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自由になりたい

作者: WAIai
掲載日:2026/09/10

「ー私、自由になりたい」

キャサリンはそう言うと、草原から立ち上がる。

側には湖があり、隣には幼なじみのフェルナンドが座っていた。

「自由? どういう意味?」

「どういう意味って、全てを捨てて、新しい人生を切り開くの」

鼻息荒くして言うキャサリンに対し、フェルナンドはふと笑う。

2人とも同い年で、ちょくちょく遊びに来る仲だった。

「無理だよ。僕達は操り人形なように、親に結婚相手を選ばれて、生活しているんだから。今の生活だって、親がいるからできるんだよ」

「そんなことは…!!」

「現実を見ろ、キャサリン。自由なんて無理だ」

「無理じゃないわ!! やればできるはずよ!!」

キャサリンは強気に言い返すと、髪を掴む。

何をするのかとフェルナンドが口を開けて見ていると、キャサリンは自分の髪を切ろうと、忍び込んでいたナイフを手に取る。

「なっ…!! 危ない」

フェルナンドは素早く気づき、キャサリンの手を掴む。

彼女はもちろん抵抗し、2人はもみ合いとなる。

「く、くそ!! 放せってば!!」

「嫌よ!! 私は自由になるの!!」

2人はせめぎ合っていたが、男のフェルナンドのほうが強いに決まっている。

ナイフを落とさせると、身体を旋回させ、ナイフを遠くへ飛ばす。

「ああ…。ナイフが!!」

「いいんだよ、これで。分かった?」

荒い息を吐きながら、フェルナンドが言うと、キャサリンは涙を零す。

しかしフェルナンドの言葉は冷たい。

「僕達が生活できているのは、民がいるからだ。その民を幸せにしないと、僕達は断首台に連れて行かれる。幸せと不幸せは、紙一重なんだよ。分かった?」

「…ううっ。だって、結婚だって自分の自由にならないし、日常生活だって見張られているようで、息がつまって」

「キャサリン…。それは僕も同じだよ」

フェルナンドは優しくキャサリンの手を包み込むと、力を加える。

「ー強く生きなければ駄目だよ、キャサリン。僕達はそのために英才教育を幼い頃から受けているんだから」

「フェルナンド…」

こくりと子どものようにうなずくと、キャサリンは更に涙を流す。

その涙は偽りのものではなく、幼い頃からフェルナンドだけが見られるものだった。

「大丈夫。僕がキャサリンをお嫁さんにしてあげる」

「フェルナンド…。でも、もう決まっているし」

「何とかするよ。僕の力でできる限りのことはする」

「…」

キャサリンは上目遣いで、フェルナンドを見る。

色白の顔は整っており、彼の家はキャサリンの家と同じで、地位も名誉もあるものだった。

「フェルナンドは婚約者は…?」

「いるよ、それは。でも何とかする」

「大丈夫なの? 私、その女らしくないかもよ?」

「そんなの小さい頃から知っているさ。カエルを捕まえたり、木に登ったりと、女とは思えないもの」

「きゃ!! 忘れてよ、その話」

2人は見つめ合うと、しがらみのないこの瞬間だけ、キスをする。

それからキャサリンはフェルナンドの肩に額を当てる。

「ねえ、フェルナンド。その、私、あなたに嫁ぎたいわ」

「ありがとう。…というか、初めからそうすれば良かったんだよ」

フェルナンドの言葉に、キャサリンも今更ながら気づく。あまり近くにい過ぎて、互いに気づかなかったのだ。

「…これからどうするつもり?」

「とりあえず親に言ってみる。キャサリンは?」

「私も親に言ってみる。ううん、そうしなくては駄目だわ!!」

キャサリンは強く言うと、フェルナンドの両手を左右に揺らし、一回転する。

「綺麗だよ、キャサリン」

「ありがとう、フェルナンド」

キャサリンは頬を紅潮させ、最高の笑顔を浮かべる。

一緒に泥遊びから、雪の中の遊びまで、よく知っているのは、フェルナンドだけだった。

ー何で今まで気づかなかったんだろう? ずっと側にいてくれたのに。

自分で馬鹿だなと思うと、キャサリンは湖に向かって吠える。

「私、絶対、幸せになってやるー!! もちろん自由も手にしてみせる!!」

「キャサリン…。自由なら僕があげるよ」

「ありがとう。でもまずは親と戦わないと。そのためには、作戦を練らないとね」

ウィンクするキャサリンは、もういつもの気の強いものとなっている。

フェルナンドは安心したのか、彼女の髪に触れる。

「ブロンドの髪、大事にしなよ。太陽の輝かしい色のように、鮮やかなんだから」

「うん!! ごめんね、フェルナンド。…あー、すっきりした」

キャサリンは伸びをすると、フェルナンドに軽くキスをする。

フェルナンドも快く受け入れてくれ、2人の影はしばらく動かなかった。


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