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16 少女の私と、信じられない婚約ばなし

 ある日、父であるアースキン伯爵に執務室に呼ばれた。

 執務室には父の他にマティルダ様とミュリエル様、そして中年の男性がいた。


「私はアースキン伯爵家の顧問弁護士を務めるジョンソンです。初めましてオリヴィアお嬢様」


『お嬢様』呼びにびっくりして、思わず父を見る。

 父は苦虫を潰したような表情で、マティルダ様は私を睨みつけ身体を震わせている。ミュリエル様は顔を覆い、泣いているようだ。


「お前がわたくしの姉ですって!? 許せないわ!」

 ミュリエル様が嗚咽をこらえ、叫んでくる。


 あぁ、私が父の子だと知らなかったのだと再び父を見るが、目を合わせない。


 こほんとジョンソンさんが咳払いをし

「この度、オリヴィア様は正式にアースキン伯爵家のご令嬢として、認められる事となりました。庶子とはいえ、お母さまは元男爵令嬢。血筋から見ても立派な貴族のご令嬢です。これがそれを承認する書類です」

 そう言いながら、1枚目の紙を私に差し出してくる。


「そして、こちらがキャンベル公爵令息ハリー様との婚約届です」


 婚約? ハリー様って誰?


「ハリー様がオリヴィア様をお見初めになり、是非妻にしたいと仰っておられます。

 ハリー様は次期公爵として大変有能な方で、ご容姿も素晴らしく、社交界では有名な貴公子です。その方がこうやって貴女様の貴族令嬢として出自を整えて下さり、明日にでも公爵家お越し頂きたいと仰っておられます。

 高位貴族の方にこんなに願われるなんて、これ以上のご縁はないかと思います」


 もう一度父を見るが、面倒くさそうに「サインをしろ」と顎で示してくる。


「公爵家にはウォルドグレイヴのピアノがあるそうですよ。それを自由に弾いていいそうです」


 ウォルドグレイヴ! 音楽書にあったビアノの名工の名で、小さな屋敷が一軒が建つほどの最高級ピアノだと書いてあった。いったいどんな音色を奏でるのだろう。


「うーん。あまり興味がありませんか?」


 興味なら充分ある! でも顔の筋肉が動かないだけ。


 そして公爵家に行けば、色んな男の人の相手をしなくてすむのかな?

 でも夫になる人とは、そういう事を最後までしなくちゃいけないのよね。


 マティルダ様を見ると、ギリギリと私を睨みつけている。

 このままここにいたら殺されるのかな? 

 まあ別にどうでもいいけど。


 そう思いぼんやりしていると、ジョンソンさんが私にサインを求めてくる。


 貴族令嬢として認める書類にはすでに父であるアースキン伯爵のサインがあり、婚約の書類にはすでにハリー様のサインがしてあった。

 私もサインすると「早急に処理をいたしますので私はこれで」とジョンソンさんは足早に退出していった。


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