◇Prologue◇~虹の矢~
こんにちは。
素人ですが頑張って書いていこうと思うのでよろしくお願いします。
評価や感想等お願いします。
では、どうぞ。
◇ ◇ ◇
光の奔流だ。
と彼、和光和紀は思った。
小柄な青年が見上げた夜空には数多の流星群が広がっている。
美しくも異常な光景に目を奪われ、彼は言葉を失う。
変な話ではあるが。同時に、天変地異の前触れか、という恐ろしい考えも頭を過ぎっていた。
笑ってしまうかもしれないが、真剣に彼はそんなことを危惧していた。
意外と小心者なのだろう。
今や、まばゆい程に輝く彗星たち。それは行き場を無くしてしまったかのように縮み始めた。
周囲の星たちを巻き込むようにして全体が動く。
収縮しているのだ、と和紀は気づいた。もうその頃には、ソレはミラーボールくらいまで小さくなっていた。
先程までのものとは打って変わって、小さな球体が暗闇の中で光を放っている。
周りの闇に侵食されるかの如く。
どんどん光の玉は小さく丸まっていく。
そして、遂には微かにその姿を捉らえられるくらいの大きさになってしまった。
和紀はこの不思議な現象を、何故か妙に納得しながら眺めていた。
前もって知っていたことが、ただ目の前で起きているだけ。というおかしな安心感があったからだ。
理由は、分からない。だが、彼には準備が出来ていた。
これから起こる全てを、真正面から受け止める覚悟があった。
どうしてなのかは知らない。
突如、消えかかっていたソレが弾けた。
溢れ出てきたのは、幾千幾億もの光の束。
和紀は、その中から五つの矢のようなものが飛び出したのを見つけた。
七色に変化するその物体は、天高く浮上した。
ただでさえ見晴らしの良い丘なのに、更に上へと昇っていく。
未だ輝きを放ち続ける七色の矢は、五本全部が揃ったかと思うと、一瞬で弾け飛んだ。
和紀がそれを目で追うことはかなわなかった。
なぜなら、そのうちの一本が彼のもと目掛けて一直線に飛行してきたからだ。
あまりの速度に反応することすらできなかった。
矢は彼の胸を貫いた。身体全身に信じられないほどの衝撃が走る。
だが、不思議と痛みはなかった。
薄い膜がドーム状に彼を包みこみ、膨れあがった。
かと思うと、最後に大きな轟音を鳴らしてソレは綺麗さっぱり消えさった。
辺りは再び漆黒と静寂を取り戻す。
まるで今までの出来事が嘘かのように。
彼は横たわったまま動かない。すでに意識はなかった。
しかしそのの腕には確かに、選ばれた証の虹色の矢が刻まれていた。
彼が目を覚ました時、全てが始まるのだ。
こうして、一人目が刄を授かった。