表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/25

涙の告白、私は皇女

「亜里沙さんさえよければ、電話は今からでも大丈夫ですよ。番号を教えてくれたら、僕から電話します。亜里沙さんが僕の名前を呼ぶ声が聞きたいです。」


亜里沙は、画面に映る「誠太郎」という文字をじっと見つめた。今まで「日比谷さん」としか呼んでいなかった相手の名前を、初めて意識した。


亜里沙:「誠太郎さん」とだけ、メッセージを送る

送ったメッセージは、いつもよりずっと柔らかい響きを持っていた。


誠太郎:「嬉しいです☺️生きてて良かった。あの、僕は欲張りです。もっと亜里沙さんに近づきたいです。また亜里沙さんの声が聞きたいです。これから、ちょっとだけでも、亜里沙さんの声が聞きたいです。今から、電話をかけてもいいですか?」


亜里沙はお話したいことがあるとはいったものの、これからになるとは思ってもいなかった。でも。私が彼の電話番号を知っていれば、あのコンシェルジュの策略にはまることもなかったかもしれない。

亜里沙:「では、15分後に電話をかけてもらえますか?番号は090-xxxx-xxxx」

誠太郎:「分かりました。では、後程」


ぴたり15分後、着信があった。


誠太郎 「もしもし」

亜里沙 「…こんばんは」

誠太郎 「こんばんは」

亜里沙 「体調はいかがですか?」

誠太郎 熱が下がって、すっかり元気になりました!僕にとって、最高の品をありがとうございました

亜里沙 「??参考までに、私の差し入れのどれが良かったですか?」

誠太郎 ハンカチです

亜里沙 ホットレモンドリンクを包んでいた、あれですか?

誠太郎 そうです。亜里沙さんのにおいがして、すぐに分かりました。お陰様でとっても幸せな気分になりました。

亜里沙 私ってそんなににおいますか?

誠太郎 亜里沙さんに限ったことではなく、人は誰でも、その人特有のにおいがありまして。僕は亜里沙さんのにおいが好きです。亜里沙さんじゃないと、ダメなんです。だから、ハンカチ、嬉しかったです。


良く分からないが、彼の役に立ったことは素直に喜んでおく。


亜里沙 「ふふっ誠太郎さん、においフェチですね?」

誠太郎 「亜里沙さんじゃなきゃダメだから、亜里沙さんのにおいフェチです。他の人じゃ絶対にダメです。」


亜里沙は、嬉しくて、思わず笑みがこぼれた。


誠太郎 あの、僕は今日、電話でお話ししたかったことがあって。僕、仕事がひと段落着きそうなんです。それで、2回目のデート、今度の土曜日の夜、お誘いしても良いですか?


亜里沙 ちょっと待ってください。土曜日?

誠太郎 はい。決め打ちですみません。またメッセージ送るので、返事は後からでも大丈夫です。

亜里沙 行き先は?

誠太郎 車でお迎えに行こうと思ってます。ドライブでお連れしたい所がありまして!

亜里沙 お迎えだなんて。私が帝国ホテルまで行くのはどうでしょう?

誠太郎 それでも大丈夫です。それで、次のデートでは、においフェチな僕のことをもっと知って欲しいし、亜里沙さんのことも、もっと知りたいなって思います。


亜里沙は、本当の自分を伝えたら、この関係が壊れてしまうかもしれない。

そう思うと、急に言葉が出なくなった。


誠太郎 亜里沙さん?



誠太郎 あの、すみません。差し支えない範囲で大丈夫です。


亜里沙は、意を決したように、震える声で言った。


亜里沙 「私は、あなたに伝えなければならないことがあります…。」


誠太郎 「僕は亜里沙さんが悲しいことは絶対に嫌です。言いたくないことは、言わなくても良いです。」

亜里沙 「…知ったら、もう私のことを嫌いになるかもしれません。ごめんなさい。」

誠太郎 「僕は、あなたが許してくれる限り、ずっとずっと大好きです。2回目のデート、空が晴れるのを祈っていてください。お会いできるのを楽しみにしています。」

亜里沙は、優しい誠太郎の言葉を聞いて、堰を切ったように泣いてしまった。皇女として、普段は感情を見せない亜里沙だが、今日は違った。誠太郎に対する恋心を自覚したことによって様々な感情が溢れ出し、言葉にならない。

誠太郎の優しさが、胸に染み渡る。でも、同時に、自分の立場が、彼との間に大きな壁を作っていることを痛感する。前に進みたいけど、進むのは恐い。どうしたらいいのか、さっぱり分からない。こんなぐちゃぐちゃな気持ちは初めてだ。


誠太郎は、亜里沙が落ち着いてくるのを、じっと待った。そして、落ち着いてきたのを感じて、優しく語りかけた。

「僕、もうお風呂に入って、薬飲んで、歯磨きして、いつでも寝れる状態でベッドに横になってます。枕元には、亜里沙さんのハンカチもあります。で、今日はこの電話が終わったら、寝る予定です。で、寝るときは、亜里沙さんが僕のこと、誠太郎って初めて呼んでくれたことを思い出しながら寝るんです。」

亜里沙。。。

誠太郎 「僕のこと、誠太郎って名前、呼んで欲しいです。良かったら、呼び捨てで」

亜里沙 「……誠太郎……」

誠太郎 「ふふふ。嬉しいです。次のデートでは、誠太郎っていっぱい呼んで欲しいです。」

亜里沙 「取り乱してすみません。私のことも、亜里沙って呼んでください。」


ようやく落ち着きを取り戻した亜里沙。誠太郎の優しさに触れ、心が少し軽くなった気がした。

それでも、明かさなければならない秘密が、重くのしかかっている。


時刻は0:30。二人はお休みを言って電話を切った。


亜里沙は、スマホを握りしめたまま、眠りについた。久しぶりの、深い眠りだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ