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20 お飾り妻の私と、ハリー様の最愛の恋人

「お待たせ。僕の小鳥ちゃん」

 そう言いながらハリー様も強く抱きしめ返す。


「こんな女と結婚するなんて……ハリーは私のものなのにひどいよぉ~」


 瞳は青空を思わせるターコイズブルー。小柄な彼女は不満げにピンクの頬を膨らます。


「ごめん。ごめん。欲しがってたあの指輪買ってあげるから、機嫌直してよ」


「ほんと? うれしぃ~! ハリー大好き!」


 彼女はハリー様の顔にキスの雨を降らし、それはすぐに唇同士となり、そのまま深いものへと変わっていく。


「ハリー様。まずはご説明を……」

 そこでクリス様が声をかける。


 ハリー様はキスをやめ、面倒くさそうに私を見やり、彼女を抱きしめたまま口を開いた。


「この子は僕の最愛、ジェニー。この子がいるからお前を愛することはないし、閨をするつもりもない。お前はお飾りの妻だ」


 ジェニー嬢は大きな胸を張り出し、勝ち誇った笑みで私を見つめる。


「本当はジェニーを妻にしたいんだけど、彼女は平民だから父上が認めてくれないんだ。それに、貴族の女と結婚しなけりゃ爵位を譲らないなんてほざくんだよ。ホント頭の固いジジィだよ! だから、お前をお飾りの妻に迎えたってわけ。血筋的には立派な貴族令嬢だったから、父上も納得したみたいだし……オフィーリアもあの家から逃げたかっただろうから、悪い話じゃないだろう?」


 ハリー様のその声は明るく、楽しそうに響く。


「父上に告げ口なんてするなよ? そんな事をしたら、伯爵家に返すからな!」


 この不可解な結婚の疑問が解けて、むしろすっきりした。


「という事で夫婦の寝室(ここ)も、公爵夫人の部屋も、ジェニーの部屋だったんだから、オフィーリアは別の部屋に移ってよ。クリス案内してやって」


 このピンクの少女のようなインテリアは、ジェニー嬢の好みなのか。


「……分かりました。ですがこの方はオフィーリア様ではありません。オリヴィア様です。お間違えのなきよう」


 公爵夫妻の部屋は屋敷の最上階、4階の中央にあり、私は同じ4階の北の端の部屋に案内された。


「ここは元々ハリー様の部屋で、御父上である公爵様がこのお屋敷おられた頃は、ここでお暮しでした。男性好みの設えですので、模様替えはご希望通りいたします」


 モスグリーンとブラウンで統一された壁紙とカーテン。備え付けられた家具は元次期公爵の部屋とあって、高級マホガニーの存在感あるもの。全体的に直線的なデザインが多く、シンプルなインテリアでまとめられていた。


「いえ。このままで結構です」


 あのピンクの部屋より、よほど落ち着く。


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