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*予期せぬ展開

「なんだ?」

 白銀は慌ててリビングルームにある通信端末に駆け寄った。

<そこの船、ハッチを開けろ>

 男の声だ。威圧感を放ち強制的に発する。

「どういった理由か教えてもらいたい」

<……>

 応えのない相手に白銀は眉をひそめた。どうやら何か厄介ごとらしい。ディランは白銀の目に無言でコクピットに向かう。

<ハッチを開かないつもりなら無理矢理にでも入るぞ>

「やれるものならやってみろ」

 白銀はそう言って通信を切りコクピットに向かった。

「だ、大丈夫なのか?」

「どうだかな。レーザーケーブルのレベル次第か」

 心配そうについてくるナナンに応えながら白銀は軽く舌打ちする。

「どうだ?」

 操縦席に座っているディランに訊ねる白銀。ディランは苦い顔をした。

「レーザーケーブルのレベルは20。ちょいと難しいな」

「! いいモノ持ってるって事か」

 ディスプレイに映し出された相手の灰色の船を眺めて再び喉の奥から舌打ちする。そしてレーザーの照準シートに乱暴に腰掛け目を閉じた。

「準備をしておけ」

 それを見たナナンがディランに指示する。

「……」

 眉間にしわを寄せ白銀は集中した。すると──

「! よし、飛ばすぞ!」

 固定されていたレーザーケーブルが消えディランはエンジン全開で飛ばした。

「!? なんだと!?」

 乗り込む準備をしていた男たちは一目散に離れていった船を呆然と見送った。


「はぁ~……」

「よくやった」

 疲れてシートに背中を預けている白銀にナナンがポンと肩を叩く。一同はリビングルームに集まり今回の件について話し合った。

「ルジラドリトアから全ては始まっているようだな」

 リャムカは腕を組んで壁にもたれかかり応える。

「戻ってみる?」

「……」

 ディランの提案に白銀は少し考え込んだ。

「でもさ」

 カーセドニック人のエイルクがそれに横やりを入れる。

「追いかけてきたって事はルジラドリトアにはそれが無かったって事なんじゃないの?」

「! なるほど」

 ナナンは納得するように口を開いた。

「追いかけてきたって事はこの船にそれがあるって事?」

「……」

 ディランの言葉にみんなは嫌な予感を浮かべつつ互いに顔を見合わせる。

「俺の船にあるとは限らないだろ。あの時、船は何隻もいた」

「じゃあ、奴らはその時にいた船を片っ端から強制捜索してるって事かい?」

「多分そうだろう。港にいた船のリストは隠すようなものじゃないからな、簡単に教えてもらえる」

「そうだよね。オイラたちが特別な人間なら秘密にしてくれるんだろうけど」

「とにかく、また奴らが襲ってくるとも限らない。警戒はしておこう」

 溜息混じりに白銀が言ってひとまず話し合いは終った。


「ホント、シルヴィといるとタイクツしないよねぇ」

 エンジンルームでエンジンの点検を行いながらディランはぼそりとつぶやいた。

 白銀とは幼なじみだが、彼が『エナジー・ブレイン』だと知ったのはつい最近の事だ。簡単に信じられるような事でもないし危険な事にも巻き込まれるかもしれない。

 という彼らしい気遣いだったのだろう。ディランは呑気で楽観的な性格だ。その事実を知っても大した驚きはなかった。

 どちらかといえば天使の子どもだった事の方が驚愕である。

 銀河連邦で運転手かデスクワークにいた時よりも、今は何倍も充実していた。彼は大型船舶免許も持っているのだ。白銀にとってはこのうえもなく助けになる親友である。

 その運転技術も素晴らしく、操縦を任せていられる程だ。

「異常な~し」

 と、目の前の大きなパイプをコン! と叩いた。

「……」

「……」

 そこにいた青年と目が合う。見慣れない顔だ。

「こんにちは」

「やあ」

 ディランはどう反応していいものか悩み挨拶が口を突いて出た。

 青年はそれに普通に挨拶を返すのだった……

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