ラララ・たくわん
(ねーあんた、そこの醤油取って)私は目の前にいるヤンキーにそう 言った
(、、、、)
(ちょっ、ちょっと、無視はやめてよ)
私はまつげを手鏡で直している
ケバいくせに異様に美人な、前の女に言うが
(、、、、うざい)
クールに拒絶され私はさらに噛みつく
(そういえば田中さん最近来ないね)
口紅に取りかかっている美人ヤンキーに言う
(、、、、誰)
真顔で言われてしまった
(ちょ、ちょっと、あんた田中さん忘れたの!)
彼女は軽く首をかしげるが、こちらに向き直り、、
化粧を始めた
(ちょ、もう自分の世界ですか? 田中さんは!)
(そういえば醤油なんかあったっけ)
そうヤンキー女に言われて気づく
この部屋には白い壁と、そして真ん中に細い長机が二つあるだけで他になにもない
あれここどこ
私は一抹の不安を覚えた
コチコチと時計の音が静かに部屋に響く
そうここはどこなのだ
何で醤油って言ったのだろう
そこで改め手前に座っている彼女の机を見てみたが
醤油など無く、彼女は机に突っ伏してその赤髪を茶色の机に蛸足のように広げていた
私は何となく近くにあった消ゴムをその頭に投げつけようとしてやめる
そう言えば、、、時計の音はどこから来るのだろう
さっきのうちに気づいても
おかしくなかったはずだが、ここは、何もない
少なくとも壁に時計などかかっていないのだ
そして机を見ても、綺麗な顔を無造作に下に
して寝ている女が居るばかりで
時計類等は見当たらない
(ねー)
私は同意を求めて、寝ている彼女に聞いてみる
私だけおかしくないんだよね
あなたも私みたいに戸惑っているよね、と
しかし彼女にいくら問いかけてもその返事はない
私は恐るべき考えが浮かぶがそれを一つの寝言が
台無しに、しながら爆破現場のごとく消し飛ばし
私はその片方にあった消ゴムを投げた
それは見事に赤髪に命中
(もう飲めない、むにゃむにゃ)
命中のファンファーレこそ鳴らないが
代わりに気の抜けた声がそのモップのように垂れた赤髪の下から聞こえた
短い沈黙
相変わらず時計の音だけが無駄に緊迫して、辺りに聞こえる
(むにゃむにゃ)
またしても別の音がする
しかし今回はなにも投げつけてはいない
(先輩、だからもう飲めませんから~(´▽`))
こいつはどんな夢を見ているのだろう
見た目こそケバいがしかし美人というスペックがその凡人には到底無理な格好をファッショナブルにしていた
私はその夢がどうせ忘年会とかコンパかと、推理したのもつかの間
またしても前置きに
(むにゃむにゃ)と入れてから
(だからもー醤油飲めませんから~)
すごい夢を見ているようだ
状況から考えて先輩の居る環境らしいが、
もしやこの人、ひどいいじめをされていたのでは、、、、
いやいや待て、そこまで厳しい表情では、、、、
そこで彼女をみるが、赤い髪が邪魔で寝顔が見れない、しかし声は、、、、、そこまで緊迫したようではないように思えた、とするとこいつは、日常的に
醤油を
そこでふとある思考がかなり前に起こったことと結び付いた
まさかこいつが醤油を飲んだのでは
いや待てすべては夢の話、空想論
いや、寝言か、、、、
私は彼女に近こうと立ち上がったそのとき
いきなり騒音が鳴り響いた
それはいきなりであった
白い床と壁と机があるこの部屋で
その白い床が突然持ち上がる
そのリノウム室の白い床から現れたその突起は
毎朝日本人はもとよりアジア諸国で食べられる米と言う食材を素早く主食に変換する夢の機械
それが直径三十四方の盛り上がりとなり、床から隆起した、私は呆然と見ていたが
向かいのヤンキーは、もうマヨネーズ飲めません
と寝ながら言い
そんなとき無駄にジャーから煙が沸き上がり蓋が開いた
そのとき白い羽をつけた裸体の幼児が低い天井めがけて、その白い炊飯器から飛び出した
それは、誰に言ったのか
(コチコチ)叫びながら飛び出したのだった
目の前に今、小さないわゆる天使が座っていた
先ほどから机しかない部屋と連呼はしているが、
実際は椅子がある、それもパイプ椅子と言うものが三個
かくして、その天使と思われるそれは、私たちの横に座り、それをようやく起きたヤンキーと二人で見ていた
(君達に今から、殺し合いをしてもらう)
その幼い赤ん坊のような顔が気色悪く微笑む
そんなとき田中さん登場
私たちは今、その露出狂幼児に将来のために何故裸なんてことをやったのか聞いてみた
それも突然登場した、田中さんの意見で
叱るだけでは駄目、理由を聞いてあげなくちゃ
の鶴の一声で
ヤンキーのメリケン尻叩きを中止して、尋問を開始した
⑨何でこんなことしたの?
絵、、、、分かりません
⑨何でかな~坊や~いってごらん
猫撫で声、一瞬天使の表情がひきつる
絵、、、、出来心で、みんなの真似をしたくて
おかしいとは思ったのですが不意、はだかに
⑨君はみんながやるからといって、人を殺すのかな
絵 はい
その即答に三人のなかに異様な、間が生まれる
ヤンキー(お前ってやろーは)
その後何が起きたかは、想像にお任せする