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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

小説

押すだけで死ぬスイッチ

作者: ちりあくた

 僕の通学路は非常に明快だ。マンションを出て右へ折れれば、すぐ大通りに出る。ビルの壁に朝の風が流れ、通勤ラッシュの足音がざわめきとなって跳ね返ってくる。そこから五分ほど歩けば、左手に新築の校舎が姿を現す。


 高校の友人たちは口を揃え、「近くて羨ましい」とぼやくのだった。確かに、我ながら恵まれた環境にいることは感じている。けれど、ある時期まで、この道のりは僕にとって恐怖そのものだった。


 きっかけは高校一年の春に起きた出来事だ。おろしたてのブレザーに袖を通した僕は、覚えるまでもないこの道のりを悠々と歩んでいた。登校にかかる時間が短いということは、すなわち朝の準備に余裕が生まれるのだ。周りの眠たげな学生たちが髪を整え、トーストにむしゃぶりつく時間を、僕はのんびり眠って過ごすことができる。


 しかし、そんな余裕は一瞬にして消えることとなる。


 通りを歩き始めて三分ほどしたとき、突然、目の前で鈍い音が鳴り響いた。ぼんやりと入部先について考えていた僕は、「鳩の糞か」なんて冗談みたいな可能性を思案した。今思うと、一種の現実逃避だったのかもしれない。数秒して僕は、顔面に張り付く生温かい物質の存在に気付いた。ふと、それを人差し指で触れ、顔の前へ運んでやると、指先が紅く染まっているのが見て取れた。その瞬間に僕は初めて、目の前に人が落ちてきたのだと認識した。一瞬にして全身の力が抜け、気付けば僕は、死体を前にしてへたり込んでいた。


 その後の記憶は曖昧である。後方にいたサラリーマンが救急車を呼び、その人やら救急隊の人やらに声をかけられ、それで……なんやかんやあって、元の生活のレールへと戻ってきた。


 しかし、あの出来事による傷跡は深く残っていた。あの通学路が、深く暗い谷底のようにしか思えなくなってしまったのだ。左右の崖からいつ何が落ちてくるか、僕はびくびく怯えながら歩かざるを得なくなってしまった。五分程度の登校時間が、無限に続くかのような地獄と化したのである。


 そんな状況は幸運なことに、最近解消されつつあった。幸運と言ってもそれは主観的な感情である。社会全体への影響を考えれば絶対にマイナスだろうし、僕のような特殊な状態にある者だからこそ持てる感想だと思う。


 結論から言うと、「押すだけで死ぬスイッチ」が普及してしまったのである。


 だから人々が自死するにあたって、ビルやホームから飛び降りたり、練炭や縄を取り寄せる必要はなくなったのだ。そのおかげで僕は、横のビルから人が落ちてくる可能性を考えずに済むようになった、というわけだ。もちろん、そんな物騒な代物が合法的に配布されているわけじゃない。安楽死を合法化するか否かの議論だって始まったばかりなのだ。全ての始まりは二年前、ある有名な男性アイドルが自死した事件にあった。


 彼はテレビや音楽シーンを席巻する国民的スターであった。芸能に疎い僕でも、顔や名前、代表曲のイントロすら知っていた。そんな彼が突然、自宅の浴室内で倒れているところを発見されたのである。数日の間、警察により死因は隠されていた。自殺か他殺かさえも知るよしがなく、SNSでは陰謀論めいた謀殺説がトレンド入りしていた。


 その膠着した状況を動かしたのが大手週刊誌のA誌だった。A誌は「○○(男性アイドル名)の死因は自殺だった」と銘打ち、彼の遺書の一部や遺留品、そして自殺に用いた装置の設計図を公開したのだ。それこそが「押すだけで死ぬスイッチ」であった。装置の仕組みは単純であり、身近で揃えられるような電子部品を組合せるだけの代物だった。専門家が言うには大して珍しい死に方ではなく、たまにそういった装置を作り、自殺に至る者が現れるらしい。


 なぜ捜査資料と思わしき設計図が掲載されたのか、なぜ彼が感電死を選んだのか、今では誰にも分からない。ただ、「押すだけで死ぬスイッチ」の存在が周知された。それだけが揺るぎない事実だった。五分見れば暗記できるその作成方法は、国がどう注意喚起しようと、どう閲覧を規制しようと、たちまち人々の間に広まっていった。今では隠語で検索すればフリマサイトで楽々取り寄せられるし、わずかな手間を惜しまなければ自作だって可能だ。


 何より人々を魅了したのは、死に至るまでの苦しみが少ないというイメージだった。実際は、感電死にも特有の辛さがあるのかもしれない。しかし、死を求める人々は、「スイッチ」というワードの明快さにすがったらしい。自分が落下していく恐怖も、首を麻縄で絞められる苦しみも、充満していく一酸化炭素に呑まれていく時間も、何一つ想像しなくて済むのが魅力的だったのだろう。


 まあ、死にたい人が楽に死ねるだけならマシだった。結局人間というのは、問題解決のために自分か他人の犠牲を迫られたとき、本能的に後者を選んでしまうらしい。


「なあ、ちょっとこっち来てくれよ」


 とある日の放課後、僕はクラスメートの男子に呼び止められた。彼は卓球部の同期であり、しばしば下校を共にする仲である。いつもゲームの話や先生の愚痴で駄弁っていたのだが、その日ばかりは少し調子が違った。声のトーンは低く、どこか表情には影が差しているようにも思えた。


 彼を追って僕は廊下の端へと辿り着いた。窓から射し込む夕陽が、僕らの横顔を橙に染めていた。向かい合う彼に対し、「急にどうしたんだよ」と開口すると、彼はポケットにゆっくりと手を突っ込み、その中の青いハンカチを僕に差し出してきた。一瞬マジックでもするのかと思ったが、布の中心が不自然に盛り上がっている。布地の端をつかんでめくろうとした途端、彼のうわずった声が飛んできた。


「そっとだぞ。それに触らないようにめくれよ」


 張り詰めた声色に思わず唾を飲む。割れ物を扱うように丁寧に布をめくると、そこにはネットニュースで見覚えのある、あの「スイッチ」が鎮座していた。何か言おうと思ったが、喉が固まったかのように声が出ない。彼はその間を埋めるように、矢継ぎ早に言葉を連ねた。


「俺が使おうとしたんじゃないし、俺が作ったり買ったりしたわけじゃない。その、家にあったから盗んできたんだ。よりによって婆ちゃんの部屋にな」


 今までの雑談から察するに、彼は四人家族であった。両親と彼、そして父方の祖母である。最近は認知症気味で身体もろくに動かせないため、世話の手伝いが大変だという話をよく聞いていた。貧乏なのでヘルパーを呼ぶことも叶わないのだという。


 彼は反応を伺うように口をつぐんでいた。僕は喉の震えを断ち切るように咳払いをし、ようやく第一声を発した。


「じゃあ、君の祖母が購入したということか? その……」


「ああ、自殺するためだろうな。初めはそう思ったんだけど、よく考えたらおかしくてさ。俺が掃除しに入ったときに気付いたんだけど、内側のドアノブの下に、わざわざ見えないように取り付けられてたんだよ。婆ちゃんが買ったんなら、そんな細工する必要はないだろ」


 僕は沈黙せざるを得なかった。言うべきことがなかったのではなく、言うべき文言を紡ぐのに躊躇したのである。彼も察しているだろう推察を、自分の口から告げたくなかったのかもしれない。それはある種の保身だったのかもしれない。


 時間にすればたったの数秒だったろうが、果てしなく長い静寂が広がったように思われた。遠くでサッカー部らしきホイッスルが、一つ鳴った。彼は頭を掻いてから、「つまり」と前置きした。


「俺の親がそれを置いたってことだ」


 僕は何よりも先に「勘弁してくれ」と思っていた。他にも友人がいるだろうに、なぜ僕にそんな重大な話をぶつけてくるのだ、と。そのスイッチを見せて、彼の親が殺人を計画していたとして、それを告げて何がしたいんだ?


 どうやらそんな困惑が表情に浮かんでいたらしい。彼はスイッチをハンカチに包み直し、ポケットへそっとしまうと、両腕で勢いよく僕の肩をつかんで言った。


「お前に相談したのは、俺が知ってる中で一番冷静そうだからだ。春にあった事件、噂で聞いてな。それでも顔色一つ変えずに生きてこれてたんだろ。だから勝手で悪いけど、俺の問題も動揺せずに聞いてくれるって決めつけたんだ」


 彼は馬鹿正直に、自身の意図を全て話した。その視線があまりにも真っ直ぐなものだったから、心を見透かされているような気がしておっかなかった。彼の迫力に対抗するためには、僕も心を打ち明けるしかないと感じた。


「……君が知らないだけで、あれは結構トラウマだったんだよ。今の状況も正直勘弁してくれって思っている。一体僕に何を求めてるっていうんだ?」


「助言だよ。お前に乗っかる責任は一つもない。ただ俺は馬鹿だから、このスイッチをどうするか、家族にどう接すればいいかなんて一つも分からねえんだ。だからお前が道筋を立ててくれってことだ」


「責任があるか否かは決められることじゃない。僕が関わる時点で自然と生まれてしまうものなんだよ。悪いけど、そういうのは先生とかカウンセラーに話してくれよ」


 僕が視線を逸らすと、肩にかかる力はさらに強まっていく。


「無理に決まってんだろ。大人に話せば絶対に通報される。この件を話したのはお前が初めてだからな」


「僕が告げ口しないって保証はないだろ。誰かに言った時点で、悪いけど君の親は詰んでる。君も薄々分かってたろ? 一回冷静になれ、さっきから肩が痛い」


 すると、彼の指はたちまちに離れていった。少し拍子抜けしていると、彼はポケットに手を入れ、ゆっくりと息を吐いた。その様子は嫌に落ち着いているように見えた。


「いいや、保証はある。もしお前が協力しなかったり、告げ口したりすれば、俺はスイッチを押す」


 どう聞いても脅しの言葉に過ぎなかった。声の震えや、迷いに揺らぐ瞳を見れば、それは明らかだった。


 しかし、彼が絶対に押さないという確信は持てなかった。もしこの言葉を聞き流せば、また目の前で人が死ぬかもしれない。数ヶ月前の光景が脳裏によぎり、膝から力が抜けていきそうになった。


 …………いや、違う。僕が彼に従えば、あんな悪夢は回避できる。


 得体の知れない力に押されながら、眉をしかめ、真っ直ぐに彼を見つめた。


「ああ、分かったよ。協力してやる。ただ、責任は君に押しつけるってことを忘れるなよ」


「もちろんだ。もしなんかあっても、お前の助言は全部俺の発案だ」


「……じゃあ僕だったらどうするかを話すよ。君の祖母には全てを隠したまま、親に問い詰めることだ。スイッチを仕掛けた動機が一時的な衝動なら、彼らが反省してこの件は終わるかもしれない」


 彼の話を聞いて浮かんだ筋書きはこうだった。彼の両親(あるいは片方)は、介護疲れからくる祖母への不満により、突発的に殺人を計画してしまう。本来の状態であれば選ばない択でも、極限状態に追い込まれた人間ならば、誰かを殺すことを選べてしまう。その対象が自分であろうと、他人であろうとだ。


「やっぱり、話さなきゃ駄目か……分かったよ。俺から親に言えばいいんだよな?」


「ああ。渋ればそのスイッチで脅したっていい。僕にやったみたいにね」


「確かにそれは効くかもな」


 皮肉を込めて言い放ったが、どうやら本気に捉えているらしい。まあいい。僕に生じる責任は自動的に彼へと移る。僕は選択肢を提示するだけで、それを選び取るのは彼なのだから。


 だが……結果として僕の助言は最悪の方向へ働いたらしい。


 そのことを知ったのは五日後の放課後、直接彼の口から聞いたのだが、僕はそれより前におぞましい予兆を感じていた。彼が助言の翌日から欠席し続けていたのである。


 助言から三日ほどした頃、僕は鈍い足取りで職員室を訪ねた。頭の中では根拠のない罪悪感と、「お前の助言は全部俺の発案だ」という彼の言葉とが、何度もよぎっていた。僕の両足を重くし、職員室へ向かおうとする心を引き留めたのは、おそらく後者であっただろう。しかし、何一つ知らないふりで生活し続けるのもまた苦しく、最終的に僕は扉をノックしていた。担任を呼び出し、彼の欠席理由を単刀直入に尋ねる。すると先生は、苦々しい顔を一瞬浮かべてから、なんともないような声色で言った。


「家庭の事情だから話せないよ」


 その表情には有無を言わせないような圧が感じられ、僕はおずおずと帰宅するほかなかった。ただ一つ得られたのは、彼が非日常的な事態にあるという推論だけだった。


 そうして助言から五日後。その日は土曜日で、僕は自室のベッドに寝転がって推理小説を読んでいた。他愛のない密室殺人ものである。特に容疑者が二転三転することもなく、被害者との因縁も薄っぺらく、よくこんなものを図書室に置けたなと思うほどの出来であった。中盤まで読み進めた時点でほぼ興味は失っていたが、では読書を止めようという気にもならなかった。何かしらに時間を費やしていないと、最悪の可能性を感じてしまって仕方なかったのである。僕の助言が彼の人生を狂わせた可能性。そして、それにより僕に責任が生じる可能性だ。


 小説も終盤に差し掛かり、「あなたが犯人だ」というお決まりのセリフが登場する。指さされた先はやはり予想通りの人物であった。もうたまらなくなって、文庫本をベッドの端へ投げ捨てる。そうしてあくびを一つした後、ベッドから立ち上がって携帯電話を手に取った。小説に集中するために通知を切っていたので、何か連絡が来ていないか確認しようとしたのである。


 どうやら一件の不在着信が来ているらしかった。その電話の主を見たとき、僕の息は一瞬止まった。彼であった。すぐさま電話をかけ直し、鼓動が加速していくのを感じながら、永遠とも思える時間の中で呼出音を聞く。実際は十数秒後だっただろうか、ふと彼の声が聞こえてきたのは。


「久しぶりだな、ちょっと伝えたいことがあって」


「それより君は無事なのか?あの後何があったんだ?」


「ああ。俺は生きてる」


 彼は少しおどけたようなトーンで言う。しかし、僕の表情は強ばるばかりだった。「彼『は』生きている」ということが意味する事態を、否が応でも察していたのだ。沈黙する僕をかばうよう、彼は言葉を続けた。


「その……結論から言うと、親父にやられた。婆ちゃんがスイッチを押したんだ」


 耳の奥で、何か細い糸がぷつりとちぎれたような気がした。鼓動が喉の下あたりまでせり上がり、上手く呼吸をつかめない。言葉を返そうと口を動かすのに、声帯のどこにも力が集まらなかった。

 彼は続ける。淡々とした調子で、まるで今日の天気の話でもするかのように。


「お前の助言通り、親に話したんだ。あの日の夜にな……。そしたら親父の顔色が一瞬変わって、それから急に謝りだした。『もう限界だった』とか『あれは魔が差しただけだ』とか、まあ言い訳はいろいろあったよ。それで、俺は怒鳴ったり泣きわめいたりしたわけじゃない。ただ、『二度とやるなよ』って言って、それで終わるはずだったんだ」


 ふっ、と彼は息を吐く。その裏側に潜んだ震えのようなものが、受話口越しに伝わってきた。


「……でも翌日の朝さ。婆ちゃん、もう死んでた」


 その一言は、僕の身体を氷水に沈めたようだった。頭は理解を拒むように軋

んでいる。彼の言葉は続く。


「親父が言うにはさ、婆ちゃんは俺たちの話を聞いちゃってて、罪悪感で押したらしい。親父も母さんも『自殺だ』って言ってる。でもな……あのスイッチ、俺が隠してた場所からなくなってたんだよ。認知症の婆ちゃんがどうやって見つけたんだ」


 彼は笑った。悲鳴の寸前で笑いに化けたような、かすれた音だった。


「だから俺は親父に言ったよ。『やったんだろ』って。そしたら、なんて言ったと思う?『お前があのとき俺を脅さなかったら、こんなことにはならなかった』だとさ。人間ってのは本当に勝手なもんだな。誰かを追い詰めると、その相手が死ぬか殺すかの二択になるんだって、お前言ってただろ?」


 返事をしようとしても、喉が凍り付いたように動かない。彼は無言を肯定と受け取ったように続けた。


「他人事じゃなくなったよ。まさか、家族でそれを見るとは思わなかったけどな」


 僕はようやく、ひどく乾いた声を絞り出した。


「……君は、それでどうするつもりなんだ」


 一瞬の間。そして彼は、あっけらかんと答えた。


「だから電話したんだよ。お前にも言っとこうと思って」


「言って、どうする気なんだよ」


「俺、この家にいたら多分まともじゃいられない。婆ちゃんが死んだ部屋を、親父はケロっと片付けてる。母さんは泣くことすらしない。俺一人だけが、あの日からずっと、止まってる気がしてさ」


 胸の奥がざらざらとした不快感で満ちる。何かを言わなければならないと思うのに、言えばきっと、また責任の形をして、僕の胸に戻ってくるのだと分かってしまう。


「やめろよ。……まさか、押すつもりじゃないだろうな」


「押さないよ、俺は。婆ちゃんみたいに、知らない場所で勝手に死ぬのは嫌だしな。でも――」


 声が小さくなる。押し殺した震えが混ざる。


「――親父は、今日これから押すつもりだと思う」


「は?」


「昼に言ってたんだよ。『俺はもう戻れない』って。母さんも止めない。多分、俺が帰ったらもう押してる。あるいは……一緒に押せって言うかもしれない」


 受話口の向こうで小さな物音がした。金属が触れるような、軽い音。僕は息を呑む。


「だから頼みがある。お前、俺にもう一つだけ助言をくれよ。俺は何を選べばいい?」


 今度は明確な震えを帯びた声で、彼は言った。


「止めるのか。見捨てるのか。それとも……一緒に押すのか」


 その問いは、あの日、ビルの下で膝をついた記憶と重なって、胸の奥を深くえぐった。


 そして僕は悟る。

 ――どれを選んでも、きっとまた何かが壊れる。


 それでも、彼は僕にだけは答えを求めている。

 受話口の向こうで、彼の浅い呼吸が続く。

 僕は喉を鳴らし、最後の一息を吸い込む。


「……僕なら――」


 そこで言葉が、暗闇に沈む音を立てて途切れた。

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