3/6
痛女に運命なんてあるのか?
入学式の日、内部進学生なので案内図ももらわず、しかも一人で講堂にまっすぐ向かおうとしていたあたしに、一人の男子生徒が声をかけてきた。
「あ、あの、すいません」
「どうかしましたか?」
「講堂ってどこですか?」
私も行くんでついてきてください、と言ってその人の顔を見た。……彼らの顔のよさをいいとこ取りしたようなイケメンで、しかもどこか守りたくなるような華奢さである。声もきれい。……やばい、タイプだ。
「ありがとうございます。俺、B組なんで、何かあったらまた、声かけてください。」
講堂につくまで、ドキドキし続けてた。こんないい男、絶対神様が私にくれた、新しい私への運命だ!!
絶対、ものにする。
「あれ、沙耶じゃん。おっはー」
内部生の実花は、私の友人で別のお笑いのファン。一番の親友で、お互いのタイプも知っている。
「おす、実花」
「いい男見て、上の空だったでしょ!?わかるんだからね!」
悔しいが、はっきり言おう。これは、運命のせいだ、と。