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42 アースキン伯爵令嬢、ミュリエルの過去②

 発表会の当日になったけれど、怖くて仕方ない。


 だってまだ何度も弾き間違うのよ! 絶対失敗する! 行きたくない!


「そんな訳にはいかないでしょう! 王女様も演奏されるから、国王陛下、王妃様もご臨席されるのよ! プログラムに名前があるんだから取りやめなんてできないわ!」


 そう言ってお母さまとお父さまは、無理やりドレスに着替えさせようとするけど、絶対いや!

 だから、無理を承知で言ってやったの! 


「あの子に行かせたらいいじゃない! 先生のお気に入りだし、わたしが弾く『春の庭』を完璧に弾けるもの!」


 それをまさかお母さまが実行し、嘘に嘘を重ねて……将来こんなおおごとになるなんて、思いもしなかった。




 発表会のあと、私にたくさんの釣書がきて、お母さまは大喜びしていたけれど、あれは私が弾いたんじゃないんだから、どうしたらいいの?

 そうしたら、お母さまはオリヴィアを替え玉にして。私をピアニストとしてデビューさせると言い出した。


「ミュリエルをピアニストとして売り出しましょう。芸術に傾倒している高位貴族は多いとは思っていたけど、この釣書の量! 予想外よ。このまま名をあげれば、侯爵や公爵家、王族との結婚だって夢じゃないわ!」


 でも結婚したらオリヴィアと離れちゃうのよね?


「ふふっ婚約が調ったら、指をケガしたから弾けなくなったとでも言えばいいじゃない。その頃にはミュリエルの人となりを知ってピアノが弾けない位、何とも思わなくなっているわ」


 そうね、それなら大丈夫かな……素敵! 王族と結婚できるかもしれないなんて夢みたい!




 そうやってオリヴィアを替え玉にコンサートを開くようになった。


 案の定、大評判で連日満席、釣書も増える一方! 

 夜会やお茶会の招待状は引きも切らないし、この前は王妃様のお茶会にも呼ばれたのよ、凄いでしょう?



 そして17歳のある日、とうとう筆頭公爵キャンベル家の次期公爵、ハリー様から釣書が届いた。

 お母さまは「ついにやったわ!」って大喜びだし、私も公爵夫人……王族に次ぐ、貴族の最高位の女性になれるなんて夢みたいって思ったわ。学園で偉そうにしてた侯爵令嬢たちに頭を下げさせることができるなんて最高!


 ところが、その釣書の内容をよく読めば、宛名は私ではなくオリヴィアだった。

 どうして平民メイドへの求婚に、うちに釣書が送られてくるの? 

 そうお母さまに尋ねると、気まずそうに口を閉ざすの。




 そうしていると、一人の紳士が我が家に訪ねてきた。


 彼はハワード子爵令息クリス様で、次期公爵ハリー様の側近らしい。

 黒髪で長身のとても素敵な男性で、こんな方を側近にできる公爵家はさすがだわ~って感心したわ。



 クリス様と両親は何やら話し合っていたけれど、その後は二人共すごーく不機嫌で、せっかくのディナーも不味くなったわ。


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