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皇女は国民の安寧と国の繁栄を祈る

初めての投稿です!皆様のご意見を頂きながら、レベルアップさせていくので、忌憚のないご意見もらえると嬉しいです。結構書き溜めてはいるので、毎日ペースでの投稿を目指しています。


アズライトはこんな石です

https://akashic-tree.jp/online-shop/2018/02/azuritegeode.html


国民の安寧と、国の繁栄を祈る。それが、私たち皇族の務め。

私たちは国民の象徴として、人々の幸せを願い続けてきた。

春の穏やかな日差しも、秋の豊穣の実りも、全ては国民の幸せへと繋がるようにと。

幼い頃から、そう教えられてきた。

私も、皆の幸せを心から願っている。


「けれど。私の幸せは、誰が願ってくれるのだろうか……。」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


シャンデリアの眩い光が、磨き上げられた大理石の床に反射し、歴史を刻んだ重厚な内装を一層際立たせている。

高い天井からは、クリスタルの雫が煌めき、微かに熱を帯びた空気が肌を撫でる。

国内外から集まった名士たちのざわめきと、グラスが触れ合う音、そして控えめなジャズの旋律が混ざり合い、独特の熱気を帯びた空間を作り出していた。甘く華やかな香水の匂いが鼻腔をくすぐる。


亜里沙は、その場に足を踏み入れた瞬間から、周囲の視線を一身に集めていた。

纏っているのは、深紅のイブニングドレス。 上質な生地は、彼女の白い肌とのコントラストを生み出し、息を呑むほど美しい。 彼女の優雅な立ち姿を一層際立たせていた。


「今夜はひときわ輝いていらっしゃいますね」

「そのドレス、情熱的でとてもお似合いです」


次々と寄せられる賛辞は、華やかな音楽のBGMのように、ただ亜里沙の耳を通り過ぎていく。

心に響くものは何もない。


息苦しさを感じ、無意識に視線を彷徨わせた時、

ふと、壇上の一角に置かれたチャリティーオークションの展示ケースに目が留まった。

その深い青色の鉱石は、この煌びやかな会場の中で、ただ一つ、無垢な輝きを放っていた。


ケースの横には、小さな説明書きが添えられている。


『アズライト:藍銅鉱。銅を含むことで生まれる深く鮮やかな青色は、古来より顔料として珍重されてきました。古代エジプトやギリシャでは、この石は神聖視され、神託や儀式に用いられたと伝えられています。また、真実を見抜く力、潜在能力の開花、抑圧された感情を解放し、自己表現を促す力を持つと信じられ、多くの人々を魅了してきました。』


亜里沙は、説明書きを静かに見つめた。


「抑圧された感情を解放」という言葉に、視線を落とす。

普段、決して表に出すことのない、心の奥底に押し込めている感情。


それは、王女という立場、周囲の期待、そして何よりも、自分自身に課した制約によって、蓋をされたままになっている感情だった。


ケースの中のアズライトは、濃い群青色から、澄んだ空のような水色まで、様々な青が複雑に絡み合い、一つの塊を成している。


光の加減によって、その表情は刻々と変化し、まるで生きているかのように、見る者を飽きさせない。


星空が閉じ込められているかのようだった。無数の星々が、それぞれの光を放ちながら、一つの宇宙を形作っている。


亜里沙は、その複雑な青に見入った。

それは、無限の可能性を秘めた、神秘的な世界だった。亜里沙は、その星空のような青を見つめながら、小さく祈った。


『アズライト、私の幸せを、あなたに願ってもいい?』


アズライトが放つ、力強いエネルギーを感じた。

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