【誠太郎視点】彼女の名前は
亜里沙…なんて素敵な名前だろう。
彼女は僕に消化に良いものを勧めてくれた。
僕だけに向けられた優しさに心が躍る。
僕は素直にアドバイスに従おうと、買い物に出かけた。
買い物を終え、食事の写真を送ると、「良かったです」という短い返信が来た。予想はしていたけど、その後、連絡は途絶えた。
少し寂しい気持ちもあったが、それでも嬉しかった。
昨日までは名前も連絡先も知らなかった彼女と、こうして繋がることができた。僕のインスタを見て、DMを送ってくれた。
僕にはそれだけで十分だった。
彼女とのやり取りを何度も見返して、にやにやする。
その後も、僕は毎日欠かさず彼女にDMを送り続けた。
返信はない。
それでも、僕は彼女にメッセージを送る。
僕の日常、鉱石の話、そして、彼女への想いを、丁寧に綴った。
返事はないけど、毎日、律儀に既読がつく。
ブロックはされていないし、未読無視でもない。
僕の想いが、僕の言葉が、彼女の目に触れている。
それだけで、僕にとってはそれだけで濃密なコミュニケーションだった。
武藤氏とは毎晩連絡を取り合っている。
東京での個展が来月末に開催できそうで、4週間後に東京に行く必要があることを告げられた。
僕はその晩にチケットを予約し、次の日の朝に亜里沙さんにメッセージを送る。
これは僕と彼女の関係を深めるビッグチャンスだ。
彼女が来てくれるかは分からない。
もし来てくれたら、何を話そうか。
僕は期待と不安を胸に、一心不乱に個展の準備を進める。
あっという間に時が経ち、僕は明日東京に行く。日本への荷物の発送は武藤氏が手配してくれた。
日本側スタッフともオンラインで連携は取っていて、コミュニケーションもばっちりだ。個展は一週間後の開催だ。
彼女が見に来てくれるように、個展に仕掛けもいれている。
僕は、すっかり日課になってしまった彼女へのDMを今日も送った。




