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ザ☆後編

前回のあらすじ

2024年10月から始まった郵便料金値上げに伴う新切手の登場について語り合っていた既存切手の動物たち。

しかしそこに颯爽と現れたのは新一万円札の渋沢栄一だった。

圧倒される動物たち。だが、一円切手の前島密が不敵な笑みをうかべる。




前島「ヒソカ思うんだけどさ、世界のユキチ、世界のタキジ(小林多喜二のことらしい)、そして世界のヒソカ……世界のシブサワってあまり聞かなくない? そもそも交代とかもいらないし、生意気じゃない?」

渋沢「はいはい、ワタシは実力主義なんです。資本主義の父ですからね。ワタシの貨幣価値は10000円、つまりですね、前島さんの1万倍な訳ですよ。これって絶対的な差ですよね」

ウサギ「10000倍! 分かりやすい! つまりぼく5000枚分ってこと……!?」

前島「ヒソカさぁ……こういうこと言いたくないんだけど、多分、束になれば何だってできちゃう……つまり渋沢くんさぁ、ヒソカがその気になれば吹っ飛んじゃうよ。ヒソカ怒らすと怖いよ」

トキ「なんだそれ……俺の10分の1の癖に何ができるってんだよ」

渋沢「具体的にどう怖いんでしょうか? そもそも前島さん、アナタ、交通系ICカードのチャージもできないですよね。まあ、ここにいる全員に言えることですけど、貨幣が切符手形程度にどうこう言われる筋合はないのですよ」

前島「あのさ、ヒソカ昔の偉い人から聞いた話なんだけど、「元気があれば何でもできる」って……だからさぁ、こうやってヒソカも束になれば、何でもできちゃう訳……」


挿絵(By みてみん)


ウサギ「うわぁ……何かすごいこと考えてそう」

サル「これ、マジでできんのか? 色々問題あるだろ」

前島「こうやってヒソカも束になれば封筒になれる訳。定型郵便は110枚あれば……具体的には表裏に5×9で45枚ずつにすれば大きさ的には完成するよね……だからその90枚に20枚さらに足せば料金の条件も満たせるの、分かる……分からない?」

ぽすくま「ボクはシール式だからもっと楽ってことかな」

前島「うるせーなお前は黙ってろやボケ! カス!」

トキ「せめて左上に俺を貼るとかあっても良くないか?」

前島「そういうの無くてもいいの。ヒソカはヒソカだけでこれ成立させたいから……悪いけどこれ、ヒソカのメンツだから」


挿絵(By みてみん)


前島「こうやってさ、自分の裏を使った最低限の糊付け、しかもヒソカ伝統の無色透明糊むしょくとうめいのりよ。だから当然、封をするのもこうやって切手の間の切り取り線で割れ目を作って差し込むようにして錠前にするよね……シールとかさ、そういうのヒソカからすればナンセンス」

渋沢「で、何が起こるんです? そんなことしたところで、このワタシの貨幣的価値が変わる訳でもない……意味のないことですよ」

前島「日本の逓信ていしんの力舐めんなよ……ヒソカが完成させた世界でも誇れるシステム、それが郵便。普通郵便の到達率は日本では99.9%以上って言われてる。一方でフランスあたりでは9割程度行けば良い方らしいから。だからフランスの人は大事なものには簡易書留とか嫌でも使う訳。あとさ、水でもそうだよね。日本の水道は世界一って言われてる。保険制度とかもね。こういうのはどんどん誇っても良いと思う……あとさ……」

ぽすくま「年賀状もちゃんと買ってね! 日本の年賀状文化は凄いと思う!」

前島「うるせーなお前! 今ヒソカが言おうとしてたんだよつまみ出すぞコラ」

渋沢「で、結局そのふざけた封筒は届いたんです? 実力を見せてみなさいよ……資本主義ですよ」

キツネ「届いたらすげーよな」


挿絵(By みてみん)


前島「はい、届いたよ。ちゃんと中身もある……ヒソカ舐めんなって言ったでしょ」

渋沢「中に何か入っていますね。この規格なら50gまでいけるらしいですが、この程度の紙切れに何か価値があるんですか?」

前島「紙切れの癖にグダグダ言わないの」

サル(お前もそうだろがよォ……)


挿絵(By みてみん)


リス「わぁ! 本当に届いたんだ?!」

渋沢「なんと……!! こんな意味のないことをわざわざ手間をかけて」

前島「ほら、目的達成したじゃん。それに意味のないことなんてない……手間かけて物事にチャレンジするのってさ、渋沢くんもやってたじゃん……それと同じことをヒソカやり遂げただけ」

ウサギ「へぇ、すごい! 今度ぼくもやってみようかな」

トキ「こりゃ今を生きるニッポンを代表する世界自然遺産の俺でもビックリだぜ!」

渋沢「こ……この程度のことで、負けは認めませんよ! どっちにせよワタシと前島さんの貨幣価値は10000倍であることに変わりはないのですからね!」

前島「うーん、それ以上言うとヒソカこの封筒の中に渋沢入れて飛ばすよ」

渋沢「はぁ……そのときは現金書留をちゃんと使ってくださいね」

ぽすくま「ってことで1円切手の利用価値はちゃんとあるってことだから、よろしくね!」

前島「うるせーなお前、いちいち前出てくんなや……口の利き方気をつけろよ、ヒソカ舐めんなや……マジクビにすんぞ!」

カモシカ「まぁまぁ……」

サル「でもよォ、切手なら舐められてナンボだよなぁ……?」

前島「上手いこと言うね……だけどヒソカを舐めて良いのは裏側だけ……表のヒソカは舐めたら許さないから……判子は押されちゃうけどね」


 

 ということで1円切手の壮大な冒険は無事に終わったのでした。



 O・WA・RI




以上、今回の冬童話作品は実際に1円切手でクラフトしたチャレンジも含めた作品となりました。こんな謎の物体を扱ってくださった郵便局の方々にも感謝です。

感想、批評等、どしどしお待ちしています。本当に一言であっても喜びます!


※「世界のタキジ」の元ネタは、作者が中学1年のときに机に大きく「TAKIJI」と彫られていたことからです。小林多喜二に全く詳しくないですが、机にあれだけ大きく彫ったということは、よほどの信者? なんでしょう。


ついでに予告ですが、29日(日曜日)から「将棋崩し×バトル」の大作を連載予定です。毎日投稿を目標としていて、初日は4話もしくは5話の連続投稿を予定しています。

「タイトルだけは凄い」と言われそうな作者の中でも10年に1度の力作ですので、是非、将棋崩しや将棋に詳しくない方も読んでいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
めちゃめちゃ面白かったです。 切手同士でわちゃわちゃしてたり、突然だけど前島さんが絡みにきたりと、そして渋沢さんと前島さんとの対決w というか、本当にこれやったんですね!そこまですることに痺れまし…
郵便料金の1の位が5または0になると、今まで使っていた1~2円切手は用がなくなりますの。 とはいっても、数年後にはまた値上がりしてるかもしれませんが。 一万円札が聖徳太子だった時代が懐かしい……
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