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王女の従者  作者:
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第3話 メール

 ソフィアとともに読み書きの勉強をして三週間が過ぎた。

 この世界の言葉は英語と似ている。実は俺は少し不思議に思っていたことがあった。

 それは、なぜ、俺はソフィアたちと普通に会話ができるのかということだ。読み書きを学び始めてから気が付いたことだが、どうやらソフィアたちは間違い開くこの世界の言葉を話し、俺は日本語を話しているらしい。その証拠に言葉と口の動きがあっていなかった。

 どうやら、何らかの方法でソフィアたちの言葉を俺の中で日本語に翻訳されているらしい、そして、その逆も同じように翻訳されているようだった。それをソフィアに話してみたところそんな魔法は存在しないということだった。

 しかも、この世界のほかの言葉で試したところやっぱり同じように翻訳された。つまり、俺はこの世界ではどんな言葉も話すことができるバイリンガルということらしい、まぁ、便利だとは思うけど文字の習得にはそれなりに時間がかかりそうだった。なんていっても俺は英語が最悪なほど苦手だったからだった。でも、英語と違って言葉の理解ができているために少しは覚えられそうだった。

 というわけで少しは読み書きができるようになった。そうなってくると子供用の本が読めるようになり、ソフィアに借りて夜寝る前に読むのが日課になっている。

「結構、面白いな」

 今読んでいる話は、騎士が魔王を倒すというありがちな話だった。でも、出てくる魔法は実際にこの世界にある魔法なので魔法の種類などの勉強にもなってありがたい。

 一方ソフィアの従者の仕事も順調だった。仕事は主にソフィアのスケジュール管理だからその調整が結構面倒だが、それでも何とかやっている。

 昼には食堂でアレルやその周りの者たちといろいろ話をしてこの世界の情報を集めている。それによるとやはり貧困の差はあるようで貴族は優雅な生活をしているが、平民のほとんどが貧乏な生活を強いられているようだ。中には貴族を恨んでいる平民も多くいるということで俺はよくある話だと思った。


「そうですね、確かに、平民の方々には貧困を敷いているところがあります。それは本当に申し訳ないと思っています。本来なら王族や貴族は率先して質素な生活をする方がいいのかと思いますが、貴族の方々がそれをよしとしないのが現状です」

 俺がアレルに聞いたこの国の状態を聞いたところそのように答えが帰って来た。

「まぁ、貴族っていうのはそう言うものだろ、俺の世界でもまぁ、今は貴族なんていないけど、物語に出てくる貴族はたいていそう言うものばかりだよ。まぁ、中には良い貴族もいるけど、そう言うやつはたいていほかの悪い貴族にやられるんだよな」

「ええ、そうですね、恥ずかしいことですがわが国でも過去そう言ったことがあったと聞き及んでいます」

 ソフィアはほんとに申し訳ないという感じだった。

 そんなときだ、突然、音が鳴り響いた。

 ソフィアはいったい何が起こったのかわからず困惑して、その音を聞きつけた騎士たちはソフィアを守るように持っていた剣を抜き去った。

 俺はというとあまりに久しぶりで一瞬何が何だかわからなかった。

 音の正体は、俺のスマホだった。でも、この世界に来てからずっと圏外で俺はスマホをカメラやオフラインゲームをする機械としてしか使っていなかった。そのスマホが突然メールの着信を告げたのだった。

「悪い、俺だ、まぁ、危険なものじゃないから安心してくれ」

 俺がそう言うとソフィアと騎士は安心したのかほっとしていた。

 こっち来てからの交流により騎士たちとも仲良くなっていたので信用してくれた。

「そうか、ユキ、驚かすなよ」

「悪いって」

「まぁ、いい、持ち場に戻るぞ」

「はっ」

 こうして騎士たちは部屋の外に出て行った。

「それで、今の音は何ですか? とてもきれいな音でしたが」

「ああ、それは、これだよ」

「それは以前見せていただいたものですよね。確か遠くの人と話をするものだとか」

「ああ、スマホっていうんだけどな」

「それで、なんだったのですか」

「ああ、そうだ、着信」

 俺はスマホのロックを解除して確認した。

「!!!」

 俺は驚愕した。

「う、嘘だろ」

「どうしたのですか?」

 俺の様子にただ事ではないと感じたのかソフィアが俺に尋ねた。

「まさか、そんな」

 そんなソフィアの声が届かないかのように俺の驚愕は大きかった。

それもそのはず今まで圏外だったのに今は思いっきり三本立っていた。それにより俺の下に大量のメールが届いていた。今の音はどうやらそれを告げるものだったらしい。

少しして我に戻った俺はようやくソフィアに説明した。

「悪い、突然、実は、なんていうかさ、これは、遠くの人と話ができる機械だって言っただろ」

「ええ」

「それだけじゃなくて、メールって言って、遠くの人に瞬時に手紙みたいなものを送ることもできるんだ」

「お手紙ですか?」

「そう、それで、今、その手紙が大量に届いたんだ。差出人はほとんどが姉ちゃんか」

「お姉さまですか?」

「そう、姉ちゃん、でも、なんで突然電波が届くようになったんだ」

 俺がそう首をかしげているとまた圏外になっていた。

「また、圏外になったか、いったい何だったんだろな」

 俺はそう考えながらもとりあえずメールを開くことにした。

「それで読むことができるのですか?」

「ああ、こうやってやると、ほら」

 俺はメールの画面を見せた。

「これは俺の国の言葉だからソフィアには読めないと思うけどな」

「確かに、私には読めませんがなんて書いてあるんですか?」

「えっと、これは、姉ちゃんからで、俺がこっちの世界に来てから向こうでは行方不明になっているから、どこにいるのかっていう……心配しているみたいだ」

「……そ、それは、そうですか」

 それからソフィアは黙ってしまった。

「でも、なんで、今電波が来たんだ」

 俺は考えた。するとソフィアから有力な情報があった。

「そう言えば、前に読んだ書物に書いてあったのですが、それによると、昔ある少年が白く靄のようなものが浮かんでいるのを発見したそうです。何だろうとそれをじっと見てみると何やら見たこともない光景が広がっていたということです。しかし、そこは森の中、靄の中の光景は存在しなかったのです」

「それってつまり、異世界につながっていたということか」

「はい、今思えばそう言うことかもしれません、実際、ユキ殿が現れる直前白い靄を見たという報告がありました。私があの場所にいたのもそれを確認するためだったのです」

 それを聞いて俺は確信をした。

「ということはその白い靄は俺の世界とつながっている場合があるってことか、そうか、さっきも俺の世界とつながったんだ。だから、電波が来た。ということか」

 俺はそう結論付けた。

「電波の性質からしてたぶん城内で発生した可能性が高いな。明日あたりアレルに聞いてみるか」

「私も騎士などから聞いてみましょう」

「ああ、助かるよ」


 次の日俺は夕飯を取るために食堂に向かった。

 当然アレルに昨日のことを聞くためでもある。

「アレル、ちょっと聞きたいんだけど、昨日の夜白い靄のようなものを見なかったか?」

「白い靄? なんだそれは?」

「まぁ、ちょとな、見てないか」

「ああ、見てねぇな、ほかにも聞いてみるか」

「おう、悪いな」

 するとアレルが食堂で大声を上げた。

「おい、誰か、昨日の夜、白い靄を見た奴はいないか?」

 すると一人の男が立ち上がってそれに答えた。

「俺は見たぜ」

「ほんとか?」

 俺は話を聞くことにした。

「ああ、確かあれは、俺が訓練を終えて兵舎へと帰るところだったな、ふと妙な気配がして兵舎の壁を見たらすぐ横あたりに白い靄がかかっていたんだ。まぁ、霧でもかかっているのかと思ったけど、何やら妙に明るかったのを覚えているぜ」

「明るかった?」

「ああ、なんか妙に黄色がかっていたように思うがな」

「黄色がかった光か、もしかしたら蛍光灯かもな」

 俺はそう小さくつぶやいた。

「ありがとな、助かったぜ」

「おう、いいってことよ」

 俺はそのあと仕事がまだあるということで食堂を後にした。


 ソフィアの私室へと戻った俺はソフィアの就寝の身支度を手伝いながら食堂で聞いた話をした。するとソフィアも騎士たちから俺と同じように兵舎のあたりで目撃があったことを話してくれた。

「ということはやっぱり、俺の世界につながっていたんだな」

「ええ、そのようですね」

「これで、変える方法はわかったってことか」

「はい、ですが、これはいつどこで発生するかわからないですからね」

「問題はそこなんだよな。それが分かるようになればいいんだけど、でもまぁ、それを調べて行けばいずれわかると思う」

「そうですね、私も微力ながら協力しますよ」

「助かるよ」

 こうして俺とソフィアは白い靄について調べることにした。

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