皇女の壁崩落
(誠太郎のストーリー) (誠太郎が描いた、亜里沙がパーティーで着ていた赤いドレスの絵を持っている写真) 「ハンガーストライキ三日目…#ハンガーストライキ #限界 #助けて #DMください 」
まさか本当に三日も続けるとは思っていなかった。写真の誠太郎は、少しやつれたように見える。
亜里沙は、胸がざわめいた。彼の突拍子もない行動が、深く突き刺さる。
誠太郎のフォロワーも騒ぎ始め、彼の投稿は拡散され始めていた。
「誠太郎さん、大丈夫!?」
「一体何があったの?」
「ハンガーストライキって…うそでしょ?」
「誠太郎の探し人、早くDMを送ってあげて!」
「こんなに一途な人、他にいないよ!」
「#誠太郎のハンガーストライキを止めよう」
「#早くDMを」
亜里沙は、画面を食い入るように見つめた。
心配や応援の言葉に混じって、面白半分に囃し立てるようなコメントや、心無い言葉もある。
嘘であればいいのだが、もし嘘でなかったら…。
亜里沙は完全に追い詰められた。
誠太郎の行動力と、諦めの悪さは痛いほど理解した。
そして、自分のせいで彼が体調を崩しかねないという事実に、心を痛めていた。
彼女の視線は、自然と、手元のアズライトマラカイトに向かった。深い青と鮮やかな緑が織りなす模様は、静かに、しかし力強く輝いていた。
そして、誠太郎の言葉を思い出す。「アズライトマラカイトは、内なる変化を手助けをしてくれると言われています。」
「新しい自分なんて、良くわからないけど、今は彼の健康が第一優先」
決心した亜里沙は、DMを送ることを決め、メッセージを入れた。
「早く食事を取ってください。」
送信ボタンを押した後も、亜里沙の心は落ち着かなかった。
一刻も早くハンガーストライキなんて無茶をやめてもらわないといけない。
すぐに既読が付いた。3分後、誠太郎から返信が来た。
誠太郎:「連絡ありがとうございます。すごく嬉しいです。Aris.さん、お名前の漢字を教えてください」
思わぬ返事に戸惑う亜里沙。
名前、教えるべきだろうか…
でも今は、自分の立場や周囲の目を気にしている場合ではない。
彼の健康を確保しなければならない。
「私の名前は亜里沙です。早く食事をしてください。」
誠太郎は画面に表示された「Aris.」の文字を見た瞬間、急いでスマホを開く。
「亜里沙さん、素敵な名前ですね。改めまして、僕の名前は、誠太郎です。三日ぶりに亜里沙さんと繋がることができて、本当に嬉しいです。僕は今から何を食べたらいいと思いますか?」
亜里沙:「ヨーグルトやバナナなど、消化に良いものを。最初は少量から慣らしてください」
亜里沙は素っ気ないながらも、的確な返事を返した。昨日絶食について調べた甲斐があった。
誠太郎:「親切にありがとうございます。僕のためのアドバイス、とても嬉しいです。それでは、買い物に行ってきます。」
すぐに誠太郎からの返信が途絶えた。買い物に行ったのだろう。
私は、スマホを握りしめたまま、ソファーに深く腰掛けた。
彼とのメッセージを何度も読み返す。たわいもないやり取りが続いたことに、亜里沙は困惑している。
この状況をどう受け止めればいいのか分からない。
でも、決して嫌じゃないことだけは確かだった。
15分後 誠太郎は買ってきた物の写真が届く。
亜里沙は誠太郎が買った食事の写真に「良かったです」とだけ返事し、それ以後、誠太郎に返事をすることはしなかった。
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