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第5話:崩壊する平穏

王都ガラルディアに凱旋した『黄金の夜明け』の7人は、国王から山のような報奨金を受け取った。彼らは「無能な荷物持ちの犠牲」を美談に仕立て上げ、その金で贅の限りを尽くすと、それぞれの欲望を満たすべく別々の街へと散っていった。

だが、王女シオンだけは、あのダンジョンの入り口で視た**「白髪の死神」**の残像が脳裏から離れない。


「……あの方が、あんなもので終わるはずがないわ」


シオンは恐怖に突き動かされ、父王に懇願して王国最強と謳われる近衛騎士団長、聖拳のマルクスを直属の護衛に付けさせた。マルクスは一撃で城壁を粉砕する「剛拳」の持ち主。彼がいれば、例えレンが魔物と化して戻ってこようと、捻り潰せると信じたのだ。

その夜。王城のシオンの私室。

窓の外には、静まり返った王都の夜景が広がっていた。

「シオン様、ご安心を。このマルクスがいる限り、いかなる不届き者もこの部屋の敷居を跨がせはしません」

鎧を鳴らし、自信に満ちた笑みを浮かべるマルクス。

だがその瞬間、部屋のキャンドルの火がすべて、物理的な重圧によって押し潰されるように消えた。


「……誰だ!?」


マルクスが腰の剣を引き抜こうとしたが、遅い。

暗闇の中から、一歩、重厚な足音が響く。


「……ふぅ。最強の騎士、ね。俺を殺したガイルたちよりは、少しは骨がありそうだ」


月光が差し込む窓辺に、純白の髪をなびかせたレンが立っていた。

以前の弱々しさは微塵もない。その紅い瞳に見つめられただけで、マルクスは心臓を直接握られたような圧迫感に襲われた。


「貴様が……九条蓮か! 賊が、死ねッ!!」


マルクスが音速を超える踏み込みで拳を放つ。その拳圧だけで空気が弾け、並の魔物なら肉片も残らない一撃。

だが、レンは避けることすらしなかった。


「『十倍じゅうばい』」


ドォォォォォンッ!!!


「が、はっ……!?」


マルクスの拳がレンに届く直前、彼の腕に数トンの重力が垂直に叩きつけられた。

バキバキバキッ! という、生々しい骨折音が静かな寝室に響き渡る。マルクスの右腕は、自分の重みに耐えきれず、肘から先が逆方向に折れ曲がり、皮膚を突き破って白い骨が露出した。


「ぐ、あああああああぁぁぁ!!!」


「最強の騎士がその程度か? 期待外れだな」


レンが指をスッと下に向ける。


「『重圧プレッシャー』」


マルクスは床に叩きつけられ、まるで透明な巨人に踏みつけられているかのように、全身の骨がミシミシと悲鳴を上げる。鎧はひしゃげ、肉に食い込み、溢れ出した血が絨毯を黒く染めていく。


「……あ、が、あ……っ」


「いい悲鳴だ。お前が守ろうとしているこの女の前で、もっと無様に潰れてみせろよ」


レンは嘲笑いながら、マルクスの頭部を自らの靴で踏みにじった。

ミリ、ミリ……。

超重力によってマルクスの眼球が内側からの圧力で弾け飛び、頭蓋骨が歪んでいく。王国の誇りだった男が、レンの足元でただの「壊れゆく肉の塊」へと成り下がっていく。

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