影ふみ遊び
無理だってコトは…分かってた。
儚いただの夢物語だって……永遠にそれだって思ってたのに…。
神様…ありがとう。
私と隼人を助けてくれて…ありがとう。
―――――――――――――影ふみ?
ことの発端は担任の一言だった。
「童心に返って思う存分遊ぶぞー!」
この一言から、影ふみすることになったのだ。
高校入試が終わって、ひと段落着いた中3にとってはうれしいイベントかも♪
なんだかみんなもわくわく気分だからよりいっそううれしいな。
「日―菜―!」
振り向くといつものように、隼人。
私はただにっこり笑って隼人の隣を歩いた。いつも…ただ隣を歩いていた。だから影はいつも隣同士だったんだ。
先生も入った、『影ふみ』
鬼は2人。
先生がホイッスルを吹く。その合図で、みんなは描いた円の中をひたすら真ん中へ向かって逃げる。
小柄な私は結構有利だ。でも、今の時間帯は、夕方。それに冬。影は長くなる。
私もみんなの中に入って頑張る。
気がつくともう鬼が交代になっている。早いな…。
でも……。おかしいの。
人が減ってる…―――――――――――――。
減るはずはない。
だって、円の中から動けない囚われの身である私たちが勝手に円外に行けば真っ先につかまる。
確かに人は減ってる―――――――――――――。
だって………先生がいないんだもん。
そのとき私の目をくらますものがあった。
―――――――――――――夕日。
なんだか私の影が長くなる。それを捕らえようとする鬼。
夕日がなんだか地面を赤く…血塗られたように染めてゆく。
周りの人は…
一人、
二人、
三人………
どんどん減っていく。なんで―――――――――――――?
どうやって消えるの。
なんで消える必要があるの。どういう原理で消えるの?夕日が飲み込む?
この血塗られた地面の色は、実際の血?その血は、クラスメートのなの…?意味が分からないよ…。
「高川さん?捕まえた〜♪」
背後から声がする。
ビクっとして後ろを振り返ると、そこには上林君…がにやりと笑って突っ立っていた。
「…あ、え、と。うん。」
そういって円外に出る。
―――――――――――――え?
みんなの影が…ないよ?
とっさに隼人を呼ぶ。
「どうしたんだよ。」
「か、か、影が…な、ないの!」
―――――――――――――隼人?
「ねぇ、隼人!!!!」
私が叫ぶと隼人はゆっくりと倒れこんできた。
丁度隼人の顔が私の右肩に乗る。その状態が何だかうれしくて悲しくて…。なんで隼人がこういう状態になるの?
―――――――――――――…みんな、どうしたの?
「日ー菜ーちゃん♪あっそびましょ?」
背後に誰かから声がする。
振り向くと影だけが密集していた。
気がつくと隼人の面影がない。
何?
私をどうするき?助けてよ…。誰でもいいから…助けてよ………。
「あっそびましょー♪」
幽霊!?
幽霊なの?私をさらうき?
「いやぁぁ―――――――――――――!!!!」
私は一生懸命走った。たいそう服だから走りやすかった。
でも影達は私の影を踏んで前に進めなかった。
「いやいやいやいや―――――――――――――!!!!!!!離してっ!!」
叫ぶけどただ影達は私の影を踏んでずるずると影達の方へ私を連れてゆこうとする。
「やめてっ―――――――――――――!!!!!!!!」
私が叫びわめいてから5分たったときに偶然の奇跡が起こった。
暗くなってきたから学校の外の街灯がついたのだ。影は一時的に消えたので、私は思わず転ぶ。
そして、次また影が出来る前に私はとにかく逃げた。
とにかく家まで走った。
人に声をかけられても一生懸命走った。家まで走った。どうしようもないくらい走った。
「お母さんッッ!!!!!!!!」
ドアを開けてすぐ入る。
鍵はそのまま家の中に投げ入れて、カランとした金属音が玄関一面に響きわたる。
リビングに急いで駆け込んだ。
でも―――――――――――――……。
そこにお母さんの姿はなかった。
ただテレビを見ている影の姿しか見当たらなかったのだ―――――――――――――。
モウコワレテシマッタンダ
私はそっと部屋へ向かってベッドにつぷった。
そのとき、
目が覚めた。
目に涙をうっすら浮かべた状態で、携帯の着信には、隼人から10件近くメールが入っていた。
その文面は全て、『日菜、大丈夫か?』それだけだった。
全部―――――――――――――夢でよかった。
あっけないこんな文章を最後まで読んでいただいて
ありがとうございます♪