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魔王喜劇、流転し悲劇へと  作者: 雪平 淡火
悲劇、転生、驚愕
1/3

悲劇

 一人の男の話をしよう。

 これはまだ魔法が栄えていた頃の話だ。


 その男は村でも屈指の魔法使いで、盗賊から村を守ってきた。

 しかし、上には上がいるもの。

 国でも手を焼くほどの大規模な盗賊団がその村を襲った。

 村人は彼を頼り、彼は期待に応えようとした。

 奮戦むなしく、その村はその晩には滅んだ。数と疲労に負けたのだ。

 それからの彼はあちこちをさ迷い、国を出て、大陸の辺境で新たな「家」をつくった。

 今度こそ、守ってみせる。

 その誓いをたて、修練を重ねた。


 それから幾年か経ち、その男は世界最強の名を手に入れた。

 魔法大会で優勝したのだ。

 誓いを果たす力を手に入れた。そう確信して「家」へと帰った彼を待っていたのは、焼け落ちた家々と焦げたかつて人であったものだった。

 また守れなかった。

 また奪われた。

 彼はその心を粉々に砕かれた。

 それでも、と。彼はそれでも誓いを守ろうと戦った。

 壊れた心はすべてを敵と見た。目に写るもの全てを破壊した。

 それからも幾年が経った頃、彼は魔王と呼ばれるようになっていた。


 誓いは擦りきれ、心は抜け落ち、ただ肉が辺りに破壊を振り撒く。それは災害であった。

 災厄であった。


 最後はあっけなかった。魔法が栄えているのなら、対抗すべく技術も磨かれる。

 そう、最後は兵器群に跡形もなく焼かれた。


 彼は世界に恨まれ、憎まれ、恐れられ、守ろうとした者に殺された。

 死に行く瞬間、彼は願った。


「今度こそ、誰かを守らせてくれ」

 ───と。

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