え……シズクが……?遂にか!?もうすぐ大人だもんな。オレはうれしいぞ!」
お父さんらしき人物の声。
「シズク……?それは本当?結婚式はいつやりましょうかお父さん……。」
気が早い、いや早すぎる人達だ。
「ちょっと?おい、シズク?さん?」
「ごめん、ごめん。パパ、ママ、ユウキ。私、冒険者の旅に出たいの。この人と一緒に行かせてくれない?」
数秒の静寂。その次に訪れたのは…歓喜だった。
「……うん、いっていいと思うよ」
まじめになったお母さんだった。
「いいぞシズク!行ってこい!お願いします、ソウさんですね。家の子は天然ですがこう見えても優しい子なので……」
何このアットホーム感。あ、アットホームか、ここ。
「ぃやったー!!」
シズクは喜んでいる。
「え、シズクだけ狡い。僕も行きたいんだけど」
と、好青年も言うと、
「2人とも行くの?大丈夫?」
とお母さんは心配するが、
「大丈夫だろ、何せシズクがいるんだから」
お父さんは信頼しているようだった。
んー、だけど俺がいないところで勝手に話を進めるなー。何も連れてくなんて言ってないぞー。
「「ソウさん、2人をお願いします!」」
えー。纏まっちゃったよ。
「わ、解りました。んじゃあその代わりにお願いがあって今日ここに泊めてもらっていいですか?動く体力、もうないんで」
「いいですよ!どうぞ、食べてってください!」
やっと玄関から上がり、家の中へ。夕飯は家の気分がして美味かった。こんな優しい親はいないよ。
部屋にて。
「スキル使用!!聖霊召喚!!」
「うぉ!?もう6時なの。てかここ何処よ。村!?の家?」
と驚いている。宿屋に泊まると思ったのかな。
「ベル、報告が……」
そして、シズクのことについて話した。
「はぁ!?本気!?まぁいいけどさ。面倒みるんだよ。いいね!?」
「はーい。で、居場所は解った?」
「ごめん、明日ももう一回やるね。待ってて。明後日までには」
そう答えてくれた。頑張っているのだろう。俺は応援する。出来れば俺もしたいが足手まといにはなりたくない。
「頑張れよ」
「ありがとね」
さて、明日から新たな2人の仲間を入れて旅が始まる。……不安だらけだ。