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【番外編】 新婚の私と、クリス様との初夜事情①

大事な伏線を回収するお話しなんですが、本編で入れると収まりが悪かったので、番外編といたしました。

新婚時代の初夜がらみのお話ですが、R18ではありません(´∀`*)


 クリス様との結婚はかつてのハリー様の結婚式をなぞらえるようだった……


 なんて言いたかったが、全く違うものだった。



 まずは結婚したのは、婚約を結んでから1年後で、式は敷地内の教会ではなく、王都の中央にあるアルムデェリナ大聖堂だった。ここは王族も挙式をあげる由緒ある教会で、最上階の尖塔には鐘もあり、結婚式が終わった瞬間、高らかにその音が王都中に響き渡った。

 ウエディングドレスはオーダーメイドで、ちゃんと採寸、仮縫いまでしたものだから、身体にぴったり。


 そして控室に迎えにきてくれたのはクリス様ではなく、義父になったドリトス侯爵様だった。


「あぁ、私の娘はなんて美しいんだろう!」


 そう感嘆の言葉を下さる義父様は、元老公爵の従弟で55歳になられる方で、少しふくよか? ぽっちゃり? な紳士だ。唯一のお子様であるお嬢様は外国の王族に嫁いでしまい、中々お会いできないそうだ。


「嫁にやるのは惜しいなぁ~あと一年、結婚を伸ばさない?」


 そう茶目っ気たっぷりにおっしゃりながら、エスコートの腕を差し出して下さる。

 その手に捕まりながら長い廊下を移動し、ともに教会の入口に立つ。


「クリスはねぇ~とても苦労した子なんだ。ハワード子爵家の後継者だったのに、12歳で親から引き離されて、ハリーの子守係。学園でもずーっとハリーの尻ぬぐいばっかりさせられてさ……多少性格がゆがんでも仕方ないよね?」


 パチリとウインクされた。


「うちは男の子どもがいないでしょ? だからクリスを養子にしようとしたのに、あまりに優秀だから、キャンベル家に取り込まれちゃってさ……可哀想なことをした」


 クリス様と結婚するのに、平民になった私をドリトス侯爵様は養女にして下さった。私とクリス様に長男が生まれたらキャンベル公爵家の後継者となるが、次男はドリトス侯爵家を継ぐ約束である。


 教会への扉が開き、ステンドグラスの光に身体が包まれる。


「だからさ。あの子を幸せにしてやって」


 そう言われて小さくうなづき、二人で一歩を踏み出した。




 キャンベル家の屋敷に戻って行われた披露宴も終わり、夫婦の寝室にクリス様と共に戻ってきた。


 以前はジェニー嬢の好みでピンクで染められたこの部屋も、今は落ち着いたダークブルーとブラウンで統一されている。家具や調度品には大きな変化はないが、天蓋から垂れるカーテンは繊細な白いレースのものに変わった。


 クリス様の妻になったのだ。

 今度はお飾りではない……ならば、妻の義務がある。

 メイドの手を借りて、身を清めた私はガチガチに緊張していた。


 ベッドに寝転ぶ私にクリス様が覆いかぶさる。



 これはクリス様。

 私を殴らないクリス様。

 私の夫のクリス様。


 そう呪文を唱えるけれど、身体を言うことをきかない。ガクガクと震え、硬直する。


「オリヴィア嬢……オリヴィア、落ちついて」


 ひゅ、ひゅ、と喉が震え、心臓が壊れたかのようにバクバクと跳ねる。


「ゆっくり息をして下さいオリヴィア。何もしませんから。大丈夫。大丈夫」


 ひゅ、ひゅ、ひゅ、ひゅう、ひゅー……


「そうです。ゆっくり、ゆっくり」


 息は少しずつ吸えるようになったけれど、身体の震えは収まらない。


「何もしませんから安心して下さい」


 それは、だめだ! 閨は妻の義務で、必ずしなければいけないこと!


「……一緒にベッドで寝るだけです。それも無理そうですか?」


 ぶんぶんと大きく首を横に振る。


「だ……だめ…しないと…」


 しないと私は貴方の妻になれない!


「無理はしないで下さい。私は貴女と結婚できただけで嬉しいんですよ? 焦らなくてもいいんです」


「ほ…本当に…?」


「はい。これからは時間がいくらでもあるんです。私たちのペースで夫婦になればいいんです」


「は…い」


「さぁ、もう寝ましょう。今日は疲れたでしょう?」


 そう言いながらクリス様は隣に寝転がる。

 しばらくして、すーすーと寝息が聞こえてきた。

 私たちのペースで、いいのね? 


 は~落ち着いてきた。


 誰かと一緒のベッドに寝るなんて初めてで、何だかくすぐったい気分。


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