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13 アースキン伯爵夫人、マティルダの過去

 私はアースキン伯爵家の唯一の嫡女だった。

 この国では女が爵位を継ぐことができない。だから、私は婿養子を取る必要があった。

 私にはたくさんの釣書が送られ、色々な出会いもあったが、選んだのはアースキン伯爵家の家臣にあたる家、ケッペル男爵家の三男フレデリックだった。


 身長は高く、金髪に紫の瞳、まさに王子様のような容姿で、私に甘い父の一声で婚約は調った。

 フレデリックには幼少からの婚約者がいたらしいが、それが同じくうちの家臣筋に当たるリッチ男爵家の娘で、銀髪にブルーアイズ、社交界でも評判の美少女だった。

 二人の仲は良好で仲睦まじかったそうだが、主家であるアースキン伯爵家からの婚姻の打診を断れなかったのか、はたまた男爵家の三男坊が伯爵家当主になれる僥倖に目がくらんだのかは分からない。

 その後、滞りなく婚約は結ばれ、1年後フレデリックと私は結婚した。



 次の私の義務は子を産むこと。

 だが3年たっても中々恵まれず、辛い思いをしていた頃に知ったのが、フレデリックの婚約者だったシャーリィの妊娠だ。

 彼女は結婚していない、そして父親は……なんとフレデリックだった。


 フレデリックの父であるケッペル男爵と、シャーリィの父であるリッチ男爵は床に頭をこすりつけて謝罪した。


 このスキャンダルはまだ表には出ていない。

 なら私がする事はひとつ。


 だってこの話し合いの時には、私も妊娠していたから。



「シャーリィ嬢の貴族籍をはく奪し平民となさい。主家の主人と関係をもったのです、彼女への援助は一切許しませんし、生まれた子は一切伯爵家とは無関係、それが罰です。そうすれば両家を咎めません」


 ケッペル男爵は、すぐさま身重のシャーリィを市井に放り出した。


 その後、娼婦になったと聞いて笑いが止まらなかった。

 フレデリックも必死に謝ってきたし、離婚なんてそんな不名誉な事は出来ないから、表面上は元の状態に収まった。


 その後、私が産んだのは女の子でミュリエルと名付けた。

 男ではないのが不満だったが、ミュリエルは髪や瞳こそ私と同じ平凡なブラウンだったが、顔立ちはフレデリックに似て中々の美少女で、それはそれで満足だった。

 次は男の子だと努力するが、もう30歳になるのに全く恵まれない。辛い思いをしている中、フレデリックがシャーリィの子を、この屋敷で匿っていることを知った。


 シャーリィは死んでしまったらしいが、その子は女でシャーリィそっくりな美貌に銀髪、そしてフレデリックの紫の瞳を持っていた。

 あぁその顔を見るだけで、シャーリィの亡霊がまとわりついてくるようで、不快で堪らない!


 だからその子を私付きのメイドにし、こき使い、ののしり、殴り、ストレスのはけ口にしてやった。

 だが、王家にも認められたピアノ教師のクレバー夫人によると、この子は天才的なピアノの才能をもっていると言う。


 いつまで私を苦しめれば気がすむの!? 


 ミュリエルもあの子のせいで、好きだったピアノを辞めたいと言っている。

 フレデリックとの仲が微妙になったのも、このオリヴィアが産まれたせい! 



 許せない! 

 絶対幸せな人生なんて送らせてやらない! 


 絶対に! 

 絶対に!


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