第6話「マナ、いぐぞ……」
そして、国に向かって何となく歩いていた時だった。
「そういえば、ソウ」
ベルは、予想だにしない言葉を口に出したのだ。
「なんだよ、ベル」
そう反応すると、
「言ってもいいかわかんないんだけど私があなたを転生させた時、もう一人、近くにいた人も転移してしまったの」
意味わかんないこと言い始めた。
「なんだと?誰の事だ?」
おそらくという検討は、付いていた。
「村井、真奈。という少女。ソウ、あなたの付き合っていた恋人だよ」
唐突に言われたその言葉に、動揺を隠せない。
「ハァ……嘘だろ……!?」
怒りの感情か、憎しみか、それとも不安の感情、嬉しみもこもった感情が、大丈夫なのか、心配だそんなものが俺の中で膨れ上がった。
俺はまだ中二。いや泣いてなんかないさ。俺の瞳から溢れる雫が大量にあるだけさ。俺は泣いてなんかないんだからな。……正直に言おう、泣いてしまった。
「ぐすっ、ふうぇ」
初めてこんなに泣いた。赤ん坊の時以来かもしれない。それは大袈裟か。いやそれ以上かもしれない涙がこぼれた。真奈は俺をとっても信頼してくれていた。そんな真奈を言われる迄忘れていた、という自分への怒りもあった。そんなことより、真奈の居場所が気になった。
「なぁ、ベルぅ。真奈はぁ、今ぁ、どこぉ?」
「人間の国にいると思うわ。転移に失敗しているからいま、あの子は今、世界の狭間にいる」
涙を止めて、俺は言う。
「ぐすぅ、真奈、いぐぞぉ……絶対、お前を迎えに……っ!!」
そして歩くスピードを上げた。走った、走ってその国へ向かった。
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到着。この国で冒険者登録を行ってからその人間の国へ行く。
「ソウ。入るよ」
そして中は、転生してきた国と違って発達が進んでいた。さすが共存してる国。
学校みたいなところで冒険者登録をしているというので、まずはそこへ。毎日、100人ぐらいが冒険者になるという。ベルにはバランドールの場所みたいな休憩所カフェ的な場所にいてもらう。冒険者登録は今冒険者が少ないらしく無償でできるっぽい。行列に並んだ。こいつら、礼儀正しいな。日本人かよ。
「はーい。次の人ー。君は、誰だい?」
「あ、えっとですね。ソウ=ブレスです。」
「魔晶石で見るね」
魔晶石というのは、透かしてみると、個体名、属性、状態、共通の名前の場合の相手がわかるものらしい。
「はーい。君は、ソウ=ブレスね。お?聖霊さんとの名前ですか。期待出来ますね。では、登録試験を行いますので、暫くそちらの席でお待ちくださいね」
「はい」
試験というのはランク試験らしい。証明書でクエストなどを受注してやるが、クエスト参加上での参加可能か?それともそれに至らなく弱いか?らしい。
「こんにちは。ソウ=ブレスさん。私はゲリオン・テキストと申します。ゲリオンが私の名です。どうぞよろしく」
強面じじい来たし。いや、じいさんにしておくか。
「はーい」
「今から試験を開始しますのでこちらへお願いします」
どこへ行くのかと思えば広場か?…そんなとこで…?
「場所を隔離せよ。隔離地点」
お?なんか開けた開け場所に来たぞ。
「試験を行います。まずはDランクだ。行け」
召喚魔法ですね。えー、略奪を使用してみる。(低級魔獣召喚術を習得しました。)魔獣。らしき生物。弱そうだな。犬かな?とりあえず…
「炎場破壊!!」
よし。軽く燃えさった。
「早かったな。次は…Cランク、召喚」
来たのは?電気蝙蝠。洞窟のヤツと一緒だ。なら逆にな?
「電光!」
威力のある電光を与えてあげよう。一瞬。格が違うな。
「これも一瞬か。Bランクだ!我の守りの者よ!呪われし悪魔よ!敵を抹消せよ!悪魔召喚」
うわぁー。嫌だな。とりま(悪魔召喚魔法術を修得しました。)よいしょと。じゃ、
「天より舞い降りし破壊の意志よ!我の力となりて標的を潰せ!破壊光線!!」
ぱ…らら?悪魔の属性で倒す。それが俺。
「なんと。まあまあだな」
こういうとこでは、Aランク昇格は無理らしい。Bランククエストを何度かやったあたりで昇格できるらしい。ということで。
「ソウ=ブレス。貴様にB+の資格を与える。Aランクのクエストにもパーティやギルドチームなどから行けるぞ。まずは、ギルドチームにでも入れ。隔離解除!」
「ありがとうございました。」
はっ。ついバスケ部の頃の癖が…何?ギルドチームって。さて、さっきの広場へ帰還した。そこにいた、受付の人が何か持っているようだ。
「ソウ=ブレスさんですね。認定します。冒険者証明書です。どうぞ。これを魔導評議会に提出して、クエスト受注ができます。」
生徒手帳のようなやつだった。でも免許証みたいに自分の情報の欄もあった。
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「ベル!」
「あ、終わった?」
「おう。聞きたいんだがギルドチームって何だ?」
「ギルドチームね。それは、冒険者パーティみたいなので、集まってる冒険者ギルドだね。チームメンバー証明書っていうのもあるし強いギルドチーム入ってるとそれだけ難しいクエスト受注が可能だよ!」
へぇ。そうなんだ。そうなると作りたくなるな。
「自分から作れるのか?」
「申請が必要だよ。リーダー。ギルドリーダーを決めるんだ。B+以上の実力者のみ、認められるんだよ!」
ふむ。そんなのがあるのか。やっぱり作りたくなるな。
「じゃ、人間の国行こうか!」
「うん」
ポライド国を出る事にしよう!ということになったがもう夕方で、1晩休むことにした。
「じゃ一旦精霊界帰ります」
「おう」
俺は質屋に行ってスマートフォンを売った金で、ホテルに泊まった。スマホはどんな感じだったかっていうと……まずWi-Fiは当たり前に圏外。ネットなんか使えなかった。ゲームアプリを開こうとしたがだから繋がらなかったから絶対無理。何とか聴けたのが、音楽だけだった。だから売る前におんがくをめいっぱい聴いた。カメラとピクチャの起動を確認したところで、初期化。そして、売却。結構高い値段になった。金貨30枚という。これは銅貨が100枚で銀貨1枚になり、銀貨100枚で金貨1枚と、いうことなのだ。星金貨というのもあり、これは金貨100枚で1枚だと。
寝るか。
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さて、朝だ。ホテルの朝食は野菜が主だった。豆類は苦手だったが普通に食えた。ベルは、朝には俺の部屋にいた。「おはよう」などと、挨拶をしてきた。では、ポライド国へ急ごうと思う。真奈の意識は、一応俺と同時に来たので消滅するのは俺達が来てから既に4日経っており、あと3日だという。やばくね?ここから2日かかるらしい。
「なぁ、ベル。移動魔法とかないのか?」
俺は歩くのが嫌なのですぐ楽な方法を聞く。
「あるよ。私、移動改築魔法使えるから、魔法陣敷くね」
魔法陣の描き方が分かりないが、ベルは楽に書いていく。難しそうだな、これ。と、完成したところで、俺達は転移する。