第1話「異世界」
……は?ちょっと待てくれ。俺はどうなった?この光の空間は何だ?腕に力が入らない……?というか、何か、いや、何も見えない……?何があったんだ、こんなに非日常な空間、全く意味がわからない。恐らく、地球であんなこと、起こりえないだろう。とすると、なんだ……?俺は、死んだのか?……それ以外、考えられないな。死んだ……?え?嘘だろ?真奈や、家族や友達ともう会えないのか……?嘘、だろ?…………、そんな、そんな……?
そして俺は、心の中で泣き喚いた。そうしてふと周りを見たら世界は闇に囲まれていた。
ま、とりあえずは、諦めるか。俺は死んだ。全てを破壊するとか、そういう神様にでも次はなろうか。それとも、猫か何かに生まれ変わるか?意識なくなるか。でも、なるとしたら優しくなりたいな。優しい人間になって人に優しく、そしてたまには厳しい人になりたい。そんな人になれたら、いいかなって思うな。
……っていうか、何なのこの時間。長いわ。死後の世界は闇の世界で一人ぼっちになるのか?絶望的じゃないか。なんなんだこれ?
そして、1時間ぐらいが経った。周りの世界が光に照らされ、徐々に目が慣れると、世界を見た。
「……え?」
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生まれて14となるこの俺、青葉トオル。死んだと思ったら、異世界に来てました。なんだ、俺の召喚者はまさかポロかよ?ポロの鳴き声で俺が来たのか?新種だとは思ってたけどこの世界の動物じゃなかったのか。いや、元の世界か。
「おい俺はどうなったんだポロ」
と、ポロは近くに居たので問いかける。
「異世界、ハイドピッグへ召喚しました」
ポロの様子はわからないが、声が聞こえる。
「いや、おい」
この展開。魔物とか魔獣とかが生活する世界でなんか凄い強いチートなスキルとか持って旅でもするんだろうかな。ハーレム展開もくるのかな。俺は、魔法を使いたいなぁ。
「……あれ?喋った?」
「はい。元々私は喋れます」
「まじですか」
ポロが喋ったのは驚いたが、目の前にいるのはポロの姿。そして、俺がいたのは商店街の裏みたいな路地だった。少し歩いて外を見るとすっげぇ町って感じ。いかにも異世界。基本的に作りは木材か。すごいな。とりあえず今もってるもの確認しよう。俺が所持してるものと言ったら…
俺の服(パーカーにシャツに洋服にズボンにハーフパンツにパンツ)1着。と携帯(スマートフォン残量56%)一つ。とバッテリの充電機器類1セットの3時間位長持ちするやつと軽めのバッグ一つ。バッグの中のハンカチティッシュ1セット。バッグの中のメロンパン一つと、ポテチ一つ。財布(2531)。なんか持ってた発煙等一つ。絆創膏六つ。カッターナイフ1個。ビニール袋1個。
あれ。初期装備最高だな。カッターナイフとか。煙が出るのもいいも思うんだけど。
今の俺どういう状況だ?なんか使えるのがあるのかや?
(ステータス表示)
おぉ!ステータスか!どういうのだろ?目の前になんか出てきたぞ?
体力 621
魔力 未知数
固有スキル 火事場の馬鹿力lv.1
コモンスキル 無し
ユニークスキル 破壊 解析 友好(未起動)
必殺技 無。スキルにより可
魔法 無。スキルにより可
おう。こっちはダメだな。スキルってなんだろか。というかまずは、ここから出るか。
「行くよポロ」
と声を掛ける。
「はい。行きましょう」
「んー。後、トオルって呼べよ」
なんか、こういうのは慣れてねえからなあ。馴れ馴れしくていいんだよな。
「了解しました、トオル」
うーん、なんか違うな。
外の方に出て、周りを見渡す。
「おぉ。これは」
人が沢山いる!ヤバぃ!凄ぃ!なんだろ?これ?うぉー?あれ?前言撤回。人はいないな。動物と人間が合わさった種族的な何かがいるよ。
「あの人たちは何?ポロ」
「こちらの世界でいう亜人族です。人と魔物が重なり合った場合は魔人と言います」
すぐに答えてくれた。
「おお、さんきゅ」
覚えておこう。亜人族ね。と、それを考えた時にポロが敬語で問う。
「あの……、すいません。一ついいですか?」
「何?」
そんなことを言ったポロ。
「私の事をお伝えしてもよろしいでしょうか?一応、ということで」
俺は了承する。
「お、おう」
何を話されるのか。別に興味は無かったんだがな。
「それでは話します。単刀直入に言いますが、私は、封印された元精霊女王です。こんな姿になっているのは封印された姿だからです。封印が解けたら、私は魔人となるものなので人らしい姿になります。この世界の人間がつけた階級で、S級の実力があります。今はAクラス級しかないのですが、妖気や魔力を抑えて周りから見ればC+の魔物並みとなっています」
それを聞いて、小二レベルの質問をする。
「ということは、さぁ、すごい強いやつってこと?」
「必然的に、ランクを見てもらえればわかります。Sランクというのは強い存在ですからね」
やばい人と会話してらしい。とにかくやばいのは解る。いや、待て。ポロ、強過ぎるんじゃないか!?
「待て。ということは、俺を召喚したのもお前か?」
「はい。ほかの人も巻き込んでしまったようなのですが」
やっぱりか。なんなんだよ。スゲエじゃねえか。迷惑とは、なんだか知らないがまあ気にしないでいいだろう。
「て、ことはだよ。お前は俺が名付けたポロじゃねぇだろ。名前があるよな。こっちの世界にいるんだから」
「私は、ベルといいます」
「そんな名前か。じゃあこれからベルって呼ぶな」
俺はもっとこの世界のことが知りたい。とりあえずこんな所で話してないで、そこにある喫茶店ぽいものでも行くか。
「ベル……?ちょっとそこ寄らない?」
話を聞きたくなったので、軽く誘う。
「了解です」
やっぱり、違和感しか感じない。俺が仲良く接しているからなんだろうが。
「タメ口でいいぞ。つか、俺がタメ口でいいか?」
声は小さかった。怖くなってしまった。
「ありがとう、トオル。いいですよ」
それを聞き安心し、向かった。
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この喫茶店は入るのは無料のようだ。サービス精神旺盛だな。だが、商品購入については受付に行って面倒なことをしなければならない。説明を聞いて、うんざりした。あと、言語が日本語でラッキーだった。
「さて、ベルよ。まずこの世界について。説明してくれないか。お前なら知ってるだろ?」
「わかった、トオル」
「かたくなるなよ」
と、いうことで。ベルから聞いた話はこんな感じ。この世界は俺が生きていた世界が地球だとしたらここは何かが生じて分岐した、パラレルワールド。でも、異世界。ということだけど、ここで生き抜かなければいけないのでいろんな説明を聞いた。まず、魔物には、EランクからAまでは普通に表わせるそう。E+とかB-とか+と-の階級を付けると、これだけで、15の階級。そして、SランクからはS-、S、S+、SS、特別級などなどある階級の中に存在する。そして災害とかを起こすものとかもいるらしい。最高級は、EXという、伝説級の天災。最凶だ。お金もあるっぽい。あと俺が生きていた世界で有名だった、竜と魔王もいるらしい。6種のドラゴンと、そこから派生した竜がいるという。
魔王は、
聖夜と呼ばれる星から表されているらしい。七つの魔王ということで、BLACK STARという役の名で呼ばれているらしい。なんか七つの大罪っぽいけど。
あとこの世界は、進化が簡単に出来るらしい。スキルについても説明をしてもらった。スキルとは、自分が使える、力や何時も発動している力など様々。基本的には魔力を使うらしい。魔法は、魔力を使う力。と、いうことで。
スキルが既にあったのでそれを使ってみる。火事場の馬鹿力という力は、使用するものではなく、ピンチの時のみ、全ての力が結構アップするらしい。じゃ、1番気になっていたユニークスキルを使う。
(ユニークスキル:破壊を起動します。)
(ユニークスキル:友好を起動します。)
(ユニークスキル:解析を起動します。)
うわ。すごい。力がみなぎってきた。
これはうお、進化かな?
「トオル、これが進化だよ?解る?感覚?」
「おう、なんか過ごそう」
なんか、急激に力がこみ上げてくる感覚はすごい。
(基本的魔法が使用可能になりました。)
感覚なんだけど、身体がバラバラになってまた形成される感じかな。起動が終わった。なんか外見に変化はなし。スキルの説明を見とく。(ユニークスキル:破壊にて、破壊魔法、粉砕、狂戦士化、剛碗を獲得しました。)破壊魔法は、岩とか精神とかも破壊できる最高級の魔法らしい。攻撃もお手の物。粉砕は、握力増強とか、戦闘力アップ。壊すんだね、とにかく。あ、拳とキック力の増強もあるって。狂戦士化は、まぁ、戦闘中にパワーアップする機能らしい。剛碗はただ単に力の増強らしい。思いいわとかも軽々持てる。(ユニークスキル:友好にて、創造魔法、読心、森羅万象を獲得しました。)ええと、創造魔法は、ゼロからは作れなくて、なにかものがあれば想像して、創造出来るらしい。すごい魔法だ。創造の力で、魔法を組み合わせたりも出来るらしい。読心は、人の心を読み取る機能だと。俺にはまだ使いこせなさそう。森羅万象は、知能アップ。世界を網羅した情報が手に入るのかな。気になったことがあったらこれで調べてみるか。(ユニークスキル:解析にて、補填、解析、取得、真骨頂を獲得しました。)補填は、その名の通り補填など。修復の機能も持ち合わせるらしい。解析は、相手や、物などを、解析できます、という。取得は、相手の、スキルなどを解析して、取得することが使えるようです。真骨頂は、スキルや魔法等の故の真骨頂を煌びやかに出すという。でだ。森羅万象と、解析、取得を同期させてみた。あと、こんなのも起動時に付いてきた。(エクストラスキル:動力感知を獲得しました。起動します。)おおっ。なんか妖力とか見えてきた。これで、いろんなことが出来るのか。いいな。これでポロ…じゃなかったベルを見ると、確かに弱そうに見えるな。封印されてAって最強すぎだろ。
「よし、取り敢えず人間の村へ行こうか!」
当面の目標を定め、
「おーっ!」
そして俺達は旅へ出ることになったのだった。