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月
できればパソコンで
月は見た。
はるか遠く一際光の集まる島国の中、森と森との間のひらけた土地に、群がる墓石のような、その気の遠くなるような小さな隙間の中を流れる、まさに血管を流れる血のような光の帯のその一粒、その中から空に向かって携帯電話をかざす、そのカメラのスコープが、
その奥に隠れるぽかりとあいた口が、
捕らえる。
彼女は笑う。今日は一番良い顔のできる日なのだ。
カメラのシャッター音が空しく鳴る。 その親指は風景を絵にする。
画面に写る月 を見て、 彼女は視界の隅に見つける。
彼女は笑う。 ほんとうの月。