第5話「契約と新たな名」
うん、と。じゃあベルが帰ってくるまでここで待ちます。眠れるのかな?ほんとだるいけど、大丈夫かな?つーか、ボスから何も手に入れらんなかった。やっぱスキルの獲得って、難しいらしいな。俺の持論。さて、寝るか。体から少し光色の魔素出てるし。あ、もうダメ。力が出ない。寝る。――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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朝は早かった。夜明けのあの太陽は綺麗だった。つか、ベルは俺が呼ぶんだし。並行世界なので、太陽はあるはずだろ?それぐらいはわかるよ。えーっと、体力も魔力も回復してるな。よし。ベルを呼ぶ前に魔法の練習でもするか。
調べてみたところ、魔法には属性があるっぽい。炎、蒼、水、地、風、闇と聖。
基本的魔法には攻撃魔法、防御、回復、変化だって。特別魔法っていうのには、リンク、封印、召喚、術式、改築でこれは特別に習得する必要がある。光の魔法っというのもあって、これには攻撃、衝動、防御、召喚、精霊魔法、妖精魔法、創造、予知、未来奉還。闇の魔法は、破壊、悪魔、呪印、吸収、支配だと。俺の属性というものは??わからんが。俺は基本的魔法を使えるらしいので、とりあえず防御、回復、変化を使う。
「我を包め!小装甲防御!」
おう!出来た!!これで攻撃を少なくするらしい。苦手属性の攻撃は、二倍らしいが、これで、1.5倍になる。次々!まだ足りない体力を!
「我にさらなる時間と命を。叶の一時!!」
よし!!完璧に回復した!体力満タン!!さて次は、
「我に力を授けろ!攻撃の上昇!」
これで、打撃力が上がった。こんな感じだな。基本は。うむ。魔法とやらは覚えられたぞ。さて、ベルを呼ぼうか。
そして、ベルに渡されて巾着を取り出すと、
これは……、鍵か!?ん、メモがあるぞ?なんだ?
トオル、私を呼ぶなら、こう言ってね。
「私と精霊、ベル・バラード・コアハートは契約する!その為に、ここに召喚する」とね。鍵を上に掲げてね。よろしく!
と書かれてあった。へぇー、俺とベル、契約するのか。なら、してやろうか。
そう思い、鍵を上に伸ばす。
「俺と精霊、ベル・バラード・コアハートは契約する!その為に、ここに召喚する!来たれ、ベル!」
最後のは俺の中2心、と思いつつ、待つと、眼前に、誰?が登場した。俺の予想では、契約仲介者(いるのかどうかは知らんが)かなんかかと。そして、誰?は、声を出した。
「おはよっ!トオル!」
えぇー!?ベルっ!?マジでベルなのか!?かっ、可愛い!メチャ美人。っつーか、美少女。真奈とは違う感じで可愛いんだが。
「ベルか。なんで人間なんだよ。めっちゃ可愛いじゃねえか」
なんか普通に可愛いって言っちゃった。そう褒めると、ベルは照れながら言った。
「そ、そうかな……、まぁ、いいけど」
そして、近付いてきた。
「私とトオル、契約するよ!」
そう言って、どんどんベルは近付いてきて、気付いた頃には、俺の唇がベルの唇と触れていた。
「ーーッ!?」
どうしようもなくベルに訴えている。ファーストキスだった。なんだか、意味がわからないぐらい気持ちよくなっていた。もう、ほんとに。コメントがノーコメントになるぐらい。
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そして、2分後。
「んー、と、これで、私はトオルの契約精霊になってきたわけだけど、私はトオルに聞きたいことがあるのさ。なんか、昨日と違くない?感じが?」
んー、なんかあったかな……。と、考えてみるが、俺は分からなかった。
「わからねえなあ……」
そう告げると、俺はベルの異変に気付いた。
「お前さ、お前も前より、なんか、変わってね?いや、人間になってる、とかじゃなくて、あのさあ、雰囲気がっ?つうかそんな感じ?」
全くと言って言葉に出来ないが、それでもベルには伝わったと願っていると、
「あっ、そう思う?そうなんだ、私、元精霊女王という肩書きから、聖霊。聖なる霊と書いて、聖霊ね。ランクも、S+となったの。結構強くなったんだー、ね、凄いでしょ?」
ベルはこう言って、はしゃぎながら俺に自慢してきた。うん、確かに滅茶苦茶すげえわ。凄いとしか言いようないし、格が違うかーらーね。ま、どうでもいいわ。
「じゃあ、聞きたいんだけど。ねぇ、トオル、進化したよね?進化したんだよねぇ……」
そ、そうなのか。知らねえけど、そうなのか。進化してたん。あの光の出てる感か、あれも進化なのかな。そうか、ならば、なんか変わってるところがあるのかな。
「多分トオル、名付けできるよ。名付け。トオルじゃない名前に、なれるの。なるでしょ?なりたいよね?」
一息つくほどに考え、俺は無言で頷いた。
「……じゃあ、私さ、トオルに名前付けるからさ、トオルは、私と共通の名を考えて。私と契約したんでしょ?だったら、それくらいお願いね?」
共通の名?と言うと、なんたら=なんたら、みたいなものだったか。そうか。ならば、何にしようか。……うーん。なるほど、難しいな。まぁ、何でもいいが、何だったら、ベルのイメージで行こうか。
そう、何となくでいい。
「決まったぞ」
そう言うと、ベルも、
「ん。決まった」
そう言ったので、ベルから先に言ってもらう。
「今日から君の名は、ソウ、ね。ソウ」
「じゃあ、俺とベルの共通の名は、ブレスだ」
(個体名確立。ソウ=ブレス)
と、頭の中に声が響く。
「じゃあ、行くよ!ソウ!」
ベルは笑顔で手を差し伸べる。
「トオルの呼び名からすぐ変わったなー」
そう言って、走り始めた。